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第五話

last update publish date: 2026-07-15 11:49:21

 大型アップデート開始まで残り1日の金曜日。いつものように昼休みに在原と一緒に昼飯を食べていた俺だが、昼飯を爆速で食べからスマホの画面に噛り付く。大型アップデートの詳しい内容発表まで、いよいよ3分を切った。

「……な、なぁ俺……めちゃくちゃソワソワしてるんだけど」

「案ずるな。俺もだ」

 机を隣同士に引っつけてひとつのスマホで暫くお待ちくださいと画面に表示されている文字をじっと見つめる。クラスメイトから変な目で見られている。

 クソ……このクラスに感動を分かち合える人が在原しかいなくてマジで悲しい……面白いのに!

「……っ!き、来たぞ!」

 ガタガタ!と椅子を鳴らして俺たちの頬がくっつくまでスマホに近づく。そんなになるなら各々のスマホで見ろよと思うが……ほら、雰囲気とかあんじゃん!

 それに————

「はわわ……始まる……」

 なんとメリィちゃんと通話しているのだ!昼休みに一緒に見てる風な気分になりたいという可愛いコールが飛んできたので、秒で承諾した。

 画面に3…2…1のカウトダウンから始まり、スティックヒューマン・オンラインのタイトル画面が出てくる。

 綺麗な草原と景色が眺められる崖に佇む棒人間………うん、やっぱだせぇわ。

 第五弾大型アップデート『新たなる門出』。新たなるマップ『鋼の雪原』や、鋼の雪原に登場する新ダンジョン。

 それに、レベルキャップ200まで解放。新スキルの実装等様々だ。

 そして、一瞬BGMが止まり、画面は暗転。鐘の音が聞こえ、紙吹雪が舞う教会。それはまるで————結婚式のような舞台だった。

『第五弾大型アップデート。明日の0時解放!』

「「「神!」」」

 流石!運営は俺たちの期待を裏切らない!そこに痺れる憧れるぅ!サ終するまでずっとついてくぜ!

「はぁ……すごい、私ドキドキしてきちゃった」

 夜の11時55分。現在、新たなる門出のメンテナンス中である。実際は既に終わってはいるが、まだサーバーが解放されていない。

 最後に意味深な内容で終わった結婚式らしきものは、スティッカーで様々な憶測がネット中で沸き起こっていた。そして三時に運営からの具体的な内容が提示。

『男性限定クエスト、棒の花嫁』というクエスト。名前もっと何とかならんかったんかい!と男女問わずツッコミがあった。

 クエストフラグを立てる方法は1つ。どれか高難易度ダンジョンのボスが落とすアイテムを手に入れること。確率は30パーセントくらい。

 メンテナンス入る前に???表記のアイテムを見たら『盟約の執行書』というアイテムに変わっていたため、もう……なんかアレだった。

 ほんと、エンターテイメント性がある運営会社だよ。

 11時58分。あと5分という時間がものすごく長く感じる。メリィちゃんの方もだまっている。

「……ねぇ、メリィちゃん」

「……なんですか?」

 11時59分。

「……俺、メリィちゃんに……指輪渡したい」

「……っ!はい……お待ちしていますね!」

 00時00分。

 第五弾大型アップデート『新たなる門出』開始。

「「リ○ク・スタート!!」」

 どこぞのアニメのセリフを真似してEnterキーを推す。

 いつものようにタイトル画面が……!

「うっそ!タイトル画面変わってる!」

 思わず声が出た。五年経っても変わらなかった不動のタイトル画面が、紙吹雪舞う教会に二人の棒人間がキス(しているように見える)シーンだった。

 うん……グラフィック超綺麗なのに棒人間のせいで果てしなくダサく感じてしまう。

「……やっぱダサい」

 耳元でメリィちゃんの声が聞こえた。ほんと、期待を裏切らないというかなんというか……。

『push Enter』とあるので、Enterキーをポチッと押す。景色が上へ上がり、見覚えのあるプレイヤーホームへ。

 すると、珍しくいきなりの通知画面へ。画面にはでかでかと『第五弾大型アップデート実装!』の文字。下へスクロールしていくと、棒の花嫁というクエスト詳細があるので、それをポチッと押す。

「……みぃくん、棒の花嫁の詳細教えて?」

「あれ、そっちでは出てないの?」

「ううん、みぃくんの口から直接聞きたいの」

「……わ、分かった」

 ドギマギしつつ、クエスト内容を読み上げる。

 まず、クエストフラグを立てるため、下記に表示されているダンジョンクエストのボスから『盟約の執行書』を確保。

 ・覇龍の根源

 ・古城の爪痕

 ・古代林の動揺

 ・琥竜の雄叫び 

 その他エトセトラエトセトラね。

 その一。中央都市ユグドラシルにある町はずれにある協会へと行く。そこで、教会のイメージアップに結婚式を上げたいとの相談が。

 しかし、結婚式を開く設備と衣装も何も無いため、お主ら集めてきてくれんか?というクエスト。

 必要なものは全部で三つ。『花嫁の衣装』と『新郎の衣装』、そして『誓約の指輪|《プレシャスリング》』だ。

 それぞれ一日ずつでしかクエストを受注出来ないため、注意が必要!

 それでは、楽しい棒人間ライフを!

「────らしい」

「ほえー……まんま結婚式だね」

「あぁ。それとお互いの同意なしには結婚できない……まぁ当たり前だよな」

 無理やり結婚とかおぞましいわ。

「結婚によるメリットは資金の統合、アイテムボックスの統合とか……あと、アイテムが割引になるとか、ドロ率アップ……なにこれ!すっごいお得じゃん!」

 後常時幸福のバフが着いて全ステータス5パーセントアップするらしい。まじすごい。

 あ、ちなみに離婚した場合は、お金は半分ずつに分けられて、アイテム等も元の持ち主に戻るそうだ。それで、絶望というバットステータスが追加されて全ステータス30パーセント低下らしい。持続効果は三日間。

「あ、これソロ専用だ」

「なるほど、頑張ってね!みぃくん!」

「あぁ!メリィちゃんとのこれからのために頑張るぜ!」

「ふみゅ!?」

 フッフッフッ……なんか燃えてきたァァ!!

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