一方、桜は画面越しに安人をじっと見つめた。安人は少し黙ってから、正直に答えた。「海外にいた頃は、たまにあったかな」桜は驚いた。「本当にあるんだ!」「海外はまあ、オープンだから」安人は咳払いをした。どうも、彼女とこの手の話をするのはなんだか気まずい気がして、彼は話題を変えた。「そういえば、初演は北城でやるって聞いたよ」桜はストレッチを続けながら言った。「うん、来月の6日だよ。もう2週間しかないの!」「緊張する?」「うーん、大丈夫!」桜は動きを止めて、画面越しに安人を見て言った。「その日は、見に来てくれるんでしょ?」「当たり前だ。大事な彼女の人生初舞台で、しかも主役なんだぞ。行かないわけないじゃないか」それを聞いて、桜は嬉しそうに笑った。「だって、その日に限って仕事が忙しかったり、出張が入ったりするかもしれないじゃない!」安人は彼女を見つめて、優しく微笑んだ。「そんなことより、君の初演のほうが大事だからな」桜は思わず両手で顔を覆った。嬉しくて、にやける口元を隠せないでいる様子だった。「そんなふうに言われると、逆に緊張してきちゃうよ!」「桜、大丈夫。客席で見てるから。もし緊張したら、俺のほうを見て」その言葉に、桜の胸はまたドキドキし始めた。彼女は慌てて呼吸を整えた。その時、電話の向こうから、聞き覚えのある声が聞こえてきたのだ。「兄さん、ちょっと」プツッ!突然、ビデオ通話が切れた。桜は、突然切れてしまった画面を見つめ、かすかに眉をひそめた。どうしたんだろう?それに今の声、どこかで聞いたことがあるような気がするけど……桜が不思議に思っていると、安人からメッセージが届いた。安人【ごめん、ちょっと急用ができた。トレーニングが終わったら早く寝るんだよ。明日も朝早くからレッスンがあるんだろ】桜はそのメッセージを見て、返事を打った。【わかった!あなたも、用事が終わったら早く休んでね】すると、安人から【うん】と返信が来た。桜はスマホを置いて、トレーニングを再開した。トレーニングを終えた後、桜はソファで少しスマホをいじってから、自分の部屋へ向かった。シャワーを浴びて部屋から出ると、ふと、今夜はずっと寧々の姿を見かけていないことに気がついた。桜は寧々の部屋の前まで行くと、ドアをノックし
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