パーティー当日。 佳苗は鏡の前で小さく深呼吸をした。 ネイビーのドレスに身を包み、髪も美容室で整えてもらった。 いつもの自分とは少し違う姿に、まだどこか落ち着かない。「佳苗」 リビングから雄吾の声がする。「準備できたか?」「は、はい」 ドアを開ける。 その瞬間、雄吾がゆっくりとこちらを振り向いた。「……」 何も言わない。 佳苗は不安になってしまう。「あの……変でしょうか?」「いや」 雄吾は静かに首を振った。「見惚れてた」「えっ……」 思いがけない言葉に、佳苗の頬が一気に赤くなる。「今日は、本当に綺麗だ」「……ありがとうございます」 恥ずかしくて顔を上げられない。 そんな佳苗を見て、雄吾は小さく笑った。「行こうか」「はい」 ◇ 車がホテルへ到着する。 エントランスには、すでに多くの招待客が集まっていた。 高級ホテルらしい華やかな雰囲気に、佳苗は思わず足を止める。「雄吾さん……」「大丈夫」 雄吾はそう言って、そっと右腕を差し出した。「昨日練習しただろ?」 佳苗は小さく頷き、おそるおそる腕を組む。「緊張するか?」「……少しだけ」「なら、俺だけ見て歩けばいい」 その言葉に、自然と笑みがこぼれた。「はい」 二人は並んで会場へ向かう。 受付を通った瞬間だった。「あっ……!」 小さな声が聞こえた。
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