一生愛すると誓った夫は、妹に半分の愛をあげた
「本当に漂流島のプロジェクトに参加するのか?一度島へ渡ったら、二度と陸には戻れないかもしれないんだぞ。
加藤社長は君をあんなに愛しているんだ、絶対に同意しないだろう」
目の前に広がるロマンチックで眩いイルミネーションを見つめながら、加藤凛(かとう りん)の耳の奥では、夫である加藤哲也(かとう てつや)が別の女性に囁いた言葉が繰り返し響いていた。
「理恵、あのイルミネーションの中で輝いてる男女のシルエット、本当はお前なんだよ」
なんて滑稽なのだろう。哲也は世界中に向けて自分への溺愛ぶりをアピールし、誰もがそう信じて疑わなかった。
哲也は自分を狂おしいほど愛している、と。
しかし実際には、哲也の愛は二人の女に分け与えられていた。
しかもそのもう一人は、自分が幼い頃から妹のように可愛がってきた従妹の高木理恵(たかぎ りえ)だった。
「局長、私、漂流島へ行きます」
凛は電話口で、もう一度力強く宣言した。
哲也が二度を自分を見つけられない場所へ行く。半分しかない、偽物の愛なんて、もういらない。