翻訳って本当に難しいですよね。特に「膏肓」みたいな身体の部位を表す概念は文化によって受け止め方が違う。『鬼滅の刃』の「赫刀」が英語で「Bright Red Blade」と訳されるように、具体的なイメージに変換する方法もあります。
「病 膏肓に入る」を「The illness has reached the incurable region」と説明したら? 少し回りくどいけど、英語圏の人にも解剖学的な深さが伝わるかも。『進撃の巨人』の英語字幕で「Rumbling」が「地鳴り」ではなく「終末の足音」と訳されたように、時には原義を膨らませる必要があります。
個人的には「The disease is in the marrow」なんて表現も好き。骨髄まで浸透した病という比喩は、英語圏でも通じる普遍性がある気がします。
「consumed by illness」は文字通り「病に食い尽くされた」というイメージで核心を突いている。あるいは「past the point of recovery」なら治療不能というより、回復の限界点を超えたという動的なニュアンスが出せる。
面白いのは『葬送のフリーレン』でフリーレンが「千年生きても治らない傷」について語るシーン。英語版では「wounds that never heal」と訳されていました。膏肓の概念を「never heal」と表現するのも的を射ていますね。日本語の故事成語を訳す時は、単語よりも情景を再構築する発想が必要だと実感します。
例えば「beyond cure」や「incurably ill」といった表現が近いかもしれませんが、どちらも医学的なニュアンスが強すぎる。中国の故事由来のこの言葉には「もはや手遅れ」という諦観や、ある種の運命を受け入れる美学が含まれている。『鋼の錬金術師』でホーエンハイムが語る「等価交換の法則」のように、不可逆な状態を表現するのに「The point of no return」なんて言い回しも使えそう。
文学作品なら「past all healing」(シェイクスピアの『マクベス』で使われる表現)が詩的でしっくりくる気がします。ただ、現代の日常会話で使うなら「too far gone」が最も自然かな。状況に応じて使い分ける必要がありそうですね。
日本語の「腹積り」という表現、英語に訳すとなかなか難しいニュアンスを含んでいますね。
英語で直訳すると「stomach calculation」などとなりますが、これは全く自然な表現ではありません。むしろ「premeditation」や「prior arrangement」といった単語の方が近いかもしれません。特にビジネスシーンでは「prior agreement」がよく使われます。例えば会議前に「We need to have a prior agreement on this matter」と言えば、「この件については事前に腹積もりをしておく必要がある」という意味になります。
面白いことに、英語圏の文化では日本ほど「腹積り」の概念が重要視されない傾向があります。どちらかというとオープンな議論を好むため、事前調整よりもその場での意見交換を重視するケースが多いようです。この文化的差異が言語表現にも現れているのかもしれません。
個人的には、日本語の「腹積り」には「暗黙の了解」的な要素も含まれている気がします。英語の「tacit understanding」も部分的に近いですが、完全に同じニュアンスを表現するのは難しいと感じます。
「食い下がる」という日本語のニュアンスを英語で表現するなら、'persist'が一番近い気がする。例えば、野球の試合で点差が開いても諦めずに反撃を続けるチームを描写する時、'The team persisted in their comeback attempt'と言えば、粘り強く食い下がるイメージが伝わる。
'Clinch'も使えるけど、これはどちらかというと最後の決定的な行動に焦点がある。'Tenaciously hang on'とも言えるが、少々堅苦しい印象になる。日常会話では'keep pushing'や'never give up'の方が自然かも。スポーツ中継やビジネスシーンで使われる'fight tooth and nail'も激しく食い下がる様子を表す面白い表現だ。