* * *天へと続く果てなき階段の頂きへ登りきった先で、リリシアは思わず息を呑んだ。そこは、空と地の境界が曖昧な、幻想的な天界のような場所だった。ひらひらと白銀の雪が冷たい夜風に乗って舞い、足元に広がるのは、天空をそのまま映し出したかのような静謐(せいひつ)なる水鏡の地。その水面に点在する緑の大地を5名の影が駆け抜けている。紛れもない、あの人達の姿だった。エルシーの弾むような足取り。アルベルトの華やかな身のこなし。テオの荒々しい闘気。リゼルの静かなる風。そして、ハノの流麗な駆け足。その頭上には、空を覆い尽くす程の巨大なイーグルの怪異が翼を広げて君臨し、禍々しい影を落としている。まるで雲の上を駆けるようにして必死に立ち回る彼らの姿に、胸が締め付けられた。けれど――。隣にいるルファルの、凍える程に冷たい空気に触れながらも感じる確かな温もりに、リリシアは救われる。この方がいれば、どんな呪いもイーグルの怪異さえも恐れることはない。「ルファル!」「リリシアちゃん!」緑の大地を疾駆するハノとエルシーが、リリシアとルファルを見つけて叫んだ。アルベルト、そしてリゼルとテオも熾烈な戦いの合間にこちらを一瞬振り返った。「チッ、ようやくお出ましかよ」「良かった」テオが毒づき、リゼルが静かに安堵の言葉を零す。直後、張り詰めた空気を切り裂くように、アルベルトの切迫した声が響いた。「まずい! ルファル、リリシア!」イーグルの怪異がリリシア達の方を向き、邪気の満月を作り出し、隕石のようにルファルとリリシアへ放つ。けれど、ルファルは眉ひとつ動かさず、瞬時に結界を張ってそれを跳ね飛ばした。その横顔は、夜を纏ったかのように静かで冷たく、そして息を呑む程に凛として美しい。空で爆発音が響き渡る。だが、イーグルの怪異はするりと攻撃を回避した。するとアルベルトが、空のイーグルの怪異を鋭く指差す。「ルファル、奴が避けたおかげでようやく見つけ出したぞ! 奴の弱点は、胸部にある心だ!」心――。その言葉に、胸の奥がちくりと痛んだ。もしかしたら、このイーグルも、ほんの少し前までの自分と同じように、闇に支配され、救いを求めているのではないだろうか。「そうか。ならば、アルベルト、エルシー、ハノ、リゼル、テオ。イーグルの動きを封じろ。そこで私はリリシアと共に討つ
Baca selengkapnya