ゴールデンウィークに彼氏の吉野悠人(よしの ゆうと)と旅行へ出かけた。車に乗り込むと、助手席に知らない女性がいた。悠人は笑いながら言った。「後輩の鈴蘭なんだ。ちょうどあっちに行くって言うから、一緒に連れてきたんだよ」小林鈴蘭(こばやし すずらん)は振り返り、私を見て微笑んだ。「気にしないでください。お邪魔はしませんから、車に乗せてもらうだけでいいんです」私・白川芽依(しらかわ めい)は言葉を飲み込み、黙っていた。ホテルに着いてルームキーでドアを開けようとしたら、鈴蘭がスーツケースを持ってついてきた。悠人は当たり前のようにこう言った。「鈴蘭一人だと心細いだろ。3人で同じ部屋に泊まろうよ。そのほうが賑やかで楽しいし、彼女はソファでいいからさ」鈴蘭はすでにベッドの端に座り、私を見上げて言った。「ソファで寝ますから、お二人には迷惑かけませんので」私はその場に立ち尽くした。悠人の当然のような態度を見ていたら、無性に気持ち悪くなった。「分かった。じゃあ彼女と二人でこの部屋を使って。私は別の部屋を取るわ」私は返事も聞かず、すぐに踵を返した。一秒だって一緒にいたくなかった。悠人は呆気に取られた様子で追いかけてきて、私の手首を掴んだ。「芽依、何もそこまでしなくていいだろ?たかだか一部屋のことで、何でそんなに怒ってるんだよ?」私は悠人の腕を振り払った。「一部屋のことだって?出発前に私と相談した?」「いちいち相談することか?鈴蘭は俺の後輩なんだ。女の子が一人でホテルに泊まるのは危ない。3人で一つの部屋で寝ればいいだろ?鈴蘭はソファなんだし」悠人の顔を見つめる。何だか、知らない人を見ているような気分になった。「予約したときに何で言わなかったの?出発前も、ずっと言わなかったよね。ホテルに来て初めて言うなんて、私のことどう思ってるの?」「お前が変に勘ぐると思ったからだ」悠人は眉をひそめ、私がまるで道理のわからない女だという顔をした。「お前はいつもそうだ。些細なことを大げさにしすぎる。鈴蘭はただ車に同乗して、一晩泊まるだけだ。どうしてそんなに悪く考えるんだよ?」「悪く考えているのは私の方?」あまりのことに、笑いがこみ上げてきた。「あなたが連れてきた知らない女と一緒の部屋に泊まれと言われて、断ったら私が悪いの?
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