声しか知らない嫁さんと本当に付き合う

声しか知らない嫁さんと本当に付き合う

last updateLast Updated : 2026-07-18
By:  結月アオバUpdated just now
Language: Japanese
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MMORPG。広大なフリーフィールドをクエスト、又はストーリーを己の分身であるキャラを操作してやり込む。 俺はPCゲーの無料オンラインゲームである『スティックヒューマン・オンライン』という棒人間が冒険するオンラインゲームで『メリィ』というプレイヤーとコンビを組んでおり、そこそこな知名度を誇っていた。 ある日、何故かこのゲームに結婚システムが導入され、俺は思いきって結婚を申し込んでみることに―――― 「……みぃくん。あの、プロポーズしてくれてありがとうございます………旦那様!」 「ガハッ!」 俺は死んだ。

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Chapter 1

プロローグ

「メリィちゃん右から!」

「はい!」

 でっかい恐竜が今にも貧相で直ぐにポッキリと折れそうな···の体に尻尾の攻撃がいく。

 だが、ギリギリまで引き付けてしっかりとその手(持ってるかは分からない)にあるタワーシールドでしっかりとジャストガードし、尻尾が弾き飛ばされる。

「みぃくん!」

「了解!」

 耳に着けているヘッドホンから相棒の声が響き、それに応える。コマンドを入力し、奥義を発動。棒人間のくせにカットイン入りの攻撃魔法が恐竜へ襲い掛かり、残り二割だったHPバーが消え去った。

 恐竜がポリゴン状に砕け散り、ボスがいた場所には『congratulations!』の文字が現れた。

「……やっっったぁ!」

 耳で相棒が喜ぶ声が聞こえた。俺も例外ではなく、ついつい「しゃあああ!」と言ってガッツポーズしてしまった。

 ほっほー!!これたまんね!脳汁えぐい出るんだけど!!

「二人限定最高難易度クエスト『琥竜の雄叫び』史上初クリアだよ!みぃくん!」

「あぁ!本当に…………」

 ぬぅわぁぁぁ………と言って力なくイスにもたれ掛かる。脱力しすぎてずり落ちた。

 パソコンの画面には経験値や取得金額、ドロップアイテム等が表示され、椅子に座り直してログ画面を消した。画面では二人の棒人間がハイタッチをしていた。

「お疲れ様、メリィちゃん」

「うん、みぃくんもお疲れ様でした!」

 その言葉を皮切りにキャラが自動転移し、街に戻ってきた。すると、途端にチャットログに流れてくる大量の『おめでとう!』と俺達を祝福するたくさんのプレイヤー達のチャットが流れてくる。

『ありがとう!』というコメントをチャットではなく、吹き出し状にしてからお礼を告げる。

「わわっ……皆すごい早い……」

「実装されてから1ヶ月たったのにまだ誰もクリア出来てなかったしな。常にコンビで動いていた俺たちでさえ20回の試行回数だ」

 ギミック、敵キャラの強さ、攻撃パターンや連携など、ある程度コンビプレーに慣れていないとクリア不可の超絶ダンジョン。三年前からずっとコンビの俺たちでさえ、20回も掛かったのだ。

 本当によくこんなクソダンジョンに根気よく挑んでたな?これもゲーマーの性だと言われたらそれはそうのしか言いようがないんですが。

 一通りチャットが落ち着いてから、プレイヤーホームへと転移。

 それをしてから机にドカッ!ともたれた。耳元でもドカッ!と聞こえたから多分向こうもそんな感じ。

「いやぁ……疲れたねぇ」

「うん……今日はもう何もやる気起きないや」

 もうね、手汗がすんごい。後でコントローラーをウエットティッシュで拭いておかなきゃ。

「それじゃあ今日はもうログアウト落ちる?」

「そうだなぁ……うん、もう精神力ないから落ちるよ」

「りょうかい!」

 耳元で可愛い声で返事したメリィちゃんがキャラのエモートでバイバイ!と手を振ってから消えた。うーん、棒人間なのになんで可愛いんだ。これが分からない。

 メリィちゃんがログアウトしてから俺もログアウトする。メニューボタンからログアウトを選択すると、see you play againという文字が出てきてから、タイトル画面に戻った。

「……あー」

 ヘッドホンを置いてからベッドになだれ込み、スマホを開いてからツイッテーというSNSアプリを開く。

「……あ、もうメリィちゃんが勝利報告してる」

 既に『みぃくんと琥竜の雄叫び攻略!!すごい疲れた!』というツイートが流れてきて、すごい勢いでいいよ!が量産されていく。

 俺の方でもツイート……っとよしOK。

 パッと表示されると、直ぐにメリィちゃんがいいよ!を押してくれて、直ぐにいいよ!が量産され、おめでとう!という返信もたくさん来た。

 それを確認して俺は、目を閉じた。

 うん、今日はもう寝よう。久しぶりに精神を物凄く消費した。今は何も考えないで寝たい………。

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プロローグ
「メリィちゃん右から!」「はい!」 でっかい恐竜が今にも貧相で直ぐにポッキリと折れそうな棒人間の体に尻尾の攻撃がいく。 だが、ギリギリまで引き付けてしっかりとその手(持ってるかは分からない)にあるタワーシールドでしっかりとジャストガードし、尻尾が弾き飛ばされる。「みぃくん!」「了解!」 耳に着けているヘッドホンから相棒の声が響き、それに応える。コマンドを入力し、奥義を発動。棒人間のくせにカットイン入りの攻撃魔法が恐竜へ襲い掛かり、残り二割だったHPバーが消え去った。 恐竜がポリゴン状に砕け散り、ボスがいた場所には『congratulations!』の文字が現れた。「……やっっったぁ!」 耳で相棒が喜ぶ声が聞こえた。俺も例外ではなく、ついつい「しゃあああ!」と言ってガッツポーズしてしまった。 ほっほー!!これたまんね!脳汁えぐい出るんだけど!!「二人限定最高難易度クエスト『琥竜の雄叫び』史上初クリアだよ!みぃくん!」「あぁ!本当に…………」 ぬぅわぁぁぁ………と言って力なくイスにもたれ掛かる。脱力しすぎてずり落ちた。 パソコンの画面には経験値や取得金額、ドロップアイテム等が表示され、椅子に座り直してログ画面を消した。画面では二人の棒人間がハイタッチをしていた。「お疲れ様、メリィちゃん」「うん、みぃくんもお疲れ様でした!」 その言葉を皮切りにキャラが自動転移し、街に戻ってきた。すると、途端にチャットログに流れてくる大量の『おめでとう!』と俺達を祝福するたくさんのプレイヤー達のチャットが流れてくる。『ありがとう!』というコメントをチャットではなく、吹き出し状にしてからお礼を告げる。「わわっ……皆すごい早い……」「実装されてから1ヶ月たったのにまだ誰もクリア出来てなかったしな。常にコンビで動いていた俺たちでさえ20回の試行回数だ」 ギミック、敵キャラの強さ、攻撃パターンや連携など、ある程度コンビプレーに慣れていないとクリア不可の超絶ダンジョン。三年前からずっとコンビの俺たちでさえ、20回も掛かったのだ。 本当によくこんなクソダンジョンに根気よく挑んでたな?これもゲーマーの性だと言われたらそれはそうのしか言いようがないんですが。 一通りチャットが落ち着いてから、プレイヤーホームへと転移。 それをしてから机にドカッ!とも
last updateLast Updated : 2026-07-11
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第一話
「おっす!充!昨日はよくやったな!」 ベシ!っと教室についた瞬間、肩に衝撃が走る。 突然だが、俺の名前は|早川充《はやかわみつる》。高校二年生だ。 そして、つい先ほど俺の肩を叩いたのが、ゲー友である|在原剛《ありはらつよし》。スティックヒューマン・オンラインを一緒にやる友達だ。 スティックヒューマン・オンラインとは、名前の如く、棒人間を操作するMMORPGだ。最初は斬新過ぎて「なにこれ?」的な感じがゲーマー界の中で囁かれてたが、やってみると意外と面白く、グラフィックも棒人間以外は超綺麗という謎のバランスで大人気となった。 完全レベル制。課金要素はほとんどなし、ガチャもなくて全て装備はドロップアイテム。そして運営の神さから人気を誇っている。 課金要素と言えばちょっとしたアイテムとかバフ効果くらい?ほんと、よく運営回していられるよね、もう五年続いてるんだよ?「やっぱあれか?ボイチャの方が効率いいの?」「当然」 やっぱりチャットよりボイチャよボイチャ。それに――――「お、今メリィちゃんのこと考えてんな」「んなっ!」 在原に言われ、少しドキッ!とする。な、なぜバレた!「お前大抵会話の時に途切れるとメリィちゃんのこと考えてるから。二年前から変わんねぇーのお前」「ぐぬぬぬ……」 な、なんか悔しい……。 い、いや、だって仕方なくないか?あんな声可愛いんだぞ?一般的な男子高校生なら考えてしまうのも仕方がないといいますかごにょごにょ。「ま、それは一旦置いといて、今日の夜は俺と一緒に琥竜の雄叫び行こうぜ」「え、ごめん。普通に無理」「うっわ即答……ちなみに理由は?」「単純だろ、質の違い」  俺とメリィちゃんは三年も前からコンビ組んでるの。分かる?歴が違うのだよ歴が。 あと普通にあのダンジョンしんどいから行きたくない。もうしばらく恐竜をみるのは控えたいかなぁ。「お前、それ遠回しに俺の事下手って言ってない?」「え?違うの?」「うっわぁ……すっけぇナチュラルに言われた……」「そりゃそうだろ」 このゲームは完全レベル制だが、プレイヤースキルも普通に影響する。今のレベルキャップは150まで。当然、俺とメリィちゃんは150に到達しているが、こいつはまだ120。 琥竜の雄叫びクエストの適正レベルは110越えだが、まだ足りない。「150になって
last updateLast Updated : 2026-07-11
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第二話
「……ん?」「どうしたの?みぃくん」「いや、ちょっと通知。ちょっと待ってて」 次の日、プレイヤーホームで二人でのんびりお喋りをしていると、スティックヒューマン・オンラインの公式アカウントからのツイートが流れてきた。「……あ、この後緊急レイドバトルだって」「へぇ……相手は?」「大海の覇者『クラーキング』。レベル1050」「クラーキングかぁ……」 クラーキングは、クラーケンと言われるでっかいイカの王様である。触手が80本あってものすごく気持ち悪い。でも強い。報酬もそこそこいいので、まぁまぁな人気があるレイドバトルだ。「どうする?行っちゃう?」「んー……ちょっと待ってて」 ピロンと、向こうがミュートにした事が伝わる。多分パソコンでドロップアイテムのことを調べているのだろう。俺も調べとこっかな。 武器の杖については、琥竜の雄叫びで新しい武器ゲットしたし、今欲しいのは……アクセサリーかなぁ。でもクラーキングアクセサリー落とさねぇんだよなぁ。 ぶっちゃけ個人的にはあんま行きたくない。でもメリィちゃんが行きたいなら行く。悲しいかな。惚れた弱みってやつだよな。 そう、薄々気づいているだろうが、俺はメリィちゃんに惚れている。顔も知らない、性格もあまり分からない、互いに知っているのは声とプレイスタイルだけ。 バカバカしい……等と思うかもしれないが、俺はその声と、垣間見えたメリィちゃんの優しさに惚れてしまったのだ。めちゃくちゃ声可愛いんだぞ……!「お待たせしました」「ん、どうだった?」「今回は見送ってもいいかな……クラーキング、あんまり欲しいの落とさなかったから」「ん、分かった。俺も今回は別にいっかなーって思ってたから」 確かにクラーキングはどことなく、アタッカー専用の武器がドロップするからな。タンカーのメリィちゃんやメイジの俺にはあまり関係ない。狙うなら魔導兵器ミスリルゴーレムとか、古代女王クレオグリスとかそこら辺だろう。「そうだね……今日は、みぃくんとおしゃべりしていたいかな」 おっふ。 琥竜の雄叫びクエスト実装から1ヶ月半。「いよいよバランス調整入るらしい」 明日のメンテナンスで琥竜の雄叫びクエストの難易度変更の為のメンテナンスが入る。それ同時に、何やら新イベントの実装告知もあるみたいなのだが……。「1ヶ月半でもまだクエストクリ
last updateLast Updated : 2026-07-12
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第三話
 さて、時刻は夜の11時。いつもなら解散の時間帯だが、明日は土曜日。つまり、これからが俺たちの時間だぁ! つい先程、琥竜の雄叫びクエストの調整メンテナンスも終わったので、ゲームにログイン。メンテ終わりをみんな待ってたので重い。 五分ほど待ち、見慣れたプレイヤーホームにキャラが現れ、向こう側にメリィちゃんが現れた。直ぐにパーティを組んでからボイチャにする。「あーあー……もしもーし?聞こえる?みぃくん」「うん、感度良好」 耳元からは、30分前まで喋っていた俺の好きな声。もうすぐメンテが終わるという通知を見て、通話を終えていた。「さて……告知は何かな……お?」「あっ」 運営メッセージ欄のメンテナンスのお知らせの隣にある、告知の欄をクリックして、内容を見たら、思わず声が出る内容だった。「……第五弾大型アップデートのお知らせ?」「確か前回の大型アップデートが『新天地の発見』だったよね?」 第四弾大型アップデートの『新天地の発見』は名前の通り、新しいマップが追加されると共に、新しいダンジョンや、新モンスター、レベルキャップ解放などの様々な物を俺たちスティックゲーマーの心をドキをムネムネさせた。 当然、第五弾も期待が高まる。あ、琥竜の雄叫びはただのアップデートコンテンツだから大型ではない。「……へー、新マップと新ダンジョンにレベルキャップ解放に……なにこれ?前日に発表?」「ん?」 新たなアップデートに期待に胸を馳せていた所、メリィちゃんが困惑した声を出した。下にスクロールしていくと、確かに『???』と表記されている。 新コンテンツ『新たなる門出』は二週間後か。「……やっべぇ。すっげぇ楽しみ……」 心が震える。今までたくさんのゲームに手をつけてきたが、アップデートと聞くだけでこんなにも楽しみなのはスティックヒューマン・オンラインだけだ。 さらに、レベルキャップ解放が宣言されたことで、余剰経験値というものが新たに追加される。「よし!今日はやれる限りレベリングだー!」「おー!」 耳元でもメリィちゃんの楽しげな声が聞こえる。 あ、ちなみにこの部屋は防音はしっかりとしてある。二年前に引っ越すにあたって土下座して頼み込んだからな!「とりあえず、バランス調整された琥竜行こう」「うん、頑張ろうね!みぃくん!」 コマンドを押して転移の呪文を発動
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第四話
 結果的に言うと、琥竜の雄叫びクエはかなり(俺たちにとって)簡単なものとなっていた。 このクエストは、ボスと戦う前に中ボスと三回戦う必要があるのだが、隠しギミックとして三体の討伐合計時間が30分以内であると、ラスボスの防御力が30パーセント低下というのがあるのだが、まずそれが達成し安くなっており、40分に増えていた。 それと、道中の雑魚キャラが減っていたり、攻撃に移るまでの時間が長くなっていたりと、かなりの難易度低下が見られた。それでも一歩間違えば即死だったが。「右、左の噛みつき」「うん」 琥竜が頭を上にあげ、そこから超高速の時間差噛みつき攻撃。メリィちゃんはタワーシールドを横に掲げてほぼ同時の時間差噛みつきを防御。 一瞬の隙を見逃さず、攻撃魔法を3連続で放っていく。30パーセント低下なのでみるみる減ってく減ってく。「スイッチ!」「あいよー」 メリィちゃんがシールドバッシュで琥竜を突き飛ばし、俺は素晴らしいスピードでメニューを開き、ステータス画面へ。そこで、装備を保存している欄へ飛び、アタッカー01と書かれているので、ボタンをポチッ。 琥竜の杖が消え、代わりに『真祖の剣』が姿を現す。 スティックヒューマン・オンライン必須スキルの一つである、|戦闘装備変更《バトルスイッチ》。名前の通り、戦闘中に高速で装備を変更することだ。 |棒人ゲー《スティックヒューマン・オンライン》は、前回も言った通り完全レベル制。よくある職業毎にレベルが違うやつではなく、全部が共通である。 簡単に言えば、メインを盾で使ってレベルが50でも、剣に変えてもレベルは落ちないってことだな。 このバトルスイッチを使いこなせるか否かが、中級者と上級者の境目だ。目標2~3秒ってとこだな。故に、上級者になればなるほど使える武器種が多くなる傾向にある。 その中でも、俺とメリィちゃんは上級者でありながら使う武器種は2種類だけという異色なコンビなのだ。俺が杖と剣。メリィちゃんが盾と槍。そこからも双棒っていうあだ名がついたかもな。 個人的には、二つ名は横文字が良かったです!ほら!もっと頑張ってよ!もっとデュアル何とかとかあったでしょ!2にこだわるなら!「1」 真祖の剣が光り、琥竜へ高速の5連撃が繰り出させれる。「5」 耳元でも数字を言う声が聞こえ、槍に変更したメリィちゃんが間髪
last updateLast Updated : 2026-07-14
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第五話
 大型アップデート開始まで残り1日の金曜日。いつものように昼休みに在原と一緒に昼飯を食べていた俺だが、昼飯を爆速で食べからスマホの画面に噛り付く。大型アップデートの詳しい内容発表まで、いよいよ3分を切った。「……な、なぁ俺……めちゃくちゃソワソワしてるんだけど」「案ずるな。俺もだ」 机を隣同士に引っつけてひとつのスマホで暫くお待ちくださいと画面に表示されている文字をじっと見つめる。クラスメイトから変な目で見られている。 クソ……このクラスに感動を分かち合える人が在原しかいなくてマジで悲しい……面白いのに!「……っ!き、来たぞ!」 ガタガタ!と椅子を鳴らして俺たちの頬がくっつくまでスマホに近づく。そんなになるなら各々のスマホで見ろよと思うが……ほら、雰囲気とかあんじゃん! それに————「はわわ……始まる……」 なんとメリィちゃんと通話しているのだ!昼休みに一緒に見てる風な気分になりたいという可愛いコールが飛んできたので、秒で承諾した。 画面に3…2…1のカウトダウンから始まり、スティックヒューマン・オンラインのタイトル画面が出てくる。 綺麗な草原と景色が眺められる崖に佇む棒人間………うん、やっぱだせぇわ。 第五弾大型アップデート『新たなる門出』。新たなるマップ『鋼の雪原』や、鋼の雪原に登場する新ダンジョン。 それに、レベルキャップ200まで解放。新スキルの実装等様々だ。 そして、一瞬BGMが止まり、画面は暗転。鐘の音が聞こえ、紙吹雪が舞う教会。それはまるで————結婚式のような舞台だった。『第五弾大型アップデート。明日の0時解放!』「「「神!」」」 流石!運営は俺たちの期待を裏切らない!そこに痺れる憧れるぅ!サ終するまでずっとついてくぜ!「はぁ……すごい、私ドキドキしてきちゃった」 夜の11時55分。現在、新たなる門出のメンテナンス中である。実際は既に終わってはいるが、まだサーバーが解放されていない。 最後に意味深な内容で終わった結婚式らしきものは、スティッカーで様々な憶測がネット中で沸き起こっていた。そして三時に運営からの具体的な内容が提示。『男性限定クエスト、棒の花嫁』というクエスト。名前もっと何とかならんかったんかい!と男女問わずツッコミがあった。 クエストフラグを立てる方法は1つ。どれか高難易度ダンジョンのボスが
last updateLast Updated : 2026-07-15
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第六話
 プレイヤーホームからユグドラシルに転移して教会を目指す。メリィちゃんとの通話はスマホからボイチャにかえ、スペクターモードで俺の画面を見ている状態だ。「あれ……教会どっちだ……?」「そこ右だよ」 紆余曲折ありながらも、何とか教会へ辿り着く。ここ別にそんな来る機会とかなかったから全くもって覚えてなかった。ユグドラシル広いからなぁ…。 そしてついに教会にたどり着いたのだが……なんかボロボロじゃね? 至る所にヒビが入り、白い壁も若干黒ずんでるし……予告動画ではもっと綺麗だっだぞ?「どういうことだ……?」「……とりあえず話しかけてみない?」 まぁそうだなと思って、頭上に『?』が浮かんでいる司祭らしき人物に話しかけてみた。『お……おお、冒険者様じゃないですか。一体何かこの老耄に御用ですかな?』[何か困ってるように見えた][いや……特になんでもないよ]「選択肢……だな」「まぁ普通に考えて上だよね」 上を選択する。『……ほほ。見知らぬ人にまで分かるほどの深刻さですか……ちょいと、ワシの頼み事、聞いて貰えないですかな?』 ここまできたら、画面にクエストが発生する。クエスト名は『棒の花嫁』。うん、間違いはないな。 受注する……っと。『おお!ありがたいですぞ!実は———』 さて、話が長くなるので簡潔に略したいと思う。 どうやら今、世間では結婚というものが流行っているらしく、教会もこの波に乗じてイメージアップを測りたいのだという。 しかし、教会はこの有様。壁はボロボロ、古い。内装はしっかりしているらしいが、外装で人は全く寄り付かなくなってしまった。 別にそれでも教会管理職としては問題は別に無いのだが、折角教会があるのだから、何かをしてみたいとの事。 そこで、今回の結婚ブームに乗っかろうではないか!ということである。 しかし、外装は司祭達がどうにかするとして、道具が足りないとのこと。結婚衣装に結婚指輪まで調達できる程の実力者がここにはいない。 だから、無料で結婚式を挙げるから、ちょっと素材集めてきてねとの事だった。素材渡せば後は向こう側が勝手に用意してくれるらしい。『まず、冒険者様には新郎の衣装の材料である|人蜘蛛《アラクネ》の糸を集めてきて欲しい』「……アラクネ」 ボソッとメリィちゃんが呟く。アラクネは中級ダンジョンである『毒蜘蛛
last updateLast Updated : 2026-07-16
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第七話
「な……なんじゃこら……!!」 視界悪っ!あ、なんだこの見たことないアイコン! 新マップである鋼の雪原は、俺達を迎え入れた。強力な猛吹雪と共に。「わわっ!なにこれなにこれ!」 メリィちゃんの方も慌てている。とりあえず、何か対策取らないと!変なバッドステータスで何故かHPがゆっくりと減り始めてるから、分からん殺しされる!「一旦!マップからでよう!」 俺達は、開始30秒で鋼の雪原を後にするのだった。 転移コマンドでプレイヤーホームへととんぼ返り。な、なんか情報量多くて無駄に疲れた気がする。 遅れてメリィちゃんがプレイヤーホームに転移してくる。「……暫く、休憩&情報収集」「……うん」 俺達は、スマホを手に取った。 棒人ゲー攻略専用スレを開く。既に結構盛り上がっていた。 1.そこらへんの棒人間 鋼の雪原情報求む。俺も潜ったけどなんか情報量多くてやりにくい。 とりあえず、俺が調査したことだけ書いておくから、足りない分追加していって。 ・かなりの猛吹雪 ・見たことないバッドステータス ・異常なまでの敵の命中率の高さ 2.そこらへんの棒人間 1有能 3.そこらへんの棒人間 運営から新情報でたで。ウラル貼っとく http(以下略) 4.そこらへんの棒人間 3おまんも有能 5.そこらへんの棒人間 とりま、運営からの情報を分かりやすく記載しとく。なんか質問あるなら運営に。 ・新天候猛吹雪のせいで命中率は普段より30パーセントほどダウン。補助魔法オススメ ・新バットステータス『凍傷』。放っておくと、寒さで体力持ってかれるから注意。回復役は絶対にいる。 ・新モンスターは全員軒並みに防御力が高くなっている。 後の詳しいことは公式ホームページ行きな。 6.そこらへんの棒人間 5 まじ助かる。  なるほど。あの雪の結晶みたいなアイコンはバッドステータスだったのか。棒人間だから寒いんだろうなぁ。服も着てないし。 とりあえず貼ってあったウラルからホームページ飛んで、詳しい内容に目を通しておく。 大体スレに書いてあったのと同じ。確かに分かりやすく整理されていた。 後、最初の村にたどり着くと命中率ダウンと凍傷のバッドステータスが無くなるアイテムが無料で貰えるらしい。「――――とまぁこんなとこかな?」「私もだいた
last updateLast Updated : 2026-07-17
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第八話
 パチリと目が覚める。時計の時間を確認すると、まだ朝の6時30分だった。 おかしいなぁ。昨日は2時近くで寝たはずなのに、もうこんな時間に目が覚めてしまった。まぁ毎日早起きしているため、体が自動的にこの時間帯に起きるようになってしまっている「ふぁ……」 だからといって眠気がないという訳ではない。ちらりとカレンダーを見て今日が土曜日だということを確認して、俺はゆっくりと体をもう一度横にするのだった。 好きな睡眠発表ドラゴン、二度寝。  起床。午前10時16分。とりあえず飯を食べるにしては中途半端なので後でいいや。スマホを開いて在原のL○NEを探す。『起きてる?』既読『起きてる』 お、既読早い。『それじゃあいける?琥竜の雄叫び』既読『もち』 よし、ならばササッと琥竜行って昼飯食べるか。時間的にも丁度よさそうだ。 机に向かい、電源を入れてすぐさまスティックヒューマン・オンラインへログイン。そして今日は在原と通話しながらの攻略だ。 見慣れたプレイヤーホームからスタートして転移でユグドラシルへ向かう。『ユグドラシルの道具屋前』既読『り』 暫く待っていると、お目当ての人物がやってきた。そして直ぐにパーティ申請されるので受諾。自分のHPバーの上に小さく、もうひとつHPバーが。その上には『ウレ』という名前があった。「うし、よろしくなーみぃ」「よろしく、ウレ」 ウレ。在原がスティックヒューマン・オンラインで使っている名前である。そして、こういう時は名前で呼ばずにプレイヤーネームで呼び合う。なんかロールプレイングっぽいよね!というロマンでこの呼び方になった。「ウレは何武器だっけ?」「あ?剣と、弓と一応杖だな」「おっけ。なら今日は超攻撃型で行くか」 装備メニューから真祖の剣を取り出す。血のように真紅に染まった超カッコイイ剣だ。「……いつみてもいいよなー。そのユニークアイテム」「だろ?」 ユニークアイテム。このゲームに1つしか存在しない、期間限定で一回しか手に入るチャンスがない超激レアドロップアイテム。 これが俺とメリィちゃんのコンビを有名にした出来事である。俺は『吸血の産声』というクエストのラスボスである|吸血鬼公爵《ヴァンパイアロード》から真祖の剣。メリィちゃんは『奥底に潜む卵』のラスボスであるエイリアン・ネアという巨大グレイ星人的
last updateLast Updated : 2026-07-18
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