一限目の国語の授業中。 ジッと教科書と睨めっこしていると、後ろからツンツンと突かれた。 授業中に後ろを振り返るとかなり目立つため、俺は意図的に彼女を無視する。 全く、もう少し空気を読んで欲しいものだ。 君は怒られないかもしれないけどね、俺は怒られるんだよ。 しばらく無視していると、今度は四回程度ガサツに折り畳まれた紙が教科書の上に落ちてきた。 背後から飛んできたから——————まあ、そういうことだ。 俺は教科書の上にあるソレを手で優しく払った。 ソレは、抵抗虚しく床に落ちる。 「あっ!」 後ろの彼女が突然大きな声を上げ、先生含めたクラスの大半が彼女の方を向いた。 まあ、俺は無関係だから身動きを取ることなくジッと教卓の方を向く。 「姫柊《ひめらぎ》さん、どうかしたのかな?」 「あ、いや……」 彼女の態度に違和感を覚えた先生が、こちらへ歩み寄ってくる。 途中、俺の机横に落ちていたソレに気が付いて「よっこらせ」と言いながら拾い上げた。 「これ、久山《ひさやま》君のかい?」 「いえ、違います」 「そうか」 そう言って先生は、折り畳まれたソレをゆっくりと広げる。 背後で「あ……」と声が聞こえたのは多分、俺の空耳だ。 そして、ソレの中から現れたのは—————— 『いい加減にしないとぶっ刺すぞ♡ 君の大親友 花音《かのん》より』 先生は、世界から一人取り残されたかのように動きがピタリと止まっていた。 予想外すぎる内容にビックリしてしまったのだろう。 先生の視線が、俺と彼女の双方を行交う。 そして何かを察した先生は、咳払いをしてからソレを彼女に渡した。 「仲良くするなとは言わないけど、ほどほどにね。あと、授業は真面目に受けましょうね」 「あ、はい。すみませんでした……」 先生が教卓に戻ると同時に、後ろから「ゴンッ!」と何かをぶつけるような音が聞こえてきた。 ◆◆◆ あ~!!! クソッ! やられた! 完全にやられたわ!!! 顔も大分熱い。多分羞恥のあまり顔が真っ赤になってるに違いない。 見てみろ、榊《さかき》くんがこちらを窺いながら口元に手を当てて「ぷくく」と笑っているじゃないか!
Terakhir Diperbarui : 2026-05-26 Baca selengkapnya