一花がホテルに戻った時、ちょうど敬子が美穂にテレビ電話をかけてきた。修治が体調を崩してベッドで休んでいて、美穂の表情も良くなかった。彼女は電話はとらず、メッセージで会話をしようと思っていた。そこへ一花が自分で携帯をとり、端のほうへ行って電話に出た。「敬子さん、何日も会っていないから、私に会いたくなりました?」テレビ電話が繋がると、一花はすぐに可愛らしい笑顔を見せた。少し前に見せていた悲しみなど、そこには微塵もなかった。敬子と和彦が一緒に画面に現れた。二人は一花の顔を見て、不安がスッと消えた。「もちろん、一花さんに会いたくてたまらないよ!いつになった帰ってくるの?」美穂が慌ててM国に行く時、二人にはただ西園寺幸雄と伊集院家に小さな誤解が生じているとだけしか伝えていなかった。修治が過去に起こしたトラブルなら、二人もよく知っている。美穂は二人には自分が解決してくるから心配するなと伝えていた。しかし、M国に行ってから、もう何日も連絡をしていなかったのだ。そして今一花が入院していると聞き、また何か問題が起り、修治まで赴いたものだから、二人はとても心配していた。二人が心配して焦るのではないかと思い、美穂はいつも悪い知らせを伝えることはなかった。ただ、二人は全てを知らされていないのが分かり、夜もよく寝られない日が続いている。一花は優しく微笑み、何もおかしなところを感じさせなかった。「あと少しかかると思います。今ちょっとまだやる事がありますから」「やる事?それはどんな事なの?」その話を聞いて、電話の向こうの敬子は少し緊張した表情に変わった。これには和彦も重たい表情に変えた。「柊馬の奴はどうしたんだ。どうして妻もしっかり面倒見られないんだ」本来一花は笑顔を保っていたが、和彦が突然言った言葉がナイフのように鋭く、彼女の心に刺さった。その瞬間、一花は瞳に涙を浮かべ、それがポタリと頬を伝って微笑んだ口元に流れ落ちた。「そんな、柊馬は……私のことをちゃんと見てくれていますよ」一花は自分が涙を流してしまったことに気づき、さらに無理をして笑顔を作った。「おや、一花さん、どうして泣くんだ?」和彦は眉をひそめて、画面に近づいた。敬子もすぐに画面に近寄ってきた。「一花さん、一体何があったの?おばあち
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