「そ……そんなのすぐに無理っ!」正直に言えば、自分でも何を言っているのかよくわかってなかった。ただ、紅と一緒にいる空間が気持ちよくて、それを永遠に手に入れたいと思ったから……「今すぐってわけじゃなくて、そんな気持ちが芽生えたんだよ。紅とずっと一緒にいたいって」紅の反応は意外だった。顔を赤くして焦って……もっと余裕で受け流されると思ったのに。「こんな気持ちをどう呼ぶのかといえば、多分恋なんだろうな。……激しい気持ちじゃなくて、もっと優しい気持ちだから、もしかしてもう愛の領域に入ってるかも」「じ、人類愛……ってやつですか」「なんだよそれ。ちゃんと男女の愛だよ」「神楽さんはたくさんの人を一度に愛してきた博愛主義だったじゃないですか。だから、そういう中に私も入ったって報告ですよね?」どうしたらプロポーズをそういう意味に変換できるのか……紅は横を向いてしまった。「今までの俺を知ってるし、深く傷つけたこともあるから、信じられないのは仕方ないし覚悟してるよ」「そうですよ。……ちゃんと、クズでいてくれなきゃ困る」「……ごめん。愛に目覚めて」一瞬こちらを向いた紅。視線が絡み合ったものの、一瞬でブチ切るように、再び激しく顔を背けられた。「……急すぎたんじゃない?」食堂で出くわした京香にため息の理由を聞かれ、紅にまじめなプロポーズをしたことを打ち明けた。「そうかもな。でも、自然と言葉が出て、止めたくなかったんだよな……」「神楽の素直な気持ちか。確かにレアだね。真剣な気持ちを伝えたなら、少し落ち着いて見守るのがいいかもね」もちろんそのつもりだ。自分のやってきたことを思えば、すぐに信用しろと言っても無理な話。「これまで……考えたこともなかった事が頭に浮かぶんだよな」「……どういうこと?」焼き魚定食の塩サバを切り分け、京香は茶碗のご飯と共に大口を開けた。「一緒に出かけるとかさ?ドライブとか映画とか、なんかのイベントとか?」「それ……デートっていうんだけど?」「まぁ……そういうのをしたいっていうかさ」たとえば映画を観て、悲しい場面ではどんな表情をするのか……見晴らしのいい景色を見たら、どんな声をあげるのか。そんな健全な興味を抱いたのは紅が初めてだ。京香は言葉にしない俺の心の声が聞こえたかのように、笑いながらワカメの味噌汁に口をつけた。そ
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