帝太郎の問い掛けに無言で頷くと、玉郎は一呼吸置いて言葉を続けた。「お前、隠れ陰陽師ってぇの、知ってるか?」「隠れ……陰陽師?」 どこかで聞いたことがあるような気もするが、はっきりとは思い出せない。 単に「陰陽師」というのならば、まだ分かるのだが。 仕方がないので首を横に振ってみた。 下手に知ったかぶりをして話が見えなくなるよりは、早々に白旗を振った方が得策だ。 自分がこんな風な態度をとった場合、大抵玉郎からのちょっとした嫌味のひとつぐらい覚悟せねばならないのだが、果たして今日の玉郎は愚痴ってくれるだろうか? そんなことを期待してしまうのもおかしな話だが、辛気臭い雰囲気の玉郎を見ているよりは数倍マシだ。 帝太郎のその仕草に「お前、勉強不足だぜ」とつぶやいて、溜め息をつく玉郎。 先刻、自分の前に座してからこっち、いつものような覇気のなかった玉郎の、耳慣れた小言に帝太郎は何だか嬉しくなる。「うん。ごめんね。悪いけど説明してよ」 だからいつもならば突っ掛かるところを、今回は素直に謝って、玉郎の話を促したのだ。「平安の頃、陰陽師ってのはみんな陰陽寮って政府の機関に属していてな、そこの関係者以外の奴がその道――つまりは陰陽道だな――それに携わることを固く禁じていたんだ。隠れ陰陽師ってのは、言うなれば違法の術者だな。だから当然政府に見付かれば厳しく罰せられる」「そこまでしてやるなんて、隠れ陰陽師って何かすっごいメリットでもあったの?」 厳しい処罰を受けるかもしれないという危険と背中合わせで生活するリスクを負ってまでやるだけの価値があったのか? 帝太郎はそう問うている。「メリットか。それは人によって様々だと思うが……まあ妥当な線で言えば儲かるな」 危険であればある程、得るところも大きい。 それは今も昔も変わらない。「儲かるって…。それって隠れ陰陽師に何か頼み事
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