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第111話

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大輔は視線を戻し、低い声で答えた。

「ああ、行こう」

二人が背を向けた瞬間、智美は誰にも気づかれないように安堵の息を吐いた。

智美が検査を受けている間、大輔は楓のスマホに電話をかけた。

しかし、何度かけても相手が出ることはなく、次第に我慢をすり減らした彼は、それ以上かけるのをやめた。

支払いを済ませて注射を打ってもらい、帰ろうとした楓の元に、警察から事情聴取に来てほしいと電話が入った。

一方その頃、恵理も健太の計画が失敗に終わったことを知っていた。

部下が険しい顔で、心配そうに尋ねた。

「お嬢様、松本の奴、我々のことを警察に喋ったりしませんかね?」

恵理は冷笑した。

「心配ないわ。奴にそんな度胸はない。自分の家族を路頭に迷わせたくない限りはね」

松本健太という愚か者。自分がお膳立てをしてやったというのに、見事に台無しにしやがって。まるで使い物にならないゴミだわ。

そう考えると、恵理の顔は怒りでひどく歪んだ。

どうやら、木村楓を潰すには別の方法を考えなければならないようだ。

楓が事情聴取を終えて警察署を出た頃には、すでに夕暮れ時だった。

そのまま車で自宅に戻
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