思い返すと、英語の一言が伝える感情は驚くほど幅広い。
俺は、'おまえは何を言っているんだ' を英文にする場面によって、選ぶ表現がかなり変わると思う。最も素直で汎用的なのは "What are you talking about?" で、驚きや困惑を穏やかに示したいときに便利だ。もっと強く否定や呆れを表したいなら "What on earth are you talking about?" や "What the hell are you talking about?" が力強い。ただし後者はかなり粗野なので、相手や場の空気を考えたほうがいい。
場面を具体化するとイメージしやすい。たとえばサバイバルものの緊迫した会話がある'The Last of Us'のような作品では、仲間の理不尽な発言に対して "Are you serious?" や "Are you kidding me?" と短く突っ込むほうが生々しく響く。一方、誤解やすれ違いを解きたい時は "What do you mean by that?" が柔らかく有益だ。翻訳では原文の感情(怒り、呆れ、困惑、冗談)を見逃さず、それに見合った英語表現を選ぶのが肝心だと俺は思う。
映画の台詞を手がかりに真相を探るのはけっこう面白い。僕はその台詞が単独で一本の映画の“固有の名台詞”になっている可能性は低いと考えている。というのも「おまえは何を言っているんだ」は日常会話の直訳に近く、英語の "What are you talking about?" や他言語の同等表現が日本語吹替・字幕で当てられる際に頻繁に使われるためだ。だから特定の一本を指し示す前に、翻訳の流儀や時代、吹替班のクセを考慮する必要がある。
翻訳の現場では話者のキャラクターや状況に応じて「おまえは何を言っているんだ」「何を言ってるんだ」「何を言っているんだ、お前は」などバリエーションが登場する。僕がよく目にするのは、古い吹替では男臭い言い回しが好まれた点で、若年層向けの作品よりも力のある語調が選ばれやすかったことだ。英語圏の会話劇における定番フレーズ(例として、英語の台詞 "What are you talking about?" がしばしば出る作品群)を日本語に落とすときに、この日本語フレーズが何度も再利用されているわけだ。
出典を突き止めたいなら、いくつか実用的な手がかりがある。台詞検索サイトや字幕データベース、古い吹替のスクリプトを収録した書籍を当たること、そして可能なら当時の翻訳・吹替スタッフのインタビューや記録を探すことだ。音源があれば音声認識で英語原文を拾い、そこから吹替訳のありそうな箇所を絞る方法も使える。僕の結論としては、このフレーズは映画界全体に散らばる“定番の翻訳表現”で、特定の一本だけが独占しているわけではない。そういうところが映画研究の面白さでもあるんだ。