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例のアレ9

Auteur: 相沢蒼依
last update Date de publication: 2026-03-06 07:57:54

「雅輝、俺は今現在、誰と付き合ってるんだっけ?」

「俺です……」

唐突になされた橋本の質問を、宮本は不思議に思いながら静かに返事をした。

「俺が好きなヤツは、どこの誰だ? 本名で答えろ」

「……宮本雅輝です」

答えてる間も橋本の両腕は、自分の躰をしっかり抱きしめたままだった。伝わってくる温かさを感じたら、思わず涙腺が緩みそうになる。

「それが分かってるのに、何に対してくだらないことを考えてるんだ?」

「くだらないことだって、どうして分かるんですか?」

横目でちらっと橋本の顔を見てから、すっと視線を逸らす。

「答えは簡単だ。楽しいことを考えていたら、そんな不貞腐れた顔にはならないだろ」

「むう……」

「俺は接客業をしてるからさ。必要以上に、人の顔色を窺っちまうクセがある。だからすぐに、雅輝の変化に気がついたわけなんだけど。これまでやったことで、何か不快に感じるものがあったのか?」

橋本の視線が突き刺さるように、自分に注がれているのが分かった。

「不快には、感じてなかったんです」

「だよな。途中までいい雰囲気だったし」

「俺にしたことを、他の人にもしてるんだろうなって思ったら、何
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