LOGIN前世で敵国同士の王子だったロメオとジュリアス。二人は戦争の中、国境線のルメリア川で密会をして「来世で共にあろう」と誓い、ジュリアスの持ってきた毒により心中する。 現世の日本に生まれ変わったロメオ、"蔵之 楼"とジュリアス、"雛形 璃亜"。二人は接点はないが同じクラスで、登校中、璃亜が痴漢にあっているのを楼が助ける。そしてその夜、互いの親から「明日の土曜日、再婚相手を紹介する」と告げられ、実際に会ってみるとクラスメイト出会ったことが発覚する。 ある日学校の階段で不慮の事故により二人揃って落下した際、走馬灯のように前世の記憶が蘇ってーーー。
View Moreこれは昔々の悲しいおとぎ話である。友好な関係を築いていたアレクスとエルダリシアは、今日も今日とて平和な二国は王族同士の交流も盛んであった。ある日、アレクスとエルダリシアは友好パーティーを開催していた。会場はエルダリシア城。アレクスの第一王子であるロメオは大人達の仮面をかぶりあったパーティーに嫌気がさし、中庭へとやって来た。するとそこには先約している見慣れない人物が噴水の縁に腰を掛けていた。
「お前は誰だ?そこで何をしている?」
そう声をかけると、下を向いていた顔がロメオの方へと向いた。その顔は初めて見る顔で、まるで人形の様な美しい顔をしていてロメオはごくりと喉を鳴らした。
「あぁ。アレクスの第一王子の...ロメオ様。初めまして。エルダリシアの第三王子のジュリアスと申します。」
「どうしてこんなところに?」
「少し人酔いをしてしまって。ここは休むのにはもってこいなもので。」
そう言うジュリアスは危うい美しさを醸し出していて、ロメオの心を掴んで離さなかった。
「今まで会ったことはありませんでしたがそれはどうして?」
「...私は病弱なので昔からこう言った場所は...というのは表向きで兄たちから表舞台に出ないように言われていたのです。今日はあまり顔を出さないのもよくはないとの父の言葉に仕方なく。と言った形です。」
「...何故兄弟達はお前の存在を隠そうとしているんだ?」
ロメオがそう問うとジュリアスは顔を暗くして口をはくはくと動かしながら言おうか言わまいか迷っているようであった。そして、意を決したように語り始めた。
「私の母は他の兄弟と違って、一メイドであったのです。所詮私は妾の子。しかし、嫌われるどころか執着されるようになってしまって。...まるで子供がお気に入りのおもちゃを隠すかのように私の存在は隠されているのです。」
「通りでお前の存在は見た事も聞いたこともなかったわけか。」
「そう言う事です。」
そういうジュリアスは遠い目をして星空を見つめていた。まるでその様は一枚の絵画の様。ロメオは思わず見とれていると、ジュリアスから「ロメオ様」と声をかけられ、我に返った。
「な、なんだ?」
「こうして家族以外と話すのは久しぶりで楽しかったです。...こうして会うことはもうないとは思いますが...」
「最後じゃない!そうだ。もしよければ今度から国境であるルメリア川で会わないか?城に籠ってばかりでは息が詰まるだろう。」
「...いいのですか?でもどうして私なんかを?」
そう問われてしまうとロメオは答えにくい。彼が良い淀んでいると、ジュリアスは「ふふっ」と笑みを零した。
「わかりました。じゃあこれからはルメリア川でお会いしましょう?楽しみにしています。」
そう言うと、ジュリアスは城の中へと消えて行った。ロメオは夢でも見ていたかの様な気分で気持ちがふわふわとしていた。あのオニキスの様な瞳に見つめられていたい。そう思いながら。
さて、楼の変態臭さはおいておいて、支度を済ませた二人はカフェへと向かって歩いていた。楼は璃亜の手を取ると、握り込んできた。「ちょ、っと!楼君?!なんで手...。」「いいじゃない。兄弟なんだし。」「...義理の、だけどね?」どうも璃亜は楼にペースを持っていかれやすい。そして、なかなか楼からペースを奪うことが出来ない。それが何だか悔しくて...。璃亜は思い切って楼の手を握り返した。そんな璃亜の行動に楼はビックリしたが、顔を真っ赤にしている璃亜に愛おしさが増してきてついつい抱きしめてしまった。「ぶっ!!急になんなのさ!!」「いや...、あまりにも愛おしくて...。」「どんな理由...。とりあえず離して!カフェ行くんでしょう?」璃亜に怒られてシュンとなっている楼はまるで叱られた子犬の様。自分よりデカい男に抱く感想ではないが、ついつい撫でてしまいたくなる。「...早く行くよ...お兄ちゃん。」璃亜はぼそりと言うと、楼は顔を勢いよく上げ、顔をパァっと明るくしてみせた。「璃亜!もう一回!もう一回お願いします!」「ヤダよ!ほら、行くよ!美容室の予約もあるんでしょう?」ちょっときつめに返したつもりだったが、璃亜の"お兄ちゃん"呼びに歓喜していて楼は天を仰いでいた。璃亜は「まったく。仕方ないなぁ」と言うと、今度は璃亜から手を握って、走り出した。「ちょ、ちょっと!璃亜?!」「...」璃亜は赤くなった自身の顔を見られたくなくて真っすぐ前を向いたまま走り続けた。カフェに着く頃には二人とも息たえだえになっていた。「ハァハァ...つ、着いた。」「な、なんで走ったの?...もう喉カラカラ。」「べ、別に特に理由は無い...と思う...。」「なぁに、それ(笑)」璃亜の答えに楼は笑うと、息を整えカフェの中へと入って行った。「いらっしゃいませ!...あれ?楼君じゃないか!今日は...お友達と?」「こんにちは、店長さん。彼は瑠々花さんの息子さんだよ。」「!君が!てことは...。」「そ。オレの義理の兄弟。」璃亜は会話に置き去りにされていると、楼に「璃亜」と呼ばれた。「この人はこのカフェの店長さんの田村さん。ちなみにここが瑠々花さんの職場で、父さんとの出会いの場ね。」「は、初めまして!母がいつもお世話になっております。」「瑠々花さんの言う通り、礼儀の良
朝食はクロワッサンにサラダ、コーンスープにスクランブルエッグと朝から美味しそうなメニューであった。その朝食を見た瞬間、璃亜のお腹がグーっと鳴った。「あ!いや...ごめん。」「ハハッ。いいよ。お腹が空くのは良い事だから。さ、食べよう?今日はオレも部活無いしゆっくり出来るよ。」「あ!たしか明日数学の小テストあるんじゃなかったっけ?!」「そう言えばそんな気がする。オレの苦手な範囲なんだよねぇ...」珍しく弱気になった楼がサラダをフォークでプスプスとつついている。そんな様子を見て、璃亜は思わずクスリと笑ってしまった。そこにはキラキラでかっこいい"蔵之 楼"の姿はなかった。「いいよ。僕でよければ教えてあげるよ?」「え!いいの?!助かる!!」「教えることで、僕も復習が出来るからね。」そうして朝食を終えると、今度は璃亜が「洗い物は僕にさせて?」と言って洗い物を担う事になった。洗い物も終えリビングで小テストの勉強をする。楼も頭が良いので、ものの一時間で復習は終わってしまった。することも特になくなってしまった二人は楼の提案により、気分転換にカフェに行く事にした。璃亜の着替えは一先ず楼の服を借りることにした。体格差がある為、楼のおさがりを着る事になったのだが。楼は着替え終えた璃亜を鏡の前に座らせると、髪をハーフアップにセットした。「璃亜はお母さん似だね。」「よく言われるよ。自分じゃ分からないけど。」「ヨシ出来た」というと髪が邪魔ではなくなった。「髪切らないの?」「切りに行く時間が惜しくって...」「そうだ!カフェ行った後美容室に行こう!今からいける所は...」楼は璃亜の意見も聞かず、どんどん話しを進めていく。美容室の予約が出来たのか、楼はホクホク顔である。「イメチェンした璃亜を一番に見られるなんて嬉しいな♪」「ま、待って!今更だけど、僕行くなんて言ってない...!」璃亜は楼の行動力に度肝を抜いた。陰キャにとって美容室はハードルが高すぎる。璃亜はそう言うが、楼は聞く耳持たずである。もうイメチェンした璃亜に心を持っていかれている。「さ、行くよ璃亜。」「ちょ、ちょっと楼君!」璃亜が楼を呼び止めたその時だった。ふと、楼は立ち止まり、璃亜に向き合うと、真剣な眼差しを向けてきた。「璃亜。誕生日は?」「え?12月。12月の24日だけど...。」「ク
璃亜が風呂から上がると、楼がソファーで横になっていた。寝息がスー、スーと聞こえてくる。それもそうだ。今日も部活があったのだから、疲れていたのだろう。先に風呂を貰って悪かったな。そう思いながらソファーへと近づいていき、楼の様子を見る。すると、楼は涙を流していた。これは起こした方がいいか?!とわたわたしていると、小声で何かを呟いているのが聞こえた。「___ス。」「え?」「ジュリ...アス...。」その名を聞いた瞬間、璃亜の心臓がドクンと音を立てた。そして、強い頭痛に襲われる。なんだ、この感覚は。身体が何かを思い出せと訴えかけてきているようだ。璃亜は思はずその場にしゃがみ込み、頭を押さえる。そして頭痛に耐え切れずそのまま気を失ってしまった。「...ん。ここは?」たしかソファーで寝ていた楼に近づいた時に気を失った気がする。どうしてかは思い出せない。ここはどこだ?ベッドの上?「!璃亜!目を覚ましたんだね!良かった...。」「ごめん。なんでか気を失っていたみたい。迷惑かけちゃったね。」「迷惑なんかじゃないよ。でも一体何があったんだろうね?」「...そう言えば楼君の寝言を聞いて...」「オレの?」その寝言もなんだったかは思い出せない。考えれば考える程分からなくなってくる。楼はそんな璃亜の肩をそっと抱くと落ち着かせるようにそばに座った。「無理に思い出す事はないよ?きっとその時が来れば思い出せる。大丈夫。安心して今日はお休み?」楼は璃亜をそっとベッドへ横たわらせると、璃亜の目に手を当てた。その手の温度が温かくて、なんだか懐かしくて。そのまま璃亜は夢の世界へと飛び込んでいった。その時一瞬見えた楼の顔は優しくも、悲しげな顔をしていた。どうして、そんな顔をするんですか?私達はもう離れなくていいんですよ?___あれ?僕は何を思っているんだ?「おやすみ、璃亜。よい夢を。」悲しい悲しい夢を見た。愛する二人が引き裂かれる夢を。結局、二人は毒を飲んで、死を選んだ。「来世のオレ達に乾杯。」「来世こそは貴方と共に。乾杯。」そこで世界は歪む。あぁ。今度こそは二人で幸せになりましょう___様。目が覚めると璃亜は楼に抱きしめられていた。璃亜はそれに理解するのに数秒かかった。意識が覚醒すると璃亜は大声をあげてベッドから転げ落ちた。「?!璃亜?!どうしたの?!」「楼君
タクシーが着いた先は、大きな一軒家であった。こんなところに楼は住んでいたのか。...一体父親になる友成は何者なのであろうか。璃亜が呆けていると楼が「そんなところで突っ立てないでおいで。」と呼んできた。「今度から璃亜も此処に住むんだからね?」「...友成さんて何者なの?こんな豪邸...。」「一応人気作家、かな?璃亜も学校で読んでたよ?"倉人 実里"。」「え、えぇ?!僕大ファンなんだけど!!今日も本屋で新作買ったんだよ?!"黒い海へ"!!」璃亜はテンションが爆上げになり、大興奮していた。そんな大作家さんがこれから自分の父親になるなんて...。あれ?でもどうやって母である瑠々花と知り合ったのか?不思議に思っていると、楼から家の中に入るように促され、玄関をくぐった。「ね、ねぇ。楼君はうちの母と友成さんがどこで知り合ったか知ってるの?」「ん?たしか...、カフェで原稿をやっていた時に接客してくれた瑠々花さんに一目惚れしたとかなんとか...。」たしかに、瑠々花の化粧が急に気合が入ったものになったのには気がついていた。そういう事だったってわけか。そうしていると、楼からリビングのソファーに座るように誘われた。そのままソファーに座ると、楼は満足し、キッチンへと姿を消し、お湯を沸かし始めた。璃亜はなんだか急に緊張してきてカチンコチンになってしまった。そんな様子を見て、楼はクスリと笑うと璃亜の隣に腰を下ろした。「...もしかして緊張してる?」「!ろ、楼君近い...!」そしてどんどんと近寄って来ると、体勢は楼が璃亜を押し倒す形になっていた。楼はネクタイを緩めると、顔を璃亜へと近づけた。キスをする寸前でやかんのピーっというお湯が沸いた音がした。楼は残念そうに起き上がると再びキッチンへと向かった。璃亜は頭がパンクしそうであった。どうして、楼が自分なんかにキスをしようとした?!もしかして揶揄われてる?!そんな風に考えていると、楼が紅茶をいれて戻ってきた。「温かい紅茶でも飲んで、ゆっくりしよう?あ、お風呂沸かしてくる。入るでしょ?」「う、うん。そうしようかな。」璃亜は楼の淹れた紅茶に口をつける。フルーティーな香りが鼻孔ををくすぐる。風味もとても好みだ。「楼君、この紅茶凄く美味しいよ。」「ホント?良かった。オレのお気に入りなんだ。こう見えて紅茶にはうるさいからね(笑
ご馳走を母と二人でたいらげ、風呂に入って自室へとやって来ると、璃亜はベッドにダイブした。朝、痴漢にあったと思ったら、校内カースト上位の楼に助けられ、何故かひどく懐かれた。そして、学校から帰って来ると、母が再婚すると言うビッグニュース。なんだかジェットコースターの様な一日であった。...そう言えばLINEよこすように言われてたな。璃亜はベッドから起き上がると、机の上に置いたカバンからペンケースを取り出し、中からIDの書かれた紙を手にすると再びベッドへと戻る。「えーと...?ID検索っと。...あった。」検索した際出てきたのは、可愛らしいポメラニアンのアイコンで"ROU"との表示が。璃亜は思
あれから何とか午後の授業をこなし、璃亜は図書委員の仕事に向かおうとした。その時、楼が声をかけて来たのだった。「雛形、これから図書委員?」「あ、う、うん。蔵之君は部活?確か弓道部だったっけ?」「!知っててくれたんだ。...嬉しい。」「そ、それで何かあった?」そう問いかける璃亜に楼は耳打ちをした。「電車、まだ怖いでしょ?オレ一緒に乗るから。帰り玄関で待ってて。」「!」璃亜は囁かれた耳をバッと抑え顔をリンゴの様に真っ赤にした。そんな璃亜の様子を微笑ましそうに楼は見やると、「また後でね。」と声をかけ去って行った。「ぼ、僕どうしちゃったのかな...?」自分の気持ちに整理がつかないで
その日の学校は散々であった。遅刻の理由が痴漢によるものだという事がクラス中に知れ渡ってしまったからだ。「雛形ぁ、お前痴漢にあったとか嘘だろ?楼まで巻き込んで何考えてんだぁ?」「ホントだとしても、雛形君に痴漢するとか男も見る目なぁい(笑)」カースト上位にいるクラスメイトはどうもこう弱いものに絡むのが好きだな。こういうのは無視するに限る。しばらく好き放題言わせていると楼が璃亜の元へとやって来た。「お前らさぁ。オレ、ちゃんとこの目で見てたんだけど?なんで雛形が嘘言ってるとか言うわけ?」「く、蔵之君...」「いや、でもさ。佐伯ちゃんみたいに可愛い子だったら、痴漢にあったとかわかるよ?でも
"ガタンゴトン、ガタンゴトン"と今日も今日とて電車にその身を揺られながら学校へ向かう。この時間は通勤通学による満員電車となっているため、身動きがなかなかとれない。そのため、いつもの様に、雛形 璃亜は痴漢にあっているのであった。"気持ちが悪い"。今日はいつにも増してねちっこいやつであった。「あと学校まで二駅...。早く着け。早く...。」そう思い我慢している時だった。急に触っていた感触が無くなり何事かと思い顔を上げると、痴漢の手を掴んで捻り上げている人物がいた。「おい、おっさん。痴漢してやがったな?次の駅で一緒に降りてもらうからな。」「な!なんだお前!わ、私が痴漢をしていたという証拠は