夜が明けたばかりの頃。本来なら人影もまばらな時間帯のはずだったが、センタースクエアには大勢の人が集まっていた。そのほとんどが透真と千春のファンだ。昨夜から巨大ビジョンの映像が話題になり、ぜひ一目拝めてみたいという人々で広場は埋め尽くされている。やがて主役である透真が現れると、あちこちから歓声が沸き起こった。「透真さん!千春さんは一緒じゃないんですか?」「千春さんに伝えてください!26歳のお誕生日、おめでとうございます!」「結婚4周年おめでとうございます!私たち、二人のことをずっと応援してます!」降り注ぐ祝福の声に、透真は何度も手を振って応えた。そして、巨大ビジョンへ視線を向ける。そこに映し出される映像とともに、胸の奥へしまい込んでいた思い出が一つ、また一つとよみがえっていく。土砂降りの雨の中を一緒に駆け抜けた日。肩を並べて山を登った日。グラスを合わせ、幸せのひとときを祝った日々――映像を見つめているうちに、透真は知らず知らずのうちに、画面の中の自分と同じような笑みを浮かべていた。千春と付き合い始めたばかりの頃、胸が高鳴るような恋心が、久しぶりによみがえってくる。今すぐこの気持ちを伝えたい。そう思い、彼は千春へ電話をかけた。だが、一度目も、二度目も。4、5回とかけ直しても、返ってくるのは「電源が入っていない」という機械音声だけだった。胸の奥に、言いようのない不安が広がっていく。時計の表示が、6時59分から7時ちょうどへと切り替わる。その瞬間、巨大ビジョンでは動画のラストシーンが流れ終わった。誰もが最初から再生されるものだと思っていた。しかし次の瞬間――画面が突然切り替わる。同時に、広場中のスピーカーから女の甘い喘ぎ声が響き渡った。巨大ビジョンに映し出されたのは、一組の男女が裸で抱き合う姿。あまりにも唐突な映像に、広場も、同時配信を見ていたライブ視聴者も騒然となる。透真は、ほんの一瞬見ただけで理解してしまった。映っているのは――自分と、美夏だった。その瞬間、透真の顔から血の気が引いた。頭の中で何かが弾け飛び、理性が音を立てて崩れ落ちる。最初は騒ぎを面白半分で眺めていた観衆も、映像の男女の顔を認識した途端、一斉に息をのんだ。信じられないという表情のまま、全員の視
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