僕だってチートがあれば苦労なんてしていない

僕だってチートがあれば苦労なんてしていない

last updateDernière mise à jour : 2026-07-24
Par:  結城慎二Mis à jour à l'instant
Langue: Japanese
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のどかな田舎の小さな集落で生まれ育ったジャン・ロイは15歳の誕生日の前日、村を襲った盗賊から逃げている最中唐突に四十半ばのおじさんだった前世の記憶が蘇った。 略奪され、焼き尽くされた村でただ一人生き残ったジャンのサバイバル生活は、なんだかんだと仲間が増えて村が町の規模に。 復興したことが領主にバレたのを機に叛旗を翻し、ついには下剋上を成し遂げ領主として戦国の世におどりでる。

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Chapitre 1

朱夏-ある中年のつぶやき-

「人生やり直せたらなぁ……」

 そう思っていたことが僕にもありました。

 ありましたが……。

 だからってこれはないんじゃないでしょうか?

 こんな状態で前世の記憶が蘇るとか、神様の仕業だとしたら「あんたバカぁ!?」って罵ってやりたい。

 いいや、一発殴らせろ。

 こんな切羽詰まった状態だが、現在の状況を冷静に確認分析だ。

 まず、ここは村はずれの雑木林をちょっと入ったところ。

 この辺は子供達がよく遊ぶ場所で僕も勝手知ったる何とやらだ。

 つまり、普段は危険のほとんどない場所で、そんな林の比較的幹の太い木をできるだけ登った枝の上にいる。

 僕の名前は、えーと……そう! ジャン・ロイ。

 …………。

 ギャバンなのかシャイダーなのか、どっちかにしろ! 混ぜたら中国系みたいじゃないか。

 いかんいかん、前世の記憶に引っ張られて現世の記憶があやふやだ。

 ひとまず現世の記憶だけを整理するぞ。

 年齢は確か明日十五歳になるはずだ。

 …………。

 じゃあ、明日蘇れよ前世の記憶っ!

 まぁそれは今は置いとけ。

 なんで僕は、こんなところにいるのか? それは、村が盗賊団に襲われたからだ。

 こんな田舎の村にお宝なんてあるわけないじゃないか! って、少年としては悪態つくところなんだが、前世の思考が邪魔をする。

 だよなぁ、収穫期に農村襲えば食いもんにありつけるわな。

 運の悪いことに今回の盗賊団は食いもん奪うのに村人を殺す系の盗賊団だったらしく、僕は母ちゃんに背中を押される形で村を逃げ出しここまでたどり着いたわけだ。

 なんだ、うまく逃げだせたんじゃん。

 とか、思っているそこのキミ。

 そんなわけないじゃないか。

 僕の下を盗賊団の手下たちがウロウロしてんだよ。

 くそっ、皆殺し系盗賊団だこいつら。

 襲った村の村人を全員殺すことで自分たちの身バレリスクを減らそうってんだ。見つかったら百パー確実に殺される。

 ──というのが、今の状況だ。

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朱夏-ある中年のつぶやき-
「人生やり直せたらなぁ……」 そう思っていたことが僕にもありました。 ありましたが……。    だからってこれはないんじゃないでしょうか? こんな状態で前世の記憶が蘇るとか、神様の仕業だとしたら「あんたバカぁ!?」って罵ってやりたい。 いいや、一発殴らせろ。 こんな切羽詰まった状態だが、現在の状況を冷静に確認分析だ。 まず、ここは村はずれの雑木林をちょっと入ったところ。 この辺は子供達がよく遊ぶ場所で僕も勝手知ったる何とやらだ。 つまり、普段は危険のほとんどない場所で、そんな林の比較的幹の太い木をできるだけ登った枝の上にいる。 僕の名前は、えーと……そう! ジャン・ロイ。 …………。 ギャバンなのかシャイダーなのか、どっちかにしろ! 混ぜたら中国系みたいじゃないか。 いかんいかん、前世の記憶に引っ張られて現世の記憶があやふやだ。 ひとまず現世の記憶だけを整理するぞ。 年齢は確か明日十五歳になるはずだ。 …………。 じゃあ、明日蘇れよ前世の記憶っ! まぁそれは今は置いとけ。 なんで僕は、こんなところにいるのか? それは、村が盗賊団に襲われたからだ。 こんな田舎の村にお宝なんてあるわけないじゃないか! って、少年としては悪態つくところなんだが、前世の思考が邪魔をする。 だよなぁ、収穫期に農村襲えば食いもんにありつけるわな。 運の悪いことに今回の盗賊団は食いもん奪うのに村人を殺す系の盗賊団だったらしく、僕は母ちゃんに背中を押される形で村を逃げ出しここまでたどり着いたわけだ。 なんだ、うまく逃げだせたんじゃん。 とか、思っているそこのキミ。 そんなわけないじゃないか
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晩秋の枝の上で八方塞がり
 さて、ここからは前世の記憶をフル活用だ。  襲ってきたのは、十数人の盗賊団。村には女子供を含めて三十人ちょっと。ここは本当に農村の一集落だった。  ん? この世界は前世知識的にどれくらいの文明水準なんだ?  くそっ、ど田舎の未成年じゃ参照知識がなさすぎる。  異世界転生ものならそれなりの環境に生まれ直させろっての。  ──って言っても仕方ないわけで、そもそもテンプレの神様にあった記憶がない。  現世の記憶を手繰り寄せてもなろう系のお作法である知ってるゲーム世界的な場所でもなさそうだ。  あ、もっとも僕、00年代以降のゲームなんてほとんどやってないや。  そんなことはどうでもいい。  今は、この危機的状況をどう乗り切るかに集中しなきゃ。  思い出せ、現世の知識!  お! やっとテンプレ情報確認だ。  ここは魔法が使える世界らしいぞ。 …………。 使えなきゃ意味ないじゃん!  友達とチャンバラごっこはやっている。  今は十九歳になってる隣のお兄ちゃんとも互角に戦ってた(三年前だけど)。  ──いやいやいや、そのお兄ちゃんはここに来る前に奴らに滅多刺しされてるとこ見てる。  勝てっこないじゃん。  ……いや、待てよ? 前世の僕は大学まで剣道やってて有段者だったぞ。 …………。 試すにはリスクが高すぎる。  そもそも相手は剣とか斧とか持ってるけど、こっちは肥後守みたいなナイフがポケットに入ってるきりだ。  やべー、まさに四面楚歌、いや八方塞がりってやつだ。
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泣ぬれるは枝の上
「逃げたのはガキ一匹か」 と、僕の真下で傷だらけのごつい男が言っている。  こいつが盗賊団の頭目と見た。「へい、多分」「多分だと!?」「へ、へ……」 あたふたした下っ端が頭目にぶん殴られ、仰向けにぶっ倒れる。  気絶してろ!  盛大に気絶してろよ、でなきゃここにいることがバレる。  僕の祈りは天に通じたのか、そいつは白目をむいて動かない。「このさらに奥に行ったかもしれませんぜ」「ならいい」 頭目は、一言吐き捨てて踵を返す。「いいんすか?」 一緒に来ていた三人も意識のない男を抱えて後を追う。「奥に逃げたのなら探すまでもねぇ」 そう、この雑木林の奥は「主」のテリトリーだ。  五体満足で戻ってきた者はいない。  どんな怪物なのかもはっきりしない、生き物かどうかさえ定かじゃない、そんな存在がいるのだ。 ……しかし、そんなことどうして盗賊団の頭目が知ってるんだ? まぁ、いい。  僕は念の為、ベルトで枝に体を縛り付け、寒さに震えながら一晩を過ごした。  その夜は村の方角が赤かった。  ああ、きっと火がつけられたんだろう。  前世の記憶が混ざって混乱していた現世の記憶が整理されたことで父ちゃんと母ちゃんのことが、村の人たちのことが思い出されて悲しくなった。  でも、僕は歯を食いしばって泣き声を噛み殺す。  まだこの辺りに盗賊団が残っていないとも限らないからだ。  でも、とめどなくあふれる涙は止めようがなく、ただでさえ寒い秋の夜にシャツを濡らし続けることになった。
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さゔぁいぶ-前篇-
 僕は十五歳の朝を木の枝の上で迎えた。  この世界の元服、つまり成人の儀式が行われる日だ。  確かに一生忘れられない日にはなったけど……切ない。  あまりにも切ない。  秋とはいえ、昼頃になればそれなりに暖かくなる。  今日は天気もいいので昼頃にはむしろ汗ばむほどの陽気になった。  慎重にあたりの気配を確認しつつ、木から降り集落に戻ると、まだプスプスとくすぶっている焼け跡の中を歩く。  あたり一面、嫌な臭いが立ち込めているのは、村人の焼けた臭いだろう。  昨日から何も食べてないのに込み上げてくる胃液を吐き出し、自分が生まれ育った家があったはずの場所へふらふらと歩いていく。  そこは当然のように焼け落ちていた。  決して立派だったわけじゃない。  けど、家族三人平凡に暮らしていた場所だった。  僕は、焼け跡をかき分けて室をほじくり出す。  どこの家庭にもある保存食が置かれている場所だ。  僕は念の為走るのに邪魔にならない程度に両手に干物などを持ち、室を消し炭で隠し直して雑木林に戻ると、昨日とは違う別の木に登ってそれをかじる。  丸一日以上何も食べていなかった僕は、保存食のやたらしょっぱい味に難渋しながらも飲み下した。  するとどうだろう、喉が乾いてきた。  ま。当然だな。  前世の知識が不思議現象を解説する。  水……どうしようかな?  村の井戸は使えない。  近くに農業用に引いている用水路はあるけど、まだ盗賊団がいるような気がして怖くていけない。  あれこれ考えてふと思いついたのが、今は秋だということだった。  この世界も秋は収穫の季節だ。  雑木林は煮炊きの薪に使ったり、家や道具の材料にしたりするため、集落のために人の手が入った林だ。  林の中には果樹もあったはず。  まず、現世の記憶を辿る。  あそこにピサーメの木がある。  収穫前に失敬して三軒先のじいちゃんに怒られた。  あたりの気配に注意しながら木を降り、ピサーメの木を探す。  記憶の通りにピサー
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さゔぁいぶ-後篇-
 村に戻った僕は村人の埋葬をする。  人の死には慣れている。  現世の僕が、だけど。  この世界は前世の世界と違って文明水準が高くない。  当然医療水準も高くない。  田舎だからってのはあるかもしれない。  大きな街はもしかしたらすごく発展しているのかもしれない。  魔法のある世界だから、当然治癒魔法もあるはずだ。  でもそれがどれくらいの効果があるかもわからない。  だからこの村はよく人が死んだ。  子供は特によく死んだ。  僕にも姉と妹がいたらしい。  妹の方はかすかに覚えている。  姉は怪我がもとで、妹は流行病で亡くなったそうだ。  村人は誰が誰だかほとんどわからないから、申し訳ないけど、まとめて村の墓地に埋める。  そんな僕のことを見ていた奴がいた。  気づかなかったのも無理はない。  四日も気の休まらない樹上生活で疲弊していたのと、作業に集中していたからってのもあるけど、相手が妖精だったからってのが一番の要因だ。「大変だったね」 と、そいつは埋葬が終わって埋葬の呪を唱え終わった僕に声をかけた。「!?」 当然ビビるわな。  前世の僕は当然として、現世の僕も妖精を見るのは初めてだった。  妖精は十二スンブくらいの女の子で、髪は長くて栗色で、背中に透明なトンボのような羽が生えている。 うん、フェアリーだね。「案外冷静ね」 驚いてるよ。「さてと……」 妖精はヒラリと飛ぶと、僕の肩あたりにやってくる。「最初のクエスト『生き残り』クリアおめでとう!」 なんですと?「頭にハテナが浮かんじゃってる? 無理もないか。前世の記憶は戻ってるよね?」 僕は、ゆっくり頷く。「早い話が君はなろうテンプレ的に転生したわけ」 あ、やっぱり。「ま、神様が誤って殺しちゃったとか悲劇的な死をかわいそうとか思ったわけじゃないんだけどね」
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都市伝説は真実だった
「じゃあ次は概要ね」 と、リリムは言う。「世界の概要は現世の知識があるから割愛ね」 あらま。「あなたは転生の際にDNAってやつに細工されていてね、神様曰く人よりちょっと優秀になってるそうよ」 え? ちょっと?「そこはとても優秀になってんじゃないの? テンプレ的に」「いくら世界に干渉できる環境にある神様だってそんなことホイホイしたら世の中のバランスが狂っちゃうでしょう?」「異世界転生は世界のバランスを崩さないのか?」「崩すわよ。それなりに。そもそも異世界人を招き入れるのは世界のバランスが神様の思惑からずれかけているからなんだし」「それは……いわゆるテンプレ的な魔王軍の侵略とか?」「主に人間の政治関係よ」「なんとまぁ」「そもそもこの世界は多神世界であなたを呼び込んだ神様は人族担当なの。魔族がやらかしたら魔族の神が責任取るのが普通でしょ?」「あー、そんなもんですか」「もちろん人間側でも手助けするわよ。たまに勇者召喚とかしてね」「そっちがよかったな」「スーパーハードモードよ?」「今より?」 そんな質問をしたらすげぇ冷たい視線を投げてよこしてきた。「これ、この世界じゃノーマルモードなんですけど……」 マジですか。「話を戻すわね。あなたがこの世界で生き抜いてくれればそれでかなりの干渉になってある程度神様の考えた世界になるの。一緒に頑張りましょうね」 生きてるだけでいいってのは確かにノーマルモードだな。  特に何かをなさなきゃいけないわけじゃないんだから。「判った。とりあえずサバイバルゲームか何かだと思えばいいわけね」「ま、そう言うこと」「よくあるゲーム的な職業的な……」「テキテキうるさいけど、今のあなたは孤児Aだから」 あ、あぁ……そうだね、確かにそうよね。「……まずはこの冬を生き延びねば……」
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五日ぶりの温かい飯
「で、僕のステータスはどうやったら確認できるの?」「なにそれ、美味しいの?」 え?「うそうそ、そんな便利機能現実世界にあるわけないじゃない」 だよねー。「数値が知りたいなら体力測定とかIQ検査でもしてみる?」「それって実際あてになるの?」「参考程度には」 だめじゃん、そんなの。「まぁまぁ。ホラ、そろそろ準備始めなきゃまた木の上で寝ることになるよ」 リリムに言われて気がついた。  お日様がだいぶ西に傾いているらしく、僕の影が僕の二倍以上に伸びていた。  秋の日は釣瓶落としと言いまして、確かにここでただ喋っているのは時間の無駄だ。  僕は村に戻って今日の寝床の準備をすることにした。  焼け跡の村でまずは自分家の室を開く。  今日の晩飯と、麻袋をゲットするためだ。  それらを探していたら運よく火打石を見つけた。  これで頑張れば火を熾せるはずだ。  用水路に水を汲みに行くのに台所があったあたりを物色して鍋をゲット。  流石に鉄製で煮炊きをするのに使うものだ、火事の中でもそれなりに原型をとどめている。  とりあえず今はこれだけあればいい。  鍋は担いて、他のものはお手製の袋に突っ込んで用水路へ。  用水路に着くと、無事な建物発見。  水車小屋だ。  中を覗くと籾殻がいっぱい。  こりゃラッキーだ。  鍋で水をすくって地面に穴を掘って籾殻を入れた上に置く。  火打石を取り出すと盗賊襲撃の際、唯一持ち出せた便利道具のナイフで火打石を叩く。  そこはそれ、十五歳。  悪戦苦闘しながらもなんとか籾殻に火をつけたんだけど、これがまたもくもくと煙がひどい。  やばい、野盗が近くにいたらどうしよう。  とか思ったけどありがたいことに襲われることはなく、念の為現場から避難するにあたって「焚き木を集める」と言う大義名分を編み出してひと抱え持って戻ってくると、いい感じにお湯が沸いている。
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なにから手をつければいいのやら
 爽やかとは言えない朝。  髪の毛とかあっちこっちに籾殻つけて僕は目覚めた。  今日は何をしよう?「そう言えば、チュートリアルがいたよな」「誰がチュートリアルよ! 自分でつけたんだから名前で呼びなさいよ」 あ、いた。「じゃあ……チャムだっけリリスだっけ? いや、混ぜてリリムにしたんだったな」「心の声がダダ漏れなんですけど」「まず僕は、この世界で生き延びなきゃならない」「そうよ」「でも、村が壊滅していて天涯孤独状態なわけだ」「難しい言葉を知っているのね、少年」「前世は四十半ばまで生きてたからね。……ていうか、この世界十五歳で成人だよね?」「成人の儀式を済ませるまでは大人じゃないわよ」 そうだ。十五歳の誕生日がくれば元服の儀ってのが行えるようになるんであって、十五で自動的に大人の仲間入りができるわけじゃないんだった。  まぁ、通常は誕生日がきたらとっとと元服させるわけだけど、大人の判断とか自然災害とかで延期することもあったりする。  そんでもって、元服を済ませた証を得るわけで、それをもっていないヤツは例え六十歳を過ぎても大人とは認めてくれないわけだが……。  ヤベェぞ。僕がそれになりそうだ。 …………。 と、とにかくその件は横に置いとこう。「じゃ、じゃあ僕はこの先どうすればいい?」「そんなことは自分で考えてよね。私はあくまでナビゲーター。あなたの生存戦略を決定するための知識や助言をするだけなんだから」「まずはこんなことしてみたら的な助言もなしか」「生きて」 …………。「飯食って、寝て、そんで生きるの」 いや、そりゃそうですけど。「じゃ、じゃあここに居るのと移動するのとどっちが生き残る確率高いかな?」「旅の準備を整えるまではここに居るしかないんじゃない?」「なるほど」 あれ?  かなり真っ当に答えたよ?
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サバイバルミッション・ワン
 よし、サバイバルミッション・ワン、家を作ろう。  こう見えて(現世年齢十五歳)前世ではDIYが得意だった。  まずは仕事前の腹ごなし。  ……なんて火を熾して煮炊きしてなんてやってたら一時間以上使った気がする。  気がするのは正確な時間がわからないからなんだけど、これもやばいな。  飯の準備ってすげぇ時間かかる。  これから寒くなるし、朝一番にあったかいものがいいんだけど。 むむむむむ。 朝食を済ませた僕は、水車小屋にぶら下がっていた革袋に水を詰めて村跡に戻る。  村ではどの家でも室があって保存食なんかを置いていた。  家の焼け跡ひっくり返しながら、その室を確認して何があるかを確認する。  一部の家は、盗賊に荒らされていて、棚が壊れてたり、何も残っていなかったりす。「あれ?」「何?」「漬物のうまいばあさん家の漬物がない」 そのほかに村一番と言われた村はずれのじいさん家の保存用に干して吊るしたピサーメもない。  そんでもって村で唯一栽培に成功したとかで独占販売してたおっさん家の干しキノコもない。  なんか、すげぇピンポイントでいいものがなくなってるな……。  まぁいい、気を取り直して確認だ。  食べ物に関していえば、僕一人がひと冬過ごすには十分だ。  おつりがくる。  けど、保存食だけじゃあ食事が偏るな。  あぁ、用水路には魚もいるし、雑木林にはまだピサーメなってるし、お酒を作る用にダリプも植えてる。  ダリプはそのまま食べても甘酸っぱくてうまいんだ。  マルルンにはまだ早いかな? マルルンは主食になるからしっかり集めとかなきゃ。 おっとっと、家を作るんだった。 村の家は全部焼かれて使い物にならないけど、室の中には棚があってわりかしちゃんと残ってる。  それらをバラせば掘っ建て小屋くらい作れるんじゃないかな?  道具は鎌とか鋤鍬斧に鉈が出てきた。 ほとんどは柄の
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トゥドゥ
 ということで、まずは家を建てる場所決めだ。  え? まずトンカチじゃないかって?  そこで悩んでいても始まらないんで体を動かすことから始めようってわけだ。  焼跡だらけの集落に建てるのは居心地が悪いんで水車小屋のそばに建てることにした。  もちろんそれなりに理由がある。  まず、水を確保するのが楽。  井戸が使えなくなっているんだから用水路は大事な水場だ。  僕一人でしばらく暮らすんだから水汲みなんて重労働は少しでも省力化するのは合理的ってもんだろ?  次に使えそうな棚板や柱をかき集めても小さな掘っ建て小屋以上のものができないのがわかっているから、水車小屋も利用しようって魂胆なわけだ。  寝泊まりはこれから作る小屋で、ものを置いたり作業するのに水車小屋を。  頭いいね、僕。  最後に用水路は雑木林に近いんだ。  僕の生き死には雑木林が握っているといっても過言じゃない。  一人しかいないんだから水汲み同様、利便を考えなきゃ時間も浪費するし疲弊しちゃう。 ということで、その日のうちに集落から水車小屋へと資材を運搬する。  僕の肩のあたりを飛んでる妖精はうるさいだけでちっとも役に立たないからな。  なんとか日が暮れるまでに運び終えた僕は、疲労で重くなった体に鞭打って夕食作りを始める。 …………。 そういえば火口も消耗品だな。  そう思った僕は、飯ができるまでの間に簡易のかまどを作る。  土をお椀型に盛って叩き締め、横穴をくりぬいてカマクラみたいにする。  その後慎重にてっぺんからくり抜いて出来上がり。  この辺は用水路が作られていることから分かる通り、粘土質の土だからそれなりの強度があるはずだ。 …………。 大丈夫、壊れたりしないさ。  と、自分に言い聞かせて飯炊きの残り火をかまどに移す。  これで明日からの食事の支度が楽になる。  ……はず。  火が風などにあおられる心配が減るのと、火を閉じ込めておくことで火力が安定し、熱が空中に拡散しないから高火力が得られ
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