「夕辺、随身として右大将の供で出掛けたんだ――」 そう言って説明してくれたところによると、隆亮は随身として右大将について出掛けたらしい。「そこを群盗に襲撃されたんだ」 隆亮が言った。 「右大将を狙ったのか?」 「いや、右大将が通ってる姫だ」 ちょうど群盗が邸に襲撃を掛けたところに右大将が到着したため戦闘になったらしい。「姫や右大将は無事だったのか?」 貴晴が訊ねると、 「随身が何人かケガ人したがな。それより、お前を呼んだのは逃げ遅れた群盗を捕まえたからなんだ」 隆亮が答えた。「ホントか!?」 「ああ。で、話によると内大臣の姫を狙ったのも、そいつららしいんだ」 「それで? 塒は聞き出せたのか?」 貴晴が訊ねた。 聞き出したのならとっくに検非違使が乗り込んで捕まえているかもしれない。 そうなると貴晴のする事はなくなる。 群盗は〝鬼〟の他にもいることはいるが――掃いて捨てるほど。「連中が言うには誰かに雇われたんじゃないらしい」 「嘘じゃないのか?」 邸に押し入るような連中が素直に話すとは思えない。「検非違使がそう言ってたんだ」 隆亮はそう言ってから貴晴が疑わしそうな表情をしているのを見て、 「検非違使っていうのは取り調べで拷問もするんだ」 と付け加えた。 「検非違使の拷問って相当だぞ。検非違使にならなくて良かったって思うくらいには……」 「そうなのか」 貴晴はようやく納得して頷いた。 貴族というと大人しくて気が弱いと思われがちだが実際はそうでもない。 内裏で掴み合いの乱闘をすることもあるくらいである。 当然、内裏の外では武器を振り回すこともある。 穢れを受けるとしばらく参内出来なくなるので殺しは郎党にやらせることが多いが。 貴晴も襲撃されたら普通に斬り殺すし、それは隆亮も同じである。 都というのは各地から食い詰め者が流れ込んで
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