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第153話

Author: marimo
last update publish date: 2026-05-06 19:41:17

その晩――。

ヴァルハイト・レジデンス ホスピタリティスイートのロイヤルスイートでは、昼間までの賑やかさが嘘のように静まり返っていた。

広々とした室内には、間接照明の柔らかな光だけが灯されている。天井まで届く大きな窓の向こうには、無数の明かりが宝石のように瞬き、街全体が夜のヴェールに包まれていた。遠くには車のライトが流れるように走り、時折ヘリポートの誘導灯がゆっくりと点滅している。

一条櫻羅は、その大きな窓の前に静かに立っていた。

昼間、叶翔の母親である綾乃に買ってもらったパジャマを身にまとい、両手を胸の前でそっと重ねながら、ただ夜景を見つめている。

ふわりと柔らかな生地は肌触りも良く、今まで着たことのないような心地よさだった。だが、その心地よさとは裏腹に、櫻羅の胸の内は静まるどころか、ますます落ち着かなくなっていた。

皆が寝静まっても、櫻羅は眠りにつくことができなかった。

昼間の出来事が、何度も頭の中で繰り返されていたのだ。

綾乃と一緒に買い物をしたこと。

服を選んでもらったこと。

似合うと笑ってもらえたこと。

下着売り場で恥ずかしくなりながらも、女同士だからと笑われたこと。

どれ
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