All Chapters of 万有禊ぐ天津甕星: Chapter 41

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幕間 第41話 怪物にも人の心ありて

血と脳漿を撒き散らし、痙攣を繰り返す周防の遺体に対し、秋津は静かに哀悼の意を捧げた。遺体の胸と額には銃弾による穴が穿たれ、今も尚じわじわと血が溢れ出しているのが確認出来る。 数秒ほどすると、周防の動きは完全に止まった。 「──特務一佐殿」 秋津の背後──射干玉の闇の中より、若い士官が姿を現したかと思うと、切れのある動きで敬礼する。 秋津はくるりと向き直ると、士官の顔を見つめ、白い歯を見せてニヤッと嗤う。その双眸には一切の光がなく、底なしの沼を想起させた。 「──金城 剛彦の実力を甘く見たようだね、貴官は。お陰で替えのきかない尊い命が、複数喪われた」 「……はっ。申し訳、御座いません……」 士官は、秋津率いる実働部隊の参謀の一人であった。普段は香々星神社の神主として潜入しており、氏子総代の一人に成り済ました古参の参謀と共に、宮司の平坂 守、並びに禰宜の鬼塚 優の動向を監視していた。奏や金城たちが、新人の巫女、或いはアルバイトとして平坂に雇われたことを秋津に報せたのも彼と、秋津の信任厚い古参の参謀である。 如何せん才能はあるが、致命的に実戦経験が足りておらず、それ故に結果として上官たる秋津の命に従わず、秋津が想定した以上の犠牲者を出すという大失態を犯した。 秋津の言う通り、【彼岸】第五小隊の指揮官・金城の実力を過小評価したことによって。幾多もの死線を潜り抜けた古強者たちが、金城の手により殺されたのだ。 これは明確な軍規違反。上官たる秋津の命に背いたという事実は、決して消えることなどない。本来であれば軍法会議での処罰対象である。 「──貴官の失態のお陰で、最小限の被害で裏御三家の手の者たちを無力化する最初で最後の機会を逸した。礼を言おう、面倒な手間を増やしてくれてありがとう、と」 辛くも難を逃れ、生き残った金城たちはまず間違いなく、増援を本家に要請する筈。この次はきっと、大規模な増援が来るぞ。煙草に火を点けながら、秋津は鋭い目付きで士官の顔を睨め付ける。 「……お言葉ですが、特務一佐殿。裏御三家は現在、一枚岩では御座いません。御門本家が不和を齎し、巫女や覡を送り込むのにすら時間が掛かっております。金城たちが増援を要請したとて、必ずや御門の邪魔が入ることでしょう」 「──それを、御堂と御陵が黙って見ているとでも? 御陵本家の若き当
last updateLast Updated : 2026-07-18
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