忘れられた初恋、君を絶対に手放さない

忘れられた初恋、君を絶対に手放さない

last updateDernière mise à jour : 2025-12-29
Par:  甘寧Complété
Langue: Japanese
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7年前、遥乃は付き合っていた奏に心を全て捧げた。 しかし「ただ遊んでいただけだ」という一言で胸を刺され、卒業パーティー前に傷を抱え、ひっそりと姿を消した 。 今、彼女は名前を変え、かつてのぽっちゃりから冷艶な美女へと生まれ変わっていた。 かつての恋人が再び目の前に現れたとき、止まっていた時間が動き出したように、彼の鼓動も激しく乱れた。 7年の恨み、7年の片思い、7年後の今、彼は綻んでいた糸を紡ぐ為に一歩を踏み出した。

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Chapitre 1

第0話

幸せなんてものはこの世にはない。あるのは残酷な現実だけ。それを知ったのは高校の卒業パーティだった──……

***

朝倉遥乃には、付き合いたての彼がいた。その人の名は、藤原奏。

目鼻立ちの整った顔に豪門の御曹司。更には学力、運動共に学年トップで文武両道。まさに御伽噺の絵本から飛び出した王子様のような人。

それに比べ遥乃は、ふくよかな体系でお世辞にもお似合いというカップルではなかった。遥乃自身もそれは重々承知している。

それでも自分の気持ちに嘘は付けず、ことある事に奏に自分の存在をアピールし、如何に奏のことを想っているかを伝え続けた。

最初の内は冷たくあしらっていた奏も、日が経つにつれ笑顔を浮かべるようになっていた。

その結果──

「いいよ」

何度目かの告白で想いが届き、付き合う事が出来た。

周りからは批判や嫉妬、嫌がらせなどもあったが、交際は順調だった。奏が傍に居て、笑いかけてくれる。そんな毎日が幸せだった。

そして18歳の誕生日、私は奏の家に呼ばれた。

「誕生日おめでとう」

「ありがとう」

手渡されたのは、小さな箱に入ったネックレス。ハートのモチーフに小さなアメジストがはめられている。

「貸して。付けてあげる」

「え」

奏の手が首に触れる度に心臓が飛び跳ねる。心臓の音が耳について煩い。

カチッ

金具の留まった音が聞こえ「出来たよ」そう耳元で囁かれた。

「ありがとう……」

真っ赤に染まった顔を見られるのが恥ずかしくて、顔を俯かせながらお礼を口にする。

大事そうに手の中に包み、何度も何度も見直しては嬉しそうに微笑んでいる遥乃の姿に奏は、クスッと微笑むと背後から強く抱き締めた。

「か、奏君!?」

驚いた遥乃が後ろを振り向くと「チュッ」と軽く唇が触れた。

「ッ!!」

遥乃は思わず飛び上がりそうになったが、奏がそれを許してくれない。

「ダメ、逃げないで」

頬、耳、首筋と順番に柔らかな唇が触れる。

「遥乃…」

名を呼ぶ彼の瞳はいつになく真剣で、熱を帯びた表情が艶っぽく目が離せない。

どちらともなく顔を近づけ、深いキスを交わしていた。

荒い息遣いとお互いの熱が絡み合う音だけが部屋に響く。初めて感じる快楽と幸福感に遥乃は身を委ね、ただ酔いしれていた。

身も心も奏のものになった遥乃は、毎日が幸せだった。だが、そんな彼女にも不安はある。

(明日は卒業式……)

共に進学するが、大学は別々。今まで学校へ行けば会えていたのに、それが出来なくなる。会えない寂しさと傍に居られない不安に押し潰されそうになる。

そんな時は、胸元にあるネックレスを眺めて気を落ち着かせている。

「大丈夫よ」

あの日、何度も何度も「好きだ」と口にしながら抱いてくれたんだもの。きっと大丈夫。そう、思っていた……

***

「遥乃?冗談じゃない。あんなの遊びだよ。俺が本気になると思うか?」

次の日、無事に卒業式を終えた遥乃は、卒業パティーが開かれる会場へと来ていた。

忘れ物を取りに戻っていた遥乃が着いた頃には、既に賑やかな声が扉の外まで聞こえていた。自分も早く入ろうと手を伸ばしたが、愛する人の言葉に手が止まった。

「あはは!だよなぁ!だって、相手があの朝倉だぜ?俺は金積まれても無理だわ」

「本当よ!いくら遊びでも、奏くんの品が疑われるわよ?」

「ごめんごめん」

遥乃の耳に入ってくるのは、だらしのない体型を馬鹿にしたり、控えめで卑屈な性格を嘲笑う声……

唯一の味方だと思っていた奏までもが、一緒になって嘲笑い馬鹿にしている。

優しい瞳で甘い言葉を囁いてくれたのも、身体を重ねて愛し合ったのも全部嘘だったって事?

手が震えて視界が涙で滲んでくる。

耐えられなくなった遥乃は会場に入らず、その場から立ち去った。

怒り、悲しみ、絶望……色んな感情が一気に襲いかかってくる。

「はぁ…はぁ…はぁ…ははっ……」

家に戻り、自分の部屋に鍵をかると、力なくその場にしゃがみこんだ。

『遊びだよ』

奏の言葉が呪いのように耳について離れない。チャリと胸元でネックレスが揺れる。

「~~~ッ!」

怒りのままに引きちぎろうと手を伸ばしたが、出来なかった……我ながら往生際が悪いとは思ってる。

初めての恋、初めての彼、初めての……

舞い上がっていたのは私だけだった。彼の中で、私の存在は単なる暇つぶしの玩具に過ぎなかった。

「……馬鹿みたい……」

自嘲しながら呟いた。

これ以上惨めな思いはしたくない遥乃は、奏の連絡先を全て消し、彼の前から姿を消した。別れも告げず、一方的な別れだった。

遥乃は、自分の事を知る者のいない土地を目指し、国外へと旅立った。

この時、遥乃のお腹には小さな命が宿っていたが、彼女は誰にも伝えず、人知れずひっそりと子供を産んだ。

──7年後、遥乃は朝倉遥乃と言う名を捨て、高瀬柚と名乗り、故郷の国へと戻ってきた。

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commentaires

ぷっかりん
ぷっかりん
まさかの照れ隠しですれ違ってたとは!奏が7年も遥乃を探してたと思わなかった。それでも感で遥乃を見出すとは凄い!二人の幸せを祈ります。
2026-03-17 07:56:55
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第1話
「高瀬さん、高瀬結花ちゃん」 娘の名前が呼ばれ、柚が診察室に足を踏み入れた瞬間、世界が冷たい風に打たれたかのように凍りついた──7年前、自分を裏切ったあの男が、そこに座っている。白衣を身にまとい、医師として冷静に。 心臓が激しく跳ね、柚は立ちすくんで目を疑った。あの見覚えのあるようで見覚えのない顔──かつて全てを捧げても惜しくなかった相手が、今、目の前に冷静な医師として現れている。 胸を重いハンマーで打たれたかのような痛み。目の前の光景に体が震え、思考は瞬く間に混乱した――怒り、憎しみ、胸の痛みがほぼ同時に押し寄せてくる。 *** この日、6歳になったばかりの娘、結花の検診の日だった。結花には生まれつき心臓に疾患があり、定期的な検診が欠かせない。 「高瀬さん、すみません。本日から担当医がこちらの藤原先生に変更となりました」 急な担当医変更の説明を看護婦から受けるが、柚の耳には入ってこない。 新しくなった担当医を一目見た瞬間、奏だと気が付いた。 まさか、こんな場で再開するとは思っていなかった柚は、茫然としながら緊張と焦りでその場に立ち竦む事しか出来ない。 高校の時より大人びて色気が増しているが、生まれ持った雰囲気や整った目鼻立ちはそう変われるものじゃない。 「小児科医の藤原です。これから一緒に頑張っていきましょう」 一方の奏の方は、目の前いるのが自分の娘である事も、遥乃(柚)だという事にも気付かない。 それもそのはず、今の柚は名前も変わっている上、かつての太った少女ではない。 今の彼女は背が高くほっそりとし
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