海外のオーディオブックプラットフォームで話題になった『House of Leaves』の実験的な音声版が挙げられます。元々本自体がレイアウトや文字配置で読者を混乱させる仕掛けが施されているのですが、音声化にあたってはさらに過激なアプローチを採用。複数のナレーターが同時に異なる文章を読み上げたり、突然音量が変化したり、左右のチャンネルで別々の音声が流れたりと、意図的な「文字化け」ならぬ「音声化け」状態を作り出します。
聴覚だけで恐怖を感じさせるオーディオブックの世界には、『耳なし芳一』のような古典から現代ホラーまで幅広い選択肢がある。
特にジョナサン・モーグの『Whispers』は、日常のささやきが徐々に不気味に変化していく過程が音声効果で再現され、ヘッドホンで聴くと背筋が凍る。環境音と声のボリューム差を巧みに操る演出が、現実と幻想の境界を曖昧にする。
最近気になったのは『The Black Tapes』というポッドキャストシリーズで、超自然現象を調査するドキュメンタリー形式ながら、途中から聴き手自身が怪異に巻き込まれるような錯覚を起こさせる仕掛けが秀逸だ。