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苦学生を選んだ夫がすべてを失うまで

苦学生を選んだ夫がすべてを失うまで

By:  才々ちゃんCompleted
Language: Japanese
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Synopsis

逆転

ドロドロ展開

愛人

ひいき/自己中

不倫

妻を取り戻す修羅場

九十九回目の結婚式でも、私、朝比奈澪(あさひ なみお)の彼氏の榊原智也(さかきばら ともや)はまたすっぽかした。 その頃、彼が支援している苦学生の女子大生の藤田杏奈(ふじた あんな)が、SNSを更新していた。 写真には、男が競泳パンツ一枚だけを身につけ、ショッピングモールの入口に設置された販促パネルにもたれかかるように寝そべっていた。そのくっきりと浮かぶ下腹部のラインには、マンゴーがひとつ置かれている。 投稿文にはこう書かれていた。 【榊原グループの社長自ら来てくれて、うちのマンゴーのPRを手伝ってくれました~みなさん、ぜひ応援してくださいね~】 私は眉をひそめ、婚約者の智也に電話をかけた。 三回連続で切られ、ようやくつながったかと思えば、向こうから返ってきたのは、ひどく苛立った怒鳴り声だった。 「今忙しいって言ってるだろ!結婚式が何日か延びたくらいで死ぬわけじゃないだろ。これ以上しつこく電話してきたら、その場で別れてやる!」 ツーツーという無機質な音が鳴る直前、受話器の奥から元気な呼び込みの声まで聞こえてきた。 私はそっと目を閉じると、素早く彼の会社の管理アカウントにログインし、その投稿を役員用の大規模グループチャットに放り込んだ。 続けて、一文だけ打ち込む。 【このグループ内の全員へ。本日より、彼女のマンゴーを一つ買うごとに、会社から2000万円の報奨金を支給します】

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Chapter 1

第1話

九十九回目の結婚式でも、私、朝比奈澪(あさひ なみお)の彼氏の榊原智也(さかきばら ともや)はまたすっぽかした。

その頃、彼が支援している苦学生の女子大生の藤田杏奈(ふじた あんな)が、SNSを更新していた。

写真には、男が競泳パンツ一枚だけを身につけ、ショッピングモールの入口に設置された販促パネルにもたれかかるように寝そべっていた。そのくっきりと浮かぶ下腹部のラインには、マンゴーがひとつ置かれている。

投稿文にはこう書かれていた。

【榊原グループの社長自ら来てくれて、うちのマンゴーのPRを手伝ってくれました~みなさん、ぜひ応援してくださいね~】

私は眉をひそめ、婚約者の智也に電話をかけた。

三回連続で切られ、ようやくつながったかと思えば、向こうから返ってきたのは、ひどく苛立った怒鳴り声だった。

「今忙しいって言ってるだろ!結婚式が何日か延びたくらいで死ぬわけじゃないだろ。これ以上しつこく電話してきたら、その場で別れてやる!」

ツーツーという無機質な音が鳴る直前、受話器の奥から元気な呼び込みの声まで聞こえてきた。

私はそっと目を閉じると、素早く彼の会社の管理アカウントにログインし、その投稿を役員用の大規模グループチャットに放り込んだ。

続けて、一文だけ打ち込む。

【このグループ内の全員へ。本日より、彼女のマンゴーを一つ買うごとに、会社から2000万円の報奨金を支給します】

……

社内チャットは一瞬で騒然となった。すると智也がすぐさまアカウントに割り込むようにログインし、グループ内で返信してきた。

【澪、あの子は家が貧しいんだ。俺はフルーツを売るのを少し手伝ってるだけだろ。結婚式を延期したくらいで何なんだ?いい加減、そんな見苦しい真似はやめられないのか?】

するとすぐに、何人もの人間がそれに便乗した。

【朝比奈さん、もうすぐ社長とご結婚されるんですよね?社長は親切で、困っている人を助けているだけなんですから、もう少し理解して差し上げたらどうですか?】

【榊原社長みたいな方と結婚できるなんて、本当にラッキーですよ!】

私が返信しようとしたその時、智也は私をグループから追い出した。

それから間もなく、彼から個別メッセージが届いた。

【澪、もう怒るなって。杏奈ちゃんは苦学生なんだし、俺が少し宣伝を手伝うくらいいいだろ。自治体の支援事業にもなるんだしさ。式なら一週間後に改めて挙げればいい】

【いい子にしてろ。お土産を買ってあげる】

私は結婚式という文字を見つめて、ふいに笑ってしまった。

杏奈が現れてからというもの、私が智也と結婚しようとするたび、彼女は決まって何かしら騒ぎを起こした。

今回も例外じゃなかった。

夜になると、智也が帰ってきた。左手には杏奈の手を引き、右手にはケーキの箱と黒いビニール袋を提げている。

「澪、杏奈ちゃんが手作りしたケーキを持ってきた。それと、杏奈ちゃんの自家栽培のマンゴーも。

今日、自分のせいで俺たちが気まずくなったと知って、杏奈ちゃんはずっとお前のことを気にしてたんだ。わざわざ謝るためにケーキまで作ってきた」

私はかすかに眉を寄せた。

その言葉が終わるやいなや、杏奈が彼の後ろから顔を出した。

「智也さん、ここがあなたのおうちなの!?」

彼女は男の腕の中にすり寄りながら、私を見る目に隠しようのない挑発をにじませる。

「もし私が本当にここに住むことになったら、澪さん、嫌じゃないよね……」

「構わない。好きなだけいればいい。この屋敷には、いつでも来ていい」

私が口を開くより先に、彼はきっぱり言い切った。

私が何の反応も示さないのを見ると、彼の顔色は一変し、手に持っていた物を私に向かって投げつけてきた。

マンゴーの果肉が腕に触れた瞬間、細かな赤い発疹がぶわっと浮き、喉が締めつけられて呼吸が苦しくなる。

それでも彼は完全に無視したまま、怒声を浴びせた。

「澪!お前が勝手に俺のアカウントを使ったことだって、俺はまだ責めてないんだぞ。杏奈ちゃんはもうちゃんと謝っただろ。それなのに、いつまでそんなふうに騒ぎ立てるつもりだ?そんな態度、いったい誰に見せつけてる?」

彼は昔、私がマンゴーに重度のアレルギーを持っていることを知っていた。

ほんの少し触れただけでも呼吸困難になり、ひどい時には意識を失うことさえある。

なのに今の彼は、それを見て見ぬふりをしていた。

杏奈は絶妙なタイミングで目を赤くした。「智也さん、私のせいで澪さんと喧嘩しないで……澪さん、私の作ったケーキが気に入らなかったんだよね。きっと、私のことも歓迎してないんだよね。わ、私は……もう帰るから……」

その言葉で、智也の怒りは一気に燃え上がった。

「澪!杏奈ちゃんは俺が招いた客だぞ。そんな顔をして、誰に当てつけてるんだ!」

怒鳴ったあと、彼はさらに声を落とした。

「今、自治体は農業支援の事業にかなり目を光らせてる。杏奈ちゃんの父親はその担当者なんだ。

杏奈ちゃんは心臓を患ってる。少しでもつらい思いをさせてみろ。一週間後の結婚式もまた中止だ!」

そう言い捨てると、彼は杏奈を抱くようにしてそのまま二階へ上がっていき、私と彼の主寝室まで明け渡した。

あそこまで露骨に機嫌を取る媚びた態度には、吐き気しか覚えなかった。

呼吸はますます苦しくなり、視界も少しずつぼやけていく。

私はもともと、彼の仕事のために、国内外にある両親のあらゆる人脈を惜しみなく使ってきた。そのせいで、海外にいる両親はすっかり私に失望し、距離を置くようになっていた。

そればかりか、彼に「今は仕事が大事だから子どもはいらない」と言われれば、私はそれにも従った。

それが彼の望みなら、望み通りにしてあげる。

私は秘書に電話をかけた。

「伝えてちょうだい。私と智也の百回目の結婚式は、中止にする」

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