All Chapters of 最強のママチャリに乗って美少女と一緒に異世界をのんびりと旅する: Chapter 31 - Chapter 34

34 Chapters

白銀の町と喋る雪ダルマと人間嫌いの男――2

「はぁ?」 キランのその提案に、チャーリーが怒りと呆れが混じったような声を上げる。「なんでテルがそんなことしないといけないのよ、あたしと勝負しなさいよ、ぼこぼこにしてあげるわ」「俺はテルと戦いたいんだよ」「ふざけないで、なんでそんな分が悪い戦いをテルにさせなきゃならないのよ」 チャーリーの言うことはもっともだ。でも……。 僕は深く考えて、決意した。「わかった、キラン、サシで戦おう」「そうこなくちゃ」「はぁー?」 チャーリーが今度は僕に怒りを向ける。「何言ってんのよ、テル、正気?}「ああ、正気だ」「前からバカなんじゃないかと思ってたけど、まさかここまでバカだったとはね、一応聞くけど、理由は?」「……親友の頼みを聞いてやりたいんだ」 親友という言葉に、ぴくりとキランが眉を動かしたのが視界の端に映った。「……そんだけ?」「ああ、そんだけだ」「はぁーーーー」 と大げさに溜息をつくチャーリー。「……あんたじゃ、キランに勝てないわ」「そうだろうな」「死ぬわよ」「かもしれないな」「それでもやるの?」「ああ」「……はぁ、わかった、もう好きにしなさい」 と投げやりな感じで言うチャーリー。 クルシェはというと、先ほどからあわあわとしていて、僕とキランを交互に何度か見た後、両者の間に入ってきた。「ちょ、ちょっと、なんでそんな、一騎打ちなんて……、二人とも、あんなに仲良かったじゃないですか、どうして戦わないといけないんですか、やめましょうよ、こんなことに何の意味が……」 キランが鋭い目つきでクルシェの方を見る。「うるせぇ! 男の戦いに口出すんじゃねぇ、引っ込んでろ!」 彼にものすごい剣幕で怒鳴られたクルシェはびくびくっと震えて、よろよろとした動きで僕とキランの間から離れていった。 それから、僕とキランは見つめ合った。 お互い示し合わせたように、同じタイミングで、鞘から剣を抜いた。 チャーリーもクルシェも、もう何も言わなかった。、ただ固唾を飲んで、僕たちを見守っている。 僕とキランはお互いに距離を詰めていく。無言で、ゆっくりと、間合いを確かめながら。 キランの持つ剣の方が剣身が長いので、彼のほうが早く間合いに到達する。 だから、最初に仕掛けてきたのは、キランの側だった。 僕の頭に向かって、剣を振り下ろしてくる。
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嘘をついてはならない国――1

 キランを騎士団に引き渡した後、僕たちは白銀の町を出た。 クルシェはずっと表情が暗く、チャーリーもテンションが低めだ。 まぁあんなことがあったしな……。 こういうときは、酒を飲んで、うまい飯を食うに限る。 ということで、訪れた町の酒場とかで、酒を浴びるように飲んだり、ドカ食いしたりしていたのだが、一時は明るくなっても、またすぐに皆元気がなくなってしまった。 どうしたもんか、と思いながら、街道で自転車をひたすら漕いでいた時、荷台に乗っていたクルシェがこんな提案をしてきた。「ご主人様、私の故郷に行きませんか」「クルシェの故郷っていうと、嘘をついてはならない国だっけ、たしか」「はい、そうです、ここから近いので、どうかと思って」「そっか、僕もそこには興味があったし、行ってみるか、チャーリーもいいよな?」「ええ」 ということで、クルシェの故郷に向かうことにした。 そして一週間後、クルシェの故郷である、嘘をついてはならない国の王都に着いたのだが――「あんたって、ほんとブスよね」「そういうあんたは性格が最悪よね」「なんですって!」「男は金よ、金!」「いいえ、顔の方が大事よ」「やっぱり女は胸だな、巨乳こそ正義!」「いや、違うな、女は尻だ」「ごめんなさい、実は私、浮気しているの」「ええ……」「しかも、あなたを含めて今、彼氏が三人いるの」「まじかよ……でも、よかった、実は俺も君以外に四人付き合っている女の子がいるんだ、俺たち、お似合いのカップルだな、あははははは」「は? ふざけんな」 町に入るなり、人々がそんな会話をしているのが聞こえてきた。「どうですか、言いたいことがはっきりと言える、素敵な町でしょう?」 とクルシェが微笑する。「うーん……」「そう……かしらねぇ……」 僕もチャーリーも微妙な反応を返した。「あ、どこか行きたいところ、ありますか? 案内しますよ」「じゃあ、ポーションを買いたいから、ちょっと薬屋に行きたいんだけど、どこにあるかわかる?」「薬屋ですね、ついてきてください」 とクルシェに連れていかれて、薬屋に入ったのだが、なんかどの商品も相場よりだいぶ高くないか? 他の客も「おい、店主、ぼったくりすぎだろ」とか言っている。それに対して「ああ、他の国の三倍の値段で売っているからな」なんて店主が返している。
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嘘をついてはならない国――2

 次の日―― 僕はクルシェの実家の前に来ていた。「……なんか、でかくね?」 思わず、大きく口を開けて、そう言ってしまう。 立派な門があり、庭があり、建物も三階建てで、見るからに金持ちの住む家って感じだ。「クルシェってもしかして貴族かなにかだったりする?」 とチャーリーが訊くと、「そういうわけではないんですけど、父が大商人で、商売でとても成功したみたいなんです」 彼女の靴やバッグがけっこう上等なものだったから、裕福な家庭なのかなとは思っていたけど、まさかここまでの家に住んでいたとは。「こんないい家に住んでいたのに、何であの屋敷でメイドなんかやっていたの?」 と僕が訊くと、「私、ずっと、両親の言いなりで、行く学校も交友関係も親に決められて、働く場所すらも決められそうで……私、それが嫌で、家出しちゃったんですけど、両親が使用人とかに私のことを捜索させていたみたいなんです。家に連れ戻されたくなかったので、まさかメイドをやっているとは思わないだろうなって考えて、あそこで働いていました」 そういう理由だったのか。 家に訪問する前に、僕はもう1つ確認しておくことにした。「一度は出た家に戻ることになるけど、それはいいの?」「はい、いつかは戻らないといけないとは思っていましたし、それに、ご主人様のこと、両親に紹介したいですから」「そっか」「ご両親、クルシェのことを心配してるんじゃない? かなり長い間帰っていないんでしょう?」 とチャーリーが言うと、クルシェは困ったような笑みを浮かべて、 「かもしれませんね」 彼女がそう言った後、僕が呼び鈴を鳴らすと、使用人らしき者が出てきた。「お、お嬢様!? しょ、少々お待ちください!」 彼は家の中に戻ると、数分くらいで、他に五人くらい使用人を連れて、戻ってきた。「お嬢様、どうぞ中へ、お連れの人も一緒に……」 促され、中へ入る。 外も豪奢だったけど、中もなかなかにすごかった。 天井にシャンデリア、床に高級そうな絨毯が敷かれていて、部屋の隅には高そうな陶器が置かれていて、壁にはドアがたくさんあった。「お父さんとお母さんは?」 とクルシェが使用人に訊いた。「今、外出中で……もうすぐ戻ってくると思います」「じゃあ、ご主人様、それまで家の中を案内しますね」 リビング、ダイニング、洗面所、トイレ
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どこまでも続く幸福な旅

 私、今、とっても憂鬱なんです。 ご主人様と離れ離れにされた上に、自室に閉じ込められてしまったからです。 出ようとしても、ドアを開けるとすぐそこに使用人たちがいて、部屋の中に連れ戻されちゃうのです。 お気に入りのメイド服も捨てられて、普通の服を着せられてしまいました。 オフショルダーの白いワンピース……べつにこれが嫌というわけではないのだけど、ここ最近はずっとメイド服を着ていたので、なんだか違和感があります。 ハァッと、ため息ばかりついてしまう。 旅をする前は感じなかったのに、今はすごく感じる、この家の狭さを。  私はまだ広い世界を見ていたい。 そう強く思っていたとき、こんこん、とノックの音が聞こえてきました。 ドアが開くと、父が部屋に入ってきました。「お父さん、ここから出してください、私、ご主人様に会いたいです!」「ダメだダメだ、あんな男、もう忘れなさい、今日はクルシェにいい縁談の話を持ってきたんだ、相手はラルバド商会の会長の息子だ」「それ、お父さんがその人と結婚させたいだけじゃないですか、どうせ商売でメリットがあるからなんでしょう?」「ああ、そうだが?」「やっぱり、娘の幸せと商売、どっちが大事なんですか!」「どっちも同じくらい大事だ」「そんな……私の幸せの方が大事だって、嘘でも言ってほしかった」「何を言っている、嘘をついたら重罪じゃないか」 あ、そうでした。 私もだいぶ長いことここを離れていたから、感覚が鈍っちゃっているのかもしれません。「何が不満なんだ、お前にとっても悪い話じゃないはずだ、一生裕福な暮らしができるぞ」「そんなものいりません、私、ご主人様と旅がしたいんです」「旅なんでダメだ、そんな危険なこともうさせてたまるか、今度、ラルバド商会の会長とその息子をこの屋敷に招いて、パーティを開く予定なんだ、クルシェも出席すると伝えているからな」「ちょっと、勝手に決めないでください」「いいか、絶対にパーティーに出るんだぞ!」 と言ってお父さんは部屋を出ていってしまいました。 私、このまま好きでもなんでもない人と結婚させられてしまうのでしょうか。 はぁ、ご主人様、会いたいです……。 そのとき、コツ、コツ、とどこからか音がしました。 音がした方向を見ると、窓に石をぶつけられているようでした。 窓の外を見ると、
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