世間がもてはやした「ヒーローとしての数々の功績」すら、その多くが、彼自身によって巧妙に演出されたものだった。真実が明るみに出ると、街中を巻き込む大騒動となった。かつて市民の誰もが崇拝したヒーローは、たった一夜にして台座から引きずり下ろされ、誰からも指弾される卑劣な罪人へと成り下がったのだ。そして、警察の本格的な捜査が進む中、決定的かつおぞましい事実が浮かび上がってきた。……ある日、弁護士が真っ青な顔をして邸宅へ駆けつけ、私の目の前のテーブルに分厚い捜査資料を置いた。「和泉さん。新たな証拠が見つかりました。あの爆発事故に関する、知られざる裏の事情です」胸の奥が、どくりと跳ねた。ファイルを手に取る。目に飛び込む一字一句が、細い針のように胸を刺した。――あのガス漏れは、事故などではなかった。麻衣が、私の家のキッチンのコンロへ、意図的に細工を施していたのだ。そして大介は、その事実を知っていた。彼女がそんな大胆な犯行に及べたのも、すべては大介がそれを裏で黙認していたからに他ならない。彼は、「緊急事態」を欲していたのだ。自分が間一髪で駆けつけ、私を救い出す「ヒーロー」を演じるための絶好の機会を。私の前で、自分がどれほど頼もしく、どれほど「絶対に欠かせない存在」であるかを証明するための、自作自演の舞台を。自ら危機を作り出し、自分でそれを解決してみせる。そうすれば、私がもっと彼に依存し、二度と彼のそばから離れられなくなると踏んでいたのだ。彼は私に思い知らせたかったのだ。私を守れるのは、自分だけなのだと。ただ、彼にも誤算があった。事態が、制御できないところまで転がってしまったのだ。漏れ出したガスの破壊力を、あまりに甘く見ていたこと。そして、自分の制御能力を過信していたこと。私はずっと、あれは不幸な事故なのだと思っていた。ただのコンロの老朽化による不注意なのだと。まさかそれが、綿密に計算された、おぞましい悪意に満ちた計画だったとは。ただの浮気や裏切りではなかったのだ。彼は私の命そのものを道具にして、自分の歪んだ「愛」を満たそうとしていたのだから。私は手元にあったスマホを取り上げ、担当弁護士に電話をかけた。「追加で告訴を出してください」声は驚くほど静かだったが、その底には、抑えきれない怒りの炎が青
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