ブブブブ ブブブブソファのテーブルに置いてあった廉の携帯がサイレントモードで震え始めた。二人で動きを止めてそちらを見つめる。しばらく待ったが電話が切れる様子が無いので、廉がため息をつきながらそれを手に取った。「Ah, Fred. I've been hearing good things about the acquisition of the land. I hear it's going well.‥‥」どうやら今関わっているリゾート開発の土地買収の関わる電話のようだ。綾香は、廉から解放されてそそくさと下着とセーターを元に戻した。ソファに座り直して、さてどうしたものか、と考えていると、逃がさないというように廉が電話をしながら片手で綾香の手を掴む。「‥‥Oh, yes. Please do. I'll see you later.」電話を切って、廉が神妙な表情で向き直る。「このままここに居たら、大変なスキャンダルを起こしてしまうかもしれないから‥‥綾香、この後の予定は?」手首に唇を押し付けながら、廉が親指で綾香の腕をさする。その触れ方だけでもゾクゾクしてしまう。「ウチに帰る‥‥だけ、です」「食事は?」先日のことを思い出し、少し考えて、ためらいがちに提案してみる。「‥‥ウチに来るのはどぅ」廉が連れて行ってくれる食事は、すごくレベルの高いところになりそうだし、昨夜作ったばかりのバジルソースでパスタを作るのを朝から楽しみにしていたのだ。「そうしよう」言い終わる前に食い気味に返事を返された。「廉は、今日も車なの?」「いや、普段は送迎車で出勤してる。今日もまだ蓬莱さんが下で待ってくれているよ。綾香の家まで送ってもらおう」「いやいや、それは良くないと思うわ。二人でウチまで蓬莱さんに送ってもらうのはちょっと」蓬莱さんは、父の送迎担当でもあったわが社の古参運転手だ。もちろん綾香のことも知っている。廉と二人でウチまで送ってもらうのはさすがに気が引ける。「綾香は、電車で出勤してるのか。じゃあ、電車だな」「廉、電車になんて乗るの?」「‥‥高校卒業までずっと電車通学だったのを忘れたのか?」「あ‥‥」廉は、プライベートで行くところができたから今日はもう送迎は不要だ、と蓬莱さんに連絡を入れている。その間に綾香はコートを着て、鞄を手にした。「た
Dernière mise à jour : 2026-07-17 Read More