「おえっ!」宗谷の様子を見ていた周りの人々は、思わず吐き気を催した。「結城室長、なんで骨なんか食べてるんですか!」「どんなに悲しくても、やっていいことと悪いことがありますよ!」周囲の者たちは顔を背け、誰も直視しようとはしなかった。ただ一人、琴音だけが食い入るように結城の表情を見つめていた。本当に杏奈の子の骨かどうか、琴音も気になって仕方がないのだ。中身を口にした宗谷は、それが骨ではないことを即座に察した。「小麦粉だ!これは骨じゃない。ただの小麦粉だ!」宗谷は興奮気味に瓶を地面へ投げつけた。白い小麦粉が辺りに散らばる。周囲の人々も恐る恐る近づいて嗅いでみた。確かに、小麦粉だった。一同は胸をなでおろす。「もう、なんですか。全く人騒がせですね。本当にびっくりしました」「結城室長、また奥さんの冗談みたいですね。それにしても、自分の子供を使って、こんなことするなんて悪趣味ですよ」「それじゃあ、奥さんの子供は無事ってことですよね?じゃあこの食事会は予定通り続けますか?」子供を抱えた琴音は、心の中で落胆していた。宗谷が自らの手で子供を亡き者にしてくれたと思ったのに、まさか生きているとは……「杏奈は俺を騙してた」宗谷は振り向いて、ボディガードを見た。「あいつが出ていくとき、子供は抱いていたか?」ボディガードは慌てて首を振る。「分かりません。でも、結城室長、この中身が小麦粉だなんてことは露知らず……」「分かった。今日の一件はこれでおしまいだ」宗谷は何事もなかったかのように招待客を中へと促し、食事会の準備を整えさせた。すると、ボディガードがポケットから離婚届受理証明書を取り出し、宗谷に渡した。「結城室長、奥様からこれも預かっていまして……」「離婚届受理証明書!」琴音は素早くそれを受け取る。本物であることを確認した彼女の顔から、笑みが溢れた。「これ、本物だよ!宗谷さん、やっと杏奈さんと別れられたのね。これで私たち、本当の家族になれる!」琴音が狂喜する一方で、宗谷の心は絶望のどん底へと突き落とされていた。もう1ヶ月も経っていたのか?離婚届受理証明書まで、発行されていたなんて。あと1ヶ月も待って、杏奈が出産した頃に籍を入れ直そうと思っていた。しかし、杏奈の子供はもう産まれてしまった
続きを読む