LOGINさあ、影光&フレイヤとサイラスの料理が出揃った。いよいよ、審査員の実食開始!
まずは影光側から料理を出す。
皿の中央には、三日月のように弧を描く半熟オムレツ。その下には、赤く艶めくチキンライスが大地のように広がっている。
影光曰く…名付けて『
審査員A曰く:「ふおおっ…溶ける!フォークを入れただけで卵が溶けるぞ!黄金に輝く半熟のオムレツに色鮮やかなチキンライス…なんと鮮やかな色彩のバランスだ!」
審査員B曰く:「味も申し分ない!味の強いチキンライスを卵の優しき甘さが包む!力強くも大地を踏みしめる勇者と、それを優しく見守る姫のようだ!世界を救う僕たちの旅はここから始まる、と言っているようだ!!」
審査員C曰く:「かつて高級料亭で勤めていた私だが、これほどまでに調和の取れたオムライスはなかなかお目にかかれん…味、色彩、温度…全てにおいて非のつけようがない!」
審査員D曰く:「ラーメンじゃないので0点」
最後の評価に少しため息を吐く影光だが、審査員の反応は上々のようだ。その分、なんで審査員Dのラーメンおじさんは許されているんだろうと考え込んでしまう。
(でも…誰も文句を言わないのなら、仕方ないのかもしれない。何か凄い人なのかもしれないし…)
ともかく、影光は相手のサイラスの反応を見るが…。
なんと、サイラスはまったく動じず静かに笑っている。まるですべて予想済み、こちらは掌の上だとでも言いたげな余裕だ。
(あの人、まったく動じていない…なぜだ?自分の料理にそれほど自信があるのか?)
フレイヤもまた別の意味でサイラスのことが気になっていたようで、彼の方を見る。
「あれほどの人が、なんで地上げ屋の専属シェフなんてやってるんだろうね?お金で動くような人でもなさそうだし」
と、やっぱりそこは疑問に思っているようである。おそらく、会場の人間みんながそれを思っているのではないだろうか。
――次に、サイラスが前に出る。
「では、私の番だな。ご覧いただこう。これがこのサイラスの卵料理…その名も『
そこに出された皿は五品…それを見て観客がうおおおっ!?と声を上げる。
第一の品はまるで小籠包…しかし、卵白を皮のように薄く焼き、中には卵黄の
第二の品は黄身の低温固め…まるで黄身漬けのようだ。
第三の品はメレンゲの雲…卵白からメレンゲを作り、焼いたらしい。
第四の品は卵の麺…卵焼きを薄く細く切り、その上に卵黄のソース。
そして中心に王者のごとく位置する皿は半熟卵。
「なんだアレは!?卵…本当に卵のみであんなものを作ったのか!?」
「イ、イカレている、狂気だ…しかし、天才的だ!」
「し、信じられん!人間業じゃない…!」
観客がどよめいている中、影光とフレイヤも驚愕する。
「ありえない、完璧に技術の頂点だ…。火入れや温度差を完璧に見極めなければあんな料理は作れない!あの人…天才だ!!」
「卵にはいろんな調理法があるけど、それを全部持ってきたって感じだね。ホント、なんで地上げ屋の専属シェフなんてやってるんだろう…」
むしろその狂気に感心してしまう中、審査員たちも実食を開始する。
審査員A曰く:「な、なんだこれは…卵のみで…本当に卵のみでこんな料理を作っている!他の食材も調味料もない!だが…美味い!」
審査員B曰く:「おおよそ卵でできる調理法、そのほとんどを持ってきたということか!味も美味い!卵のみなのに…まるで魔法だ!料理とはここまで恐ろしいものなのか!?まさに料理界の魔王!」
審査員C曰く:「かつて高級料亭で勤めていた私でもこの技術は狂気の極み…しかし天才的だ!この技術の前では私も兜を脱ぐしかない…完敗だ!」
審査員D曰く:「ラーメンじゃないので0点」
Dのラーメンおじさん以外はみな口々に技術を賞賛している。影光たちもあれほどのものが作れるかと問われれば、悔しいながらも首を横に振るしかない。
「フレイヤさん、ごめん。やっぱりバイト初日でクビになるかも…」
「別にあのおじさんは店の権利持ってないんだけど…。あ、いいこと考えた。店の名前変えればOKじゃない?『かがやき』から『猫うさぎ』とかにしようよ」
などと影光とフレイヤも負けた後のことをもう話している。はっきり言って、『
だが…。
「この闘いの勝者は…影光!影光側の勝利と宣言する!」
「えっ?…なんで?どうして?」
審査員の結果発表に影光が疑問を口にするが…。サイラスは動じず、ただ静かに笑っているだけだった。
――審査員が決着の理由を説明する。
『
その点、『
確かに、食材一つのみではいかに調理法を凝らそうと味は単調になる。そのために他の食材との組み合わせや、調味料があるのだが…。
そんなことにサイラスが気づかないわけがない。彼はまるでわざと負けるようにそう仕組んだのではないか?だが…いったいなぜ?
そう考える影光だが…そんなサイラスが、影光とフレイヤに近づき笑顔で軽く手を振る。
「…影光君、フレイヤ嬢。才能あふれる二人の知恵と力が結集された素晴らしいオムライスだった。まだ先の話になりそうだが、いずれまた対戦したいものだね。その時こそは…私も本気でお相手しよう」
そう言ってサイラスは去っていった。
おんどりゃあ!何を負けとるんじゃワレィコラァ!と地上げ屋のおじさんが怒鳴りその後を追いかけるが…。
やはり影光は釈然としない。あの発言と余裕ではやっぱりわざと負けたのではないか…。だが、そんな影光を気遣うようにフレイヤがその肩を軽く叩き微笑む。
「まあ、勝ちは勝ち。今日からよろしくね、新人バイトくん」
――そんな二人を、超絶高級車であるマイバッハGLSに乗った男たちが見ていた。まず運転手の二十代中盤ほどの若い男が感慨深く言う。
「影光様…お見事です。思惑はどうあれ、あれほどの強敵に勝つとは…。ううっ、見違えるほど成長しておりますな!!この
「たわけ。家を出てからたったの二日であろうが。成長も何もあるものか」
しみじみとボケている…いやおそらく本気で言っている運転手の男―
それでも彼もだいぶ子煩悩なのか、嬉しそうに影光を見ながら言った。
「ふ、まだまだ未熟なれど道は始まったばかりよ。我を越え、我に挑みに帰って来る日を楽しみに待っておるぞ、影光。…よし、影真。そろそろ車を出せ」
「はっ!名残惜しいですが…。影光様!この影真、どこにいてもご活躍を願っておりますぞ!」
名残惜しそうに影真がアクセルを踏み…二人を乗せた車は去っていった。
――――――――――
一方、地上げ屋をうまくまいたサイラスがスマホを操作している。連絡先に『リリス』と書かれた人物をタップして電話を掛け、待つこと数コール。
電話がつながると、彼は『リリス』に嬉しそうに話しかけた。
「リリスか、私だ。まず、いいニュースと悪いニュースがある。どっちから聞きたい?」
『え~?じゃあいいニュースから』
「うむ…お前の睨んだ通りあの少年は相当な腕だな。そして彼とフレイヤとの相性も良さそうだ。まったく、お前にゾッコンなあの地上げ屋の懐に潜り込んで、うまく勝負をそそのかした甲斐があったよ。だいぶ急な話になってしまったがね」
『でしょ~?私、人を見る目だけは昔から自信があるのよ。それより、ワザ
リリスと呼ばれた女性…すなわち、フレイヤの母であるゆるふわ系店主が電話の向こうで嬉しそうにそう言うが…。
サイラスは声色と表情を切り替えて、もう一つのニュース…『悪いニュース』を伝える。
「では次に、悪いニュース。昔の
『ラミア?あ~、昔の部下ね。優秀だったわね~あの子。でもそれは困ったわねえ。見逃してくれないかしら』
「十年も放置していたわけだし、すぐに来ることはないだろうが…。わざわざ議題に挙げた以上、見逃す可能性は低いだろうな。仮に奴らが来た場合、今の影光君とフレイヤでは為す術もないだろう。お前が護るしかないが…その時は私も力になろう」
そう言ってサイラスは電話を切り…ため息を吐く。
「やれやれ…私もしばらくこの町に滞在した方が良さそうだな」
リリスをかばい、魔餉気の直撃をその身に浴びたマキシマ。大したことはないと強がるが…足元がぐらつき、その場に倒れてしまった。急ぎ伊蔵が容態を確認するが、呼吸がかなり弱っているようだ。一刻も早く病院に運ばなければ危険だろう。次いで倒れたリリスに駆け寄る影光とフレイヤ。魔餉気の余波を浴びてしまったのか、気絶している。マキシマが庇ってくれたとはいえ、こちらも一刻も早く病院に運ばなければ…。慌てる一同を見て、オーディンが高らかに笑う。まるでその姿を愚かそのものと断ずるように。「ふははは。滑稽、滑稽千万。庇ったところで余の魔餉気の余波は防げぬ、ぞ。一人死ぬだけで済むはずが、愚か者二人をまとめて片付けられたわ」「こ、この…!!絶対に許さん!お前だけは、絶対に許さんぞ!!」怒りに震え立ち向かうサイラスだが…オーディンは動じない。いやそれどころかまた高笑いをして、サイラスをしっかりと甲冑の奥から赤い眼で睨んだ。「許さぬ?許さなければどうする。余に挑むか?それでも良いぞ。貴様と勝負してやってもよい。お前がその命を懸けるのならば、な」「ぐっ…!」その言葉に怯みつつも一歩前に進むサイラスだが…それを影真が必死に止める。まだ早い、あの魔餉気の正体を掴まねば我らに勝ち目はない…と。そう、それはサイラスもわかっていたことだ。しかし、幼き頃からの友であるリリスや、かつての後輩マキシマを傷つけたオーディンを許すことはできなかった。今は勝てぬと警告する理性、友を傷つけられた怒り、その相反する衝動がサイラスを揺さぶりつつも…。サイラスは諦めたように俯いた。拳は血が滲むほど握りしめながらも。「ハハハ…臆病者め。友を傷つけた余が憎くないのか?余を許すのか?貴様の怒りは、想いとやらは、しょせんその程度だったか。フハハハハ!」「サイラス殿、挑発だ。乗るな!」「わかっている…だがしかし、おのれ…ぐううっ、くそっ!」サイラスを必死に止める影真と、悔しさのあまり握った拳を地面に打ち付けるサイラス。
調理タイム終盤、ついに動いたオーディン。しかし、その行動は誰もが目を疑うものだった。急に素早く動いたかと思うと、対戦相手であるリリスのパフェを完全にコピーしたのである。それも、ほんの一瞬で。会場の全員が度肝を抜かれる。急にそんなことできるわけがない。それまでオーディンは一切動いていなかった。動き出した途端に…目の前に唐突にパフェができていたのだ。「あ、ああ…信じられない、いったいどうやって…?」「スポンジの用意も、フルーツのカットもしていなかった!そんなはずはない!」「ま、魔王…あれが料理の魔王オーディンなのか…」見ていた影光や、勝負に加わっているマキシマ、伊蔵も唖然としている。サイラスは悔しそうに歯噛みし、影真も冷や汗をかきながらオーディンを睨む。暗黒食王はただ静かに目をつぶるが…。「だ、大丈夫。ママのパフェが…完全にコピーできるわけがない!ママのパフェは世界に一つ、ママしか作れないから…。あんな簡単にマネできるもんか!」フレイヤは気丈にそう言う。母を信じる愛がそう言わせるのだろう。リリスもその通りだというようにフレイヤを見て力強く頷くが…。オーディンは、その言葉を侮蔑するかのように高笑いをした。「フハハハ…ハーッハッハッハ!これが偽りの母娘の情か!掃きだめに堕ちて腐ったクズ肉のほうがまだ価値がある、ぞ!所詮失敗作、貴様を捨てた余の見立てに一分の狂いもなかったわ!!」あまりにもひどい侮辱の言葉を吐いた後、オーディンはフレイヤを睨み…嘲るような声で告げた。「クズ肉にも劣る失敗作よ。貴様の言った戯言、一つだけ的を射たものがある。余は貴様の偽りの母の料理をコピーしたわけではない…。それを遥かに凌駕するものを余は生み出した…いや、生み出すのだ!」そう言うとオーディンは甲冑に備えた包丁を抜き、高く天に掲げる。一体何をする気だ、と観客がざわざわするが…。なんと、オーディンはその包丁を振り下ろし空を切った。それを二度、三度、四度…いや、その動きは速すぎてもはや数えることができない
さあ、第三試合、リリス対オーディンの最終決戦が始まった。料理テーマはパフェ…リリスの得意分野である。勇んで準備をするリリスに、サイラスと影真が協力を申し出る。「リリス、私も手伝おう。かの者を追い詰めるこの好機、見逃すわけにはいかない!」「この影真もなんなりとお使いください!悪は絶対に許さん!」その申し出にリリスは優しく微笑むが…柔らかくそれを拒否する。「悪いわね。これは私の義憤…というか私怨による闘い。誰の力も借りられないわ、申し訳ないもの。それに…もしもの時は私の子たちを護ってほしいから」そう言ってリリスはフレイヤと影光を見る。勝負が終わった後、オーディンがどういう行動に出るかわからない。暴れて被害が出る可能性もある。サイラスたちにはその時に備えてフレイヤと影光を護ってほしい。そういう願いだった。それを承知した二人もしぶしぶ引き下がるが…その代わりに別の二人が協力を申し出る。それは、マキシマと伊蔵だった。「リリスさんよ、俺達にゃ杉森をやられた恨みがある。いわばあんたと一緒、あいつに対する恨みで動いているってわけだ。あいつの首を殺れるなら死んでも何も惜しかねえ」「この伊蔵も、あやつを討つためお主に協力させてもらうぞ。盾にでも囮にでも捨て駒にでも何にでも使え。いらんと言われてもサポートさせてもらう」「…あっそ。じゃあ好きにしなさい。言っとくけど、死んでも謝るくらいしかできないからね。ま、私も生き残れるかわからないけど」そう言いながらもリリスは笑い…マキシマと伊蔵に指示を出したのだった。――――――――――さて、目覚めず担架で運ばれる杉森を見ながら、影光は恐怖を覚える。先ほどオーディンが杉森を吹き飛ばした時、彼はまったく近くにいなかった。殴り飛ばしたりなど決してできなかったはずだ。それに、高速で吹き飛ぶなど…たとえ殴ったり蹴ったりしても、人はあんな不自然に勢いよく吹き飛ぶだろうか。(あいつ…オーディンがやったのは間違いない。でも、どうやって離れた距離から攻撃したというんだ?それに
――さて、気絶から回復した他の審査員たちが影光の勝利を確認、まあDさんが言うならそれでいいでしょう、異議をつけてまた暴れられても困るし、と追認した。これで影光の勝利は確定したのである。残すは大将戦、リリス対杉森だが…審査員が最終戦のテーマを発表する。それは…なんと『パフェ』! この言葉を聞いた瞬間、リリスと杉森の顔色が変わった。まさに、正反対とも言うべき色に。「あら?パフェなら得意だわ」と嬉しそうなリリスに対し、愕然とした表情の杉森。そう、杉森の異名は『カレー王者』。カレーに特化した料理人なのだ。いや別にパフェも作れないことはないが、はっきり言って不得手である。しかも実は、リリスはG.O.D.在籍時『甘味三魔人』その筆頭と呼ばれた人間…スイーツなら組織でも指折りの職人だったのだ。どう考えても杉森がパフェ対決で勝てる相手だとは思えない。「…まあその、なんだ。運が悪かったな」「とりあえず、一応手伝ってやるよ。一応」…落ち込んでいる杉森を慰めるように、伊蔵とマキシマがそう声をかけた。――反面、チームかがやき側はすでに終戦ムードである。どういうパフェを作るか楽しそうに考えながら前に出るリリスと、それを誇らしそうに見送るフレイヤ。出生や育ちに関わる深刻な話を聞かされた後だというのに、いつも通りのようだ。影光が心配そうに大丈夫なのかと聞くが…。「うーん、それほど気にしないよ。だって、私は私、ママはママだし。実の親子じゃなくてもそれは何も変わらないから」とフレイヤは笑って返すのみだった。それが本心なのか、内心を隠してそう振る舞っているのかはわからないが…この子は強い子なんだな、と影光も感心する。さて、先の闘いで共闘したサイラスと影真も、何やら言葉を交わしている。いずれ落ち着けば料理対決をしようと朗らかに約束しているようだ。強者同士、やはり競い合いたいものなのかもしれない。さて、勝負の舞台に立つリリス。それに対し、もうこうなれば仕方ないと諦めつつも勝負に向かう杉森だが…。次の瞬
さて、試合会場ではマキシマと影光の闘いで盛り上がっている頃…。試合会場の遠くに停めた超絶高級車『ロールスロイス ファントム』から、その勝負を窺う者がいた。運転席にいたサングラスの女性…闇の料理組織『G.O.D.』の幹部の一人である『ラミア』が沸き立つ観客を見て忌々しげに呟く。「ふん…あの三人、本当に使えないわね。観客を沸き立たせてどうする。虫けらを圧倒的な力で踏み潰してこそのG.O.D.でしょうが」会場に忍ばせた調査員から聞いた話では、一試合目は引き分けになったという。この勝負もどう転ぶかわからない、とのこと。それでは目的に反している…ラミアはそう考えた。総帥オーディンの子ながらも失敗作の烙印を押されたフレイヤ、そしてそれを秘密裏に連れ出し育てたリリスへの制裁にはならないのだ。特にリリスには徹底的に潰れてもらわなければならない。もう二度と料理などしたくないと思わせるほどに。舌打ちをするラミアだが…後部座席に座っていた男が静かに言う。「…なればやはり。余が出るべきであろう、な」「え!?そ、そんな!貴方様自らが出るほどでは…」ラミアは慌ててそう言うが…後部座席の男は止まらない。「よい。時には下々の者へ、余自ら教えてやらねばならぬ。料理とは楽しいものではない。笑い合い、愛を育むものではない。食材を支配し、他者を蹂躙し、命を弄ぶものだと。そう…すべてを圧倒的な絶望に沈めるものだ、と」明らかに偏った危険思想を吐きながら、後部座席のその男は車から降りる。そして…花宮町の地をその足で踏みしめた。――――――――――さあ、両者の料理が出揃う。まずはマキシマ作のラーメン…『黄金比率の中華そば』から、審査員実食!審査員A曰く:「おおっ、スープが黄金色に輝いている!鶏の芳醇な旨味とまろやかな醤油のスープ、鶏油の芳しき香りが見事に調和し、麺と具に力を与えている!ううむ、何口飲んでもまったく飽きさせないぞ!」審査員B曰く:「ほほー!これは美味い!すべての素材が隠れず、しかし主張しすぎないスープ!このスープの
さあ、結集したG.O.D.チームとかがやきチーム。第二試合であと一戦を残しながらも、この闘いはすでに総力決戦の様相を呈していた。「サイラスが向こうにつくことは想定していた。だが、あの影真という男…これは想定していなかったな。奴もサイラス同様、とんでもない手練れだぞ」かがやきチームのメンツを見て杉森が眉間にしわを寄せる。サイラスに影真…料理を生業とする者ならば、知らぬ者はモグリと言えるほどの料理人だ。これは苦戦を強いられるだろうと全員が考え込むが…。「…フッ、どのみちいずれ倒さなきゃいけねえ敵だ。たまたまそれが今だっただけのこと。行くぞ、俺達の力を結集して勝利を掴み取る!」マキシマが杉森と伊蔵を鼓舞するようにそう言う。そして…自らのラーメンについて完成形を語った。マキシマのラーメン…それは言わば『黄金の中華そば』。鶏清湯をベースに醤油ダレと鶏油を用いる。麺は自分たちで用意した縮れ麺、具は豚肩ロースの低温チャーシューに鶏むねチャーシュー、穂先メンマに九条ねぎ、そしてゆずの皮を少し。万人向けのラーメンといったものだ。(ラーメンとはあまりにも多種多様、好みも千差万別だ。万人が100点を出すラーメンなど作れるわけがねえ。ならば俺が選ぶのは…最大公約数のラーメンだ!)そう、マキシマのラーメンの完成形はそこにあった。百人が食べて百人が80点以上を出すラーメン…。こと料理勝負においては勝利への最適解とも言えるだろう。そう考えて動き出したマキシマたちだが…ちらりと影光の方を見る。彼はサイラスと影真に自分の完成形ラーメンを話しているようだ。内容までは聞き取れないが、サイラスは深く頷き、影真はガッツポーズを取っている。いったい何を作るつもりなのか…?しかし、それを気にしても仕方がないとマキシマはスープの準備を進めた。(フッ、何を作ろうが構わねえ。いや、むしろ見せてもらいたいもんだぜ。天才たちが結集して作る『万人が好むラーメン』を!)――――――――――一方、マキシマが動き出した少し後に影光たちも動き出す。「影光様!この影真、まずは必殺の出汁とタレを持ってまいりますぞ!こういうこともあろうかと、もちろん用意しておりました!もちろん麺も!すべてお任せ下され!!」そう言って影真が走り出す。影光のラーメンに必要なものを準備しに。そ