All Chapters of 奴隷王女は宵獅子の愛に溺れる: Chapter 41 - Chapter 50

56 Chapters

41話

 マリアネラは毎日祈った。チェセルと軍隊。そして両親の無事を。 そして少しでも力になればと、非常食作りや荷造りを手伝った。 負傷者や戦死者が運ばれるたびに不安で押しつぶされそうになりながらも、手当をし、安らかに眠ることを祈った。「マリアネラ様に手当していただけるだなんて、光栄です」 負傷した兵士は照れくさそうに笑う。「私にできることなど、これくらいですから……」「そんなお顔なさらないでください。チェセル隊長はご無事です。きっと今も、あなた様の為に、剣を振るっていますよ」「無事なのね、よかった……」 チェセルの無事を知って安堵するも、それは彼が運ばれてくる前の情報だ。今頃負傷しているかもしれないと思うと、再び不安にかられる。「マリアネラ様、これを」 兵士は懐から箱を取り出した。それはマリアネラがクッキーを入れて手渡した箱だ。「隊長が「美味であった」とおっしゃられていました」「そう、そうなのね……」 涙をこらえきれず、箱を抱きしめて静かに泣く。「マリアネラ様。俺は怪我が治ったら、また戦場に戻ります」「え……?」「俺達負傷者がすぐに国に帰されるのは、また戦場に戻るためなんです。怪我を癒やして戻ってこいと、チェセル隊長にも言われました。俺が戻る時、また隊長にクッキーを焼いてくれませんか? 俺が責任を持って届けますから」「いいの……?」「もちろんですとも! 愛の力は偉大ですね。隊長、いつも以上に張り切っちゃって、敵を次から次へと薙ぎ払って、すっごく頼もしくて、かっこよくって! イテテ……」 兵士は興奮気味に身振り手振りを交えながら、マリアネラに伝えてくれる。傷に障ったらしく、包帯の上から傷をさする。「もう、無理はしないで。でも、ありがとう。あなたが戻る時に、またクッキーを焼いておくわ」「はい! きっとチェセル隊長もお喜びになると思います」 マリアネラは改めて兵士に感謝を伝えると、自室に戻って箱を開ける。土埃が着いた箱の中には
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42話

 戦争が始まって半年が経つ頃、複数の負傷した兵士と共に、ふたつの棺桶が城に運ばれてきた。 マリアネラは追悼の祈りを捧げようと、蓋を開けた。中の遺体はボロボロの鎧を着ており、戦争の凄惨さをマリアネラに伝える。「私と陽の国のために……」 胸を痛め、顔にかけられた布を取ろうとすると、遺体は勢いよく起き上がる。「きゃあああっ!!!」 腰を抜かし、尻餅をつくと、蘇った兵士がマリアネラを見る。「は、母上!?」 夕の国で捕虜になっているはずの母が、ボロボロの鎧を着てにっこり微笑んでいた。「マリアネラ、会いたかったわ! こっちに来て、顔をよく見せてちょうだい」「母上!」 マリアネラは母の胸に飛びつき、涙を流す。鎧に覆われた胸に顔を強打したが、そんな痛みなど気にならないほど、胸がいっぱいになった。この瞬間をどれほど待ちわびていただろう。「よかった、本当によかった……。でも、どうして、棺桶に?」「それはね……」 母が説明をしようとすると、もうひとつの棺桶から音がした。「まさか……!」 その棺桶を開けると、父が起き上がり、マリアネラを見る。彼もボロボロの鎧を身にまとっていた。「父上!」「マリアネラ!」 父と抱き合い、再会の涙を流す。(ありがとう、チェセル……。父上と母上を取り戻してくれて……。お願い、はやく帰ってきて……) 戦場にいる想い人に心の中で感謝を伝え、彼の無事の祈り、改めて両親の顔を見る。ふたり共やつれてはいるが、思ったより元気そうだ。「今すぐ食事を用意します。その間、お風呂にお入りください」 使用人達がふたりに手を貸し、棺桶から出して鎧を脱がせる。「おっと……!」「大丈夫ですか?」 鎧を外してよろけたふたりを、使用人が支えてくれる。「父上、母上……」「そんな顔しないで。ずっと棺桶にいたから、ちょっと立ち眩みしたのよ」「鎧を外して急に体が軽くなったものでな。それに、棺桶で街の入口からここまで来たものだから、あちこち痛いんだ」 ふたりはマリアネラに心配させまいと笑ってみせるが、しばらくまともな食事をしていないふたりは、顔色があまりにも悪い。「そうだ! 皆、ふたりを座らせて待っててくれる? メリー、手伝って」「はい、マリアネラ様」 マリアネラはメリーを連れて調理場に行くと、料理長に事情を話す。「料理長。私の両親が帰
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43話

 そこは自室の向かいにある部屋だった。中に入ると部屋の奥にはふたつのベッドが並び、手前には大きな丸テーブルと3脚の椅子がある。 他にも、クローゼットやサイドテーブル、ドレッサーなどが設置されていた。「ここでお待ち下さい」「ありがとう、メリー」 メリーはにこりと微笑み、部屋を後にする。マリアネラは椅子に座って待とうとしたが、そわそわしてじっとしていられなくなり、室内を歩き回ったり、クローゼットやサイドテーブルの引き出しを開けたりした。 クローゼットにはシンプルなデザインの服やバスローブが収納してある。ドレッサーにはアクセサリーとスキンケア用品が、サイドテーブルは空っぽだった。(まだかしら……) 夕の国ではまともに入浴もできなかったのか、ふたり共かなり汚れていた。時間がかかるのもうなずけるが、それでもはやくふたりに会いたいという気持ちが強くて、今か今かと待ちわびていた。 ようやくドアが開き、シンプルながらも品のあるシャツやワンピースに身を包んだ両親が部屋に入ってくる。「父上、母上!」 ふたりに抱きつくと、石鹸の香りと共に、懐かしいにおいがした。太陽のように優しいふたりのにおいだ。「あぁ、マリアネラ……」「お前が無事だとは聞かされていたが、こうして直接会えて、私も母上も、安心したんだよ」「私も、ふたりのお顔を見て安心したわ……」 マリアネラとしてはまだ抱き合っていたかったが、ふたり共衰弱していることを思い出し、椅子に座らせる。「ふたり共、お腹が空いてるでしょう?」「そうね。サンドイッチを食べたけど、もう少し……」「あぁ、食べたからこそ、腹が減る。なんとも不思議な感覚だ」 ふたりは腹に手を添える。空腹のつらさはマリアネラにもよく分かる。「お待たせいたしました」 メリーと他の使用人達が、食欲をそそるにおいと共に、ワゴンを押して部屋に入ってくる。彼
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44話

 陽の国の両陛下奪還から1年半の月日が流れ、終戦の知らせが届く。宵の国が夕の国を討ち取ったと。その知らせを聞いて、マリアネラはすぐに宵の国の入口に行ってチェセル達を待ちたかったが、使用人に止められてしまい、やきもきしながら城で待つことになってしまった。「チェセル、無事だといいのだけど……」 マリアネラは自室から外を見る。2階からだと門が邪魔でよく見えないが、遠くから英雄達がこちらに向かって歩いてきているのが見える。街はお祭り騒ぎで、歓声と紙吹雪でいっぱいだ。 チェセルの姿を探そうと目を凝らすが、遠すぎて見えない。どうにかして城を抜け出そうかと考え始めた矢先、誰かがドアをノックした。「はい」「マリアネラ様、メリーです」 ドアを開けると、メリーがにこやかに立っている。「どうしたの?」「マリアネラ様、こちらへあなた様にお会いしたいという方々がいらっしゃいます」「誰?」「会ってからのお楽しみ、と言われていますので」 メリーは困ったように笑う。(こんな時に客人なんて……) 複雑な気持ちでメリーの後についていくと、応接室だった。メリーがノックすると、返事が聞こえてくる。声からして、若い人ではなさそうだ。「どうぞ」 メリーがドアを開けると、中では国王と王妃が仲睦まじくお茶をしていた。テーブルにはアフタヌーンティーのセットが並んでいる。 「あなた方は……!」 「お久しぶりです、マリアネラ王女」 「今まで、いったいどこに?」 マリアネラがこの城に来てから、1度も見たことがなかったからずっと気になってはいた。もしかして陽の国が戦争をしている間に亡くなったから知らなかったのかとも考えてみたが、メリー達がチェセルを王子と呼ぶのを見て、彼らが存命であることを知った。 出た答えは、「奴隷になった自分と一緒にいたくないのだろう」というもの。だが、ふたりからはマリアネラを軽蔑したり、見下したりするような雰囲気を感じられない。「私達には広すぎる城は落ち着かなくてな。別棟で暮らしているのだ。王女よ。あなたのことは使用人達から聞いていた。とてつもない苦労をしてきたな」 チェセルのような風格を持つ国王が、ねぎらいの言葉をマリアネラにかける。それだけで胸が震えた。 「えぇ、想像すらしたことのない生活をしていた時期もありました。ですが、チェセル王子が、私を救ってく
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45話

「お飲みになって。少し、ぬるくなってしまったけど」「そんな、ありがとうございます。いただきます」 紅茶をひと口飲むと、確かに少しぬるいが、猫舌気味のマリアネラにはちょうどいい。「ところで、私に何かご用でしょうか?」「実は、マリアネラ王女がこの城にいると聞かされたのは、少し前のことでな。チェセルが口止めしていたのだ。まったく、困った息子だ」「チェセルもいい歳でしょう? だから、結婚を催促していたのだけど、心に決めた人がいると言って、私達の話を聞かなかったのですよ。でも、ようやくあなたとお会いできて、嬉しいわ」「それって……」 ふたりの言葉に、胸が高鳴る。チェセルがどれだけ自分を本気で愛しているのか、改めて実感する。「チェセルったら、マリアネラ王女以外は考えられないなんて言うのよ」「そんなことが……。王妃様、国王様、私のことは、マリアネラとお呼びください。私はもう、王女ではありませんので……」「あら、それならそう呼ばせてもらうわ。けれどあなたは、立派な王女よ」 そう言って王妃は優雅に微笑む。マリアネラは複雑な気持ちで微笑み返した。「我々が考えた婚約者候補のひとりが、マリアネラとも知らずに、勝手に暴走しおって」「え……?」 マリアネラも年齢的に結婚を意識するように両親から言われていた。候補や、結婚を申し込んできた相手について聞かされてきたが、チェセルの名前はそこになかった。だから、ふたりがそんなふうに考えていたなど、思ってもみなかった。「初めて聞きました」「そうでしょうね。あなたに結婚を申し込もうとした矢先に、あの戦争があったのですから」 王妃は悲しそうにカップに視線を落とす。陽の国と夕の国の戦争のせいで、大事な娘が亡くなったのだ。彼らにとってあの戦争は他人事ではないのだろう。 どう声をかけようか迷っていると、ドアの向こうから足音が聞こえてきた。堂々としたあの足音が。「チェセル……!」 気づいたらマリアネラは立ち上がり、ドアに向かって足を動かしていた。両陛下はその様子を嬉しそうに見ている。 ドアが開き、愛しい人が応接室に入ってくる。彼はマリアネラを見つけると、優しく微笑んだ。 「今帰った」 まるでちょっとした外出から帰宅したかのような言い方だ。「チェセル!」  両陛下がいることなど忘れ、マリアネラはチェセルに駆け寄り、力
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46話

 連れてこられたのはマリアネラの部屋。 「ベッドに行こう。少し疲れた」  チェセルはマリアネラを抱き上げ、ベッドに寝かせると、自分もベッドに入り、マリアネラを抱きしめた。マリアネラは少しでもチェセルの存在を感じようと、胸板に顔を埋め、しがみつく。 「ふぅ……。ようやくお前を抱きしめることができた……。どれほどお前を恋焦がれていたことか……」 「私も、ずっとチェセルに会いたいと思っていました。本当にありがとう、お疲れ様……」 「お前も日々、気を揉んで疲れただろう? 補給部隊から、お前の話は聞いていた。常に私の身を案じ、食糧作りや負傷者の手当を積極的にしていたとな」 「私は、自分でできることをしただけです。チェセル、国を取り戻してくれて、ありがとう」 「礼なら口づけでしてくれ」「えぇ、もちろん」  マリアネラは顔を上げ、チェセルの唇に触れるだけのキスをする。そこにあるのは純粋な愛だけで、恥じらいなどは一切ない。 チェセルは一瞬目を丸くし、満足げに笑う。 「本当にしてくれるとはな。これから陽の国の立て直しなどで忙しくなるが、難しい話は後にしてくれ。このまま少し、眠らせてもらうぞ」 「はい。おやすみなさい、チェセル」 チェセルは一旦マリアネラを離すと、彼女の胸に顔を埋めて寝息を立てる。(気丈に振る舞ってたけど、疲れてるのね……) 1分もしないうちに熟睡しはじめたチェセルの髪を、そっと撫でる。戦争から帰ってきたばかりで、汗と血の匂いがする。しばらく風呂に入れなかったせいで少し臭う。だが、不快感など微塵もない。 (起きたら、私の気持ちを伝えよう。誰よりも愛していると)  いつも彼がしているように、チェセルの額にキスをすると、マリアネラも目を閉じた。  マリアネラが目を覚ましたのは午後3時過ぎ。少し空腹ではあるが、腕の中でチェセルがまだ眠っている。彼がいる幸せを噛み締めながら寝顔を見ていれば、空腹など気にならない。「ふふ、可愛い寝顔……」 マリアネラはそっとチェセルの頬に触れる。眠れる獅子は、存外あどけない。マ
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47話

 一通り挨拶を終えたのか、チェセルがマリアネラの元に戻って来る。彼は両手にシャンパンを持ち、片方をマリアネラに差し出した。「ひとりにしてすまなかったな」「いえ……。あなたにも、立場というものがあるもの」 マリアネラはシャンパンを受け取りながら、微笑んでみせる。本当はチェセルの厚い胸板に顔を埋めて甘えたいが、多くの人が集まるホールでそんなことはできない。「理解があって助かるが、お前はもっと、ワガママを言っても良いのだぞ?」「ワガママを言うだなんて……。あなたはもう、私の最大のワガママをふたつも叶えてくれました」「国と両親のことか? あんなもの、ワガママとは言わん」 チェセルはマリアネラの肩を抱き寄せ、髪を撫でる。心地よいが、人目が気になってやんわり押し返す。「恥ずかしがり屋め。今夜、私の部屋に来い。そこでなら、お前も甘えてくれるだろう?」 心地よい低温が鼓膜を震わせ、背筋が粟立つ。ふたりきりになれなくて拗ねていたが、夜にチェセルとふたりきりになれると分かっただけで、胸が弾む。「分かりました」 笑みを浮かべて返事をすると、チェセルの手が腰に回され、エスコートされる。数人の貴族に妻だと紹介され、くすぐったくもあたたかな気持ちになり、チェセルに愛される幸せを噛み締めた。 パーティーが終わると、マリアネラは再び湯浴みをした。国と両親を取り返したら、チェセルにすべてを捧げると約束をした。それはきっと今夜だ。 新品の下着とネグリジェに身を包み、チェセルの部屋のドアをノックする。「チェセル、マリアネラです」 返事はない。もう一度ノックしようとすると、ドアが開き、伸びてきた腕に掴まれて部屋に引きずり込まれる。「きゃあっ!?」「くく、いい悲鳴だ」 気づけばチェセルに抱きとめられており、見上げると彼が意地の悪い笑みを浮かべていた。「チェセル……! 驚かせないでください!」「初心《うぶ》な姫君は緊張で固まっていると思ってな」 チェセルはマリアネラを抱き上げ、ベッドの上に座る。「マリアネラ……」 チェセルの腕に力が入り、マリアネラも彼に抱きつく。チェセルのおかげで多少の緊張はほぐれてきたものの、初めて入ったチェセルの部屋は広々としており、落ち着かない。「こうしてお前を抱きしめていると、心が満たされる……。だが、お前は落ち着けないようだな。初め
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48話

「もう少しキスを楽しみたいところだが、今日は余裕がない。服を脱がすぞ」 チェセルは悩ましげに吐息を零すと、マリアネラのネグリジェに手をかける。「あ……」 ネグリジェも下着もあっという間に脱がされてしまい、マリアネラは咄嗟に胸を両手で隠す。  「いつまで経っても恥ずかしがり屋だな。私も脱ごう」 チェセルが服を脱ぐと、体中に生傷がある。前回彼の体を見たのは2年前だが、その時よりも明らかに傷跡も増えていた。「こんなに……」 そっと傷に触れると、細胞が治癒しようと働いているのか、熱を持っていた。「名誉の傷だ。そのような顔をするな」 チェセルは自分の傷に触れたマリアネラの手を掴み、もう片方の手で上を向かせると、触れるだけのキスをする。「この傷は自分のせいだと自惚れるな。私は欲しいものを手に入れるために、自分の意志で戦争をしかけたのだ」「チェセル……」 態度や言葉こそ傲慢だが、その裏には優しさがある。「はい、分かりました」 礼のつもりでキスをし返すと、チェセルは一瞬目を丸くする。彼を驚かせることができたことが嬉しくて、口角が自然と上がる。「あまり可愛いことをするな」 ゆっくり押し倒され、いよいよチェセルにすべてを捧げる時が来たという実感が、一層強くなる。破瓜は痛いとどこかで聞いた。怖くないと言えば嘘になるが、チェセルのものになれるのなら、多少の痛みは覚悟しよう。それが戦争をしてまで国と両親を取り返してくれたチェセルの敬意であり、愛情表現でもある。「今からお前を私のものにできると思うと、柄にもなく焦ってしまいそうだ。できるだけ大事にするが、理性が飛んでしまったらすまない」 チェセルはマリアネラの額に口づけを落とすと、耳を喰む。啄むように愛撫されたかと思えば、舌先で溝をなぞられ、ゾクリと背筋が粟立つ。「ひぅ、あ、あぁ……♡ んっ、ひああっ♡」「ふ、いい声だ&hel
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49話

「私も、愛しています。けど、少し大げさですよ」 照れが入り、つい余計なことを言ってしまう。しまったと思い、チェセルを見ると、彼はふてくされたような顔をしている。大男にこのような感想を抱くのはおかしいとは思うが、不覚にも可愛いと思ってしまった。 「何度も言わせるな。私は嘘と世辞が嫌いだ。心の底からお前を愛しているのだ。私の愛を大げさだと言うのなら、そう思う余裕すら奪うまでだ。口を開け」「んんっ……!」  口に太い指を2本も入れられ、目を見開く。チェセルは意地の悪い笑みを浮かべ、マリアネラを見下ろしていた。 「私の指を、舌で愛撫するのだ」 指を動かされ、マリアネラは必死に舌を這わせた。上を向いているというのに、口端から唾液が零れ、頬に伝う。 「んぅ、ふ……。んむぅ……!」「そうだ、そのまま私がいいと言うまで続けろ」 チェセルの舌が耳穴に押し込まれ、出し入れされる。再び耳を舐められ、口の中をかき混ぜられ、頭の中が水音で満たされていく。 (これ、ダメ……。頭の中、犯されてるみたい……) 「耳から、口から水音が響いて、脳をぐちゃぐちゃにされている感覚に陥るだろう? そのまま余計な理性など捨てて、私が与えるものすべてを受け入れろ」 「あぅ、んんっ……♡ ふ、あぁっ♡」 くちゅくちゅと淫靡な水音が脳内を埋め尽くし、理性を溶かしていく。マリアネラはただ、その感覚に身を委ねるしかなかった。「ひゃうぅっ♡」 耳に息を吹きかけられ、小さく跳ねる。チェセルはそんなマリアネラを見て、喉を鳴らして笑った。 「すっかりとろけきった顔をしているな。もう指を離していいぞ」 指を抜かれ、新鮮な酸素を取り込もうと、口をはくはくさせる。 「お前の唾液で濡れたこの指で、乳首をこねくり回したら、お前はどんな反応をしてくれる?」 チェセルがマリアネラの口から引き抜いた指を開くと、糸を引いてぷつりと途切れた。その指がマリアネラの乳首をつまみ上げる。「んうぅ……♡」 唾液が潤滑剤の役割を果たし、つまみ上げられた乳首はつるんと落ちてい
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50話

「では、足を開いて、夫を迎え入れる意思を見せてくれないか?」 「はい……」 いつまでも恥じらってはいられないと、足をゆっくり開く。マリアネラの蜜壺からはとろとろの蜜が溢れ出し、シーツまで濡らしていた。 「あぁ、もうこんなに蜜が……」  チェセルはマリアネラの太ももに手を添え、蜜壺に舌を入れる。「あ、あぁっ……♡」 蜜を掻き出すように舌を動かされ、マリアネラはたまらずいやいやと首を横に振りながらよがる。「ひうぅ♡ や、んんっ♡」 「初めての夜はあんなに濡れなかったというのに、今は飲んでも飲んでも溢れてくる……。随分と感度が上がったな」 淫乱になったと言われたようで恥ずかしくて、顔を背ける。 「あなたが、触るから……」 「確かにお前に快楽を教え込んだのは私だが、こうして肌を重ねるのは、2年ぶりだ。どちらにせよ私のせいということになるが、私に惚れたから濡れていると言われたほうが嬉しいのだがな?」 「そんな恥ずかしいこと……」 「今は抵抗があっても、いずれ自分から言うようになる。言わせてみせる。私が有言実行する男なのは、お前もよく分かっているだろう?」 「そう、だけど……」 「恥ずかしさのあまり、そっけない態度を取るのも可愛らしいな。指を入れる。力を抜いておけ」「んぅ、ふ……」 蜜壺に指を入れられる。2年ぶりに異物を入れられたそこは、緊張で力が入ってしまう。「む……、少しキツイな……。戦争に行ってる間、私を想いながら自慰をしてくれてると思ったのだが」 「なっ……! そんなこと、してません……!」 「本当にそうか?」 チェセルは意地の悪い笑みを見せると、クリトリスを強く吸う。前触れもなしに与えられた強い快感に、マリアネラは声にならない声を上げながら仰け反り、絶頂する。 「はぅ、あぁ……♡」 2年ぶりの絶頂に、マリアネラは痙攣し、なんとか息を整えようとする。チェセルはニヤリと笑ってマリアネラを見ていた。 「ナカはキツくなったが、クリトリスは随分と敏感になったな?」 「
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