復讐のために彼をレンタルしたら、まさかのCEOに溺愛契約で雇われました

復讐のために彼をレンタルしたら、まさかのCEOに溺愛契約で雇われました

last update最終更新日 : 2026-07-27
作家:  花柳響たった今更新されました
言語: Japanese
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1 評価. 1 レビュー
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概要

現代

強いヒロイン

溺愛

CEO・社長・御曹司

ヒーロー

ツンデレ

復讐

一夜限り

「今の彼氏は、あんたなんかより百倍素敵な人よ!」 結婚直前に裏切られた朱里は、プライドを守るためレンタル彼氏での復讐を決意。だが当日、業者は現れず、絶体絶命の朱里がとっさに捕まえたのは息を呑むほど美しい男だった。 彼をホストと勘違いし復讐を成功させ、勢いで一夜を共にするが……翌朝、衝撃の真実が待っていた。 彼は業界の頂点に君臨するホテル王・九龍湊。 「君を婚約者役として雇いたい。月額300万。住む場所は僕の家だ。ただし、あの夜のことは『業務外』だ」 レンタルしたはずが、まさかの逆雇用!? 冷徹な契約と身体の熱が交錯する、嘘つきな二人の溺愛契約ラブストーリー!

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第1話

第1話 恋人と親友に裏切られた夜

「……拓也?」

 金曜の夜、ホテルラウンジの奥で、私の声だけがひどく小さく響いた。

 丸いテーブルには、まだ氷の溶けきっていないグラスが二つ。低く流れるジャズと、カトラリーの触れ合う音。大人ぶった静けさの中で、三年付き合った恋人は、私の親友の腰を当たり前のように抱いていた。

 相手は、美咲だった。

 大学の頃からの親友。私の部屋で深夜まで恋バナをして、同じコンビニのプリンを半分こして、泣きながら「朱里がいてくれてよかった」と言った、あの美咲。

 二人は、キスをしていた。

 偶然、唇が触れた。そんな言い訳はできない。肩の寄せ方も、指の絡め方も、私と目が合った瞬間にほどけた距離も、全部があまりに慣れていた。

 私だけが知らない時間の匂いがした。

「朱里……?」

 拓也の顔から、さっと血の気が引いた。

 美咲は一瞬だけ目を見開き、それから、泣きそうな顔を作った。昔なら、私が一番弱かった顔だ。美咲がそういう顔をすると、いつも先に折れるのは私だった。

「違うの、朱里。これは……」

「何が違うの?」

 指先は震えていた。けれど涙は出なかった。悲しいよりも先に、胸の底が冷たくなっていく。怒りは、熱いものだと思っていた。違った。本当に傷ついた時、人は何も感じられなくなる。

「……私の誕生日に、仕事だって言った夜も、美咲の部屋にいたわけ?」

 拓也が答えない。

 美咲の唇が、ほんの少しだけ引きつった。

 謝罪ではない。ばれた、という顔だった。

 ああ、そう。

 私が馬鹿だっただけなんだ。

 恋人の嘘も、親友の優しさも、都合よく本物だと信じていた。

「私が相談していた時、楽しかった?」

「朱里、やめて。ここ、人が見てるから……」

「人前だから困るの?」

 私の声は、自分のものではないみたいに低かった。

「私の前では、困らなかったくせに」

 拓也が立ち上がった。

「朱里、俺が悪かった。でも、美咲を責めるのは――」

 その一言で、もう十分だった。

 私ではなく、美咲を庇うのだ。

 三年間の最後に、拓也が選んだのは、やっぱり彼女だった。

「もういい」

 喉の奥が詰まった。これ以上ここにいたら、二人の前で泣いてしまう。

「別れて。二度と、私に連絡しないで」

「待てよ、朱里。話を――」

「聞きたくない」

 伸ばされた手を避け、バッグを掴んだ。

 美咲が、か細くすすり泣く声を出した。

 まただ。美咲はいつも、都合が悪くなると先に泣く。

 私は踵を返した。

 背中に拓也の声が追いかけてくる。美咲の小さな嗚咽も聞こえた。けれど振り返らなかった。

 泣くのは、家に帰ってからでいい。

 ここで崩れたら、あの二人の物語の中で、私はただの惨めな脇役になる。

 それだけは、死んでもごめんだった。

 ◇

 その夜、家に帰ってから、私は洗面台にしがみつくようにして泣き崩れた。

 泣いて、吐いて、水を飲む。少し落ち着いたと思えば、また涙が戻ってくる。夜明け前の部屋は薄青く、床に落ちたバッグの中でスマートフォンだけが何度も震えていた。

 拓也からの着信。

 美咲からのメッセージ。

『誤解なの』

『ちゃんと話したい』

『朱里を傷つけるつもりはなかった』

 傷つけるつもりはなかった。

 あれほど便利で、残酷な逃げ道を、私はほかに知らない。

 傷つけた事実は、そのままなのに。

 週が明けた月曜の朝。私はいつも通り、黒のパンツスーツに袖を通した。

 コンシーラーで目の下の赤みを消し、鏡の前で口角を上げる。笑え。仕事に持ち込むな。そう言い聞かせても、胃のあたりはまだ重かった。

 私は、茅野朱里。二十五歳。

 高級ブライダルサロン『Felice Luce(フェリーチェ・ルーチェ)』のチーフコーディネーターだ。

 誰かの一生に一度の幸福を整える。それが、私の仕事だ。

 たとえ、自分の幸福が粉々になったばかりでも。

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レビュー

hana
hana
元彼との別れまでがサクッと早くてありがたいです。 カッコよくも可愛げが沢山ある朱里と、冷徹と孤独を抱えてる湊…2人のバランスがとても好きで、いつも続きを楽しみにしてます!
2026-01-29 19:14:49
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