澄也の涙の音も、私には聞こえていた。私は空になった器と箸を片づけ、彼のそばへ回り込み、澄也の目元を拭った。「澄也、泣かないで。目は大切なものだから」澄也の涙は堰を切ったようにあふれ、彼はもう自分ではどうにもできないほど泣き崩れた。「安奈、でも俺の命は、お前がくれたものなんだ。俺にはもう家がない。安奈、俺は家に帰りたい。痛いんだ。俺の肋骨は、どこへ行けば見つかるんだ?分からない。本当に分からない……ごめん、ごめん」彼の言葉はめちゃくちゃだった。でも、私には分かった。澄也は、もう疲れてしまったのだ。「澄也、大丈夫だよ」つがいのツバメが、目の見えないツバメを連れて飛ぶのは、きっととても疲れることなのだろう。私は幼い頃と同じように、そっと澄也を抱きしめ、背中を一度、また一度と優しく叩いた。「澄也、いい子だから。もう怖くないよ、大丈夫」彼の泣き声は、少しずつ静まっていった。私はハンカチを取り出し、彼の顔をそっと拭いた。「澄也、自分の家に帰ろう?私が澄也を拾ったとき、ちゃんと言ったでしょう。澄也、あなたは行きたいところへ、どこへでも行っていいんだよ」けれど私は、鳥かごだった。彼を一生閉じ込めてしまうのは、あまりにも苦しい。澄也は目を覆い、また声を殺せないほど泣いた。私はそっと彼の背中を撫でた。「行って、澄也。あなたが行くべき場所へ」そこは、厄介な目の見えない私を連れて、一生疲れ果てる場所であってはいけない。私は見えない目を開いたまま、澄也が去っていくのを見送った。澄也の声は、胸が裂けるほど苦しげだった。「ほかに……俺に言いたいことは、ないのか」私は真剣に考えた。「澄也、これからは、誰よりも自由な鳥になって。私の大好きな澄也だから、きっと大丈夫。どうか一生、穏やかで、幸せでいて。あたたかい家庭を持って、大切な人たちに囲まれて、生きていって」吹きすさぶ冷たい風が、ふらつく澄也の背中をさらっていった。それから、私は二度と彼の消息を聞かなかった。一年、また一年が過ぎた。手にした白杖とともに、私の目の見えない生活も、少しずつ板についていった。目の見えない友達も増えた。やがて私は、自分で仕事も見つけた。電話カウンセラーだった。電話越しに、迷いを抱え
続きを読む