新妻はエリート外科医に愛されまくり

新妻はエリート外科医に愛されまくり

last updateLast Updated : 2025-03-13
By:  水守恵蓮Ongoing
Language: Japanese
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Synopsis

純愛

溺愛

天才医者

妊娠

スピード婚

各務颯斗(34)心臓外科医 × 仁科改め各務葉月(30)元医局秘書 エリート心臓外科医に愛されまくり 夢のような新婚生活のスタート 夫婦になった二人が望むのは可愛いベビー ところが葉月は 妊娠しにくい可能性を指摘され……? *+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。 『エリート外科医の一途な求愛』 新婚続編 今作だけでお楽しみいただけます *+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。

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Chapter 1

結婚、幸せの絶頂に暗雲 1

— Ontem, Alícia não me tirou da sua festa de aniversário sem motivo. O labrador dela estava para dar à luz, ela ficou tão nervosa que quase chorou. Eu jamais poderia deixar ela sozinha numa hora dessas. E é só por causa disso que você quer se divorciar? Ainda por cima tentou convencer a Vanessa a largar meu irmão. O que você acha que significa um casamento, afinal? Eliana, quando é que você vai amadurecer e ser um pouco mais como a Alícia?

Sérgio Lima entrou no quarto do hospital com o rosto fechado. Eu mal tinha saído da UTI, ainda muito fraca depois de escapar do pior.

Aquela pessoa que antes se desesperava até quando eu sentia uma simples cólica, agora nem sequer olhava para mim de verdade, preferindo me criticar o tempo todo.

Meus olhos começaram a arder. Tentei segurar, tentei não chorar. Mas não consegui. As lágrimas simplesmente desceram.

Lembrei do que aconteceu no dia passado. A Alícia me mandou o cadáver já apodrecido de um gato de rua, e aquilo me assustou tanto que acabei entrando em trabalho de parto antes da hora. Por sorte, minha amiga, Vanessa Silveira, me levou às pressas para o hospital.

No caminho, liguei desesperada para o Sérgio mil vezes, mas ele não atendeu nenhuma.

Já no hospital, sem nenhum familiar para assinar os papéis, foi a própria Vanessa, que também era obstetra, quem assumiu todos os riscos para que eu pudesse ser operada.

Sofri uma embolia amniótica, tive uma hemorragia grave e ainda um parto prematuro. A cirurgia era complicada demais, e nem a Vanessa, nem os médicos sabiam se dariam conta.

Segurei o máximo que pude, chorando, consegui ainda ligar de novo para o Sérgio, em meio a dor. Era mais um pedido de socorro do que uma despedida.

— Estou com embolia... e sangrando muito. Sérgio... Pelo amor de Deus, me salva... Não quero morrer, tenho só vinte e cinco anos, ainda sou tão nova... Quero ver nosso filho crescer. Se eu realmente morrer...

Eu queria dizer para ele cuidar de si, não se sobrecarregar tanto com o trabalho.

Mas antes de terminar, indignado, ele me cortou:

— Eliana, você sabe o quanto é perigoso um parto de cachorro? Olha, estou te avisando, para de ficar me ligando por causa do parto do cachorro da Alícia! Ela está com esse bicho faz dois anos, se importa muito, não ia deixar ela sozinha só para ir nessa sua festa inútil!

Ele desligou na minha cara.

Naquele momento, achei mesmo que era meu fim. Foi a Vanessa quem não me deixou desabar. Ela segurou minha mão, tentando não tremer, me encorajou o tempo todo.

Meu filho, porém, precisou ser levado correndo para a UTI, mas não havia um remédio essencial.

O marido da Vanessa, Valentino Lima, era dono da empresa responsável por esse medicamento, só que estava ocupado ajudando a Alícia com os filhotes de cachorro, e simplesmente ignorou o próprio sobrinho.

No fim, meu bebê não resistiu.

...

— Vai chorar de novo? Fora chorar, sabe fazer mais o quê? — Sérgio ficou ainda mais impaciente quando me viu chorando, puxando meu braço. — Você mentiu sobre a hemorragia só para eu te fazer companhia e agora ainda faz esse drama no hospital. Tem ideia de como está difícil conseguir leito? Levanta logo, dá entrada na alta e libera a cama para quem realmente precisa!

Ele era obstetra ali no hospital e, se quisesse, era só perguntar para qualquer colega que saberia tudo o que passei. Mas Sérgio nem se deu ao trabalho, porque acreditava no que queria e fim.

Foi aí que a Vanessa entrou, viu a cena e não se aguentou de tanto ódio. Empurrou Sérgio com força, veio até minha cama e já foi puxando o lençol.

— Drama? Que drama? Desde quando para fingir precisa sumir com a barriga de grávida? — Naquele momento crítico, quando a Eliana quase morreu de embolia e sangrava sem parar, você estava ocupado no parto do cachorro da Alícia. Sério, Sérgio, parabéns mesmo! A Eliana escapou por pouco, mas o filho de vocês... Esse não voltou. Agora, está satisfeito?

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結婚、幸せの絶頂に暗雲 1
爽やかな秋晴れに恵まれた、十月の土曜日。 日本では縁起担ぎで、多くの人が人生の門出の日に選ぶ、大安吉日。 私は、今日、結婚式を挙げた。 ここは東京のアクアフロント、お台場にある超高級ホテルのチャペル。 ドアが両側に開いた途端、視界をパアッと薄紅色に染めたライスシャワーが、ひらひらと宙を舞って地面に落ちる。 チャペルの前には、鮮やかな庭園が広がっている。 このホテルの売りでもある、色とりどりの花々が咲き誇るヨーロピアンガーデンに、参列者たちが待ち構えていた。 「おめでとう! 葉月(はづき)、とっても綺麗……!」 「各務(かがみ)、幸せにな〜!!」 昔からの友人たちが、口々に祝ってくれる中。 純白のウェディングドレスに身を包んだ私を、スマートにエスコートしてくれる彼を見上げた。 彼……各務颯斗(はやと)も、同じタイミングで私を見下ろしていて、宙で視線が絡み合う。 私たちは、思わず「ふふっ」と笑い合った。 と、そこに。 「各務ー! 浮気すんなよ〜!」 からかい混じりの声がして、私たちを囲んだ人たちが、ドッと笑う。 どうやら、今のは、颯斗の中学時代の悪友のようだ。 彼はその方向に顔を向けて、「しねーよ、バーカ!」と苦笑いで返している。 結婚式の主役、新郎の一言が、さらに参列者たちの笑いを取った。 颯斗はほんのり頬を染めて、「まったく」と独り言ちた。 ちょっと乱暴に、ガシガシと頭を掻く。 今日の彼は、白いタキシード姿。 いつもは額に下ろしているサラサラの前髪を、後ろに流している。 少しセットが崩れて、形のいい額に一房落ちた。 私は、そんな彼にもクスッと笑った。 遠くに見える青い海に浮かぶ船の汽笛が、チャペルの尖塔の鐘の音に混じって、鼓膜をくすぐる。 潮の香りを運んでくる柔らかいそよ風に、頭に着けたヴェールがふわりと舞う。 無意識に頭に手を遣った時、視界の端に、よく知る顔ぶれが揃っているのが映り込んだ。 「あ、颯斗」 私は、彼の腕にかけた手にキュッと力を込めた。 それに気付いた颯斗が、私の促す方向に顔を向ける。 『あ』という形に、口を開いた。 私は、それを横目に、彼から手を離す。 そちらに向けて、やや小走りで歩を進めた。 そして、左手のウェディングブーケを、一度両手で持ち直す。 花嫁の、ブーケトス。 本
last updateLast Updated : 2025-03-11
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結婚、幸せの絶頂に暗雲 2
披露宴を終えて、友人たち主催の二次会まで参加して、私たちがホテルの部屋に戻った時、午後十時半を回っていた。 そして、迎えた、結婚初夜――。 アメリカで、一年間の同棲生活を経ての結婚だ。 『結婚初夜』なんて言っても、気分的に、いつもとちょっと違うだけ。 いつだって、颯斗に抱かれると幸せだし、甘く蕩けてしまいそうになることに、変わりはない。 そう思っていたのに。 お互いに、よく知り尽くした身体。 触れ合って、どんな反応をするかも、予想できる。 なのに、肌に馴染んだ体温に、彼の指や唇の感触に、なぜかいつもよりも、猛烈にドキドキして……。気怠い微睡み、覚醒に向かう途中から感じていた、心地よい温もり。 一夜明け、同じベッドで目覚めてみると、すごく特別な朝を迎えた実感が湧いた。 今、私の身体に回っている、彼の逞しい腕。 その左手の薬指には、私とお揃いのマリッジリングが嵌められている。 二人で選んだ、シンプルなデザインのプラチナリングを目にしただけで、私の胸はとくんと淡い音を立てて跳ねた。 ああ――。 私、本当に颯斗と結婚したんだなあ……。 なんだか感無量で、気恥ずかしくて、ほんの少し身を縮めた。 と、同時に、私を囲っていた腕に、グッと力がこもる。 「おはよう。葉月」 「っ」 彼のサラサラの前髪に、頬をくすぐられる。 薄い男らしい唇が耳を直接掠めて、私はドキッとして身体を固まらせた。 「……どうした?」 私の反応に、颯斗がやや訝しげに訊ねてくる。 「お、おはよう。颯斗」 慌てて強張りを解き、肩越しに挨拶を返す。 目が合うと、颯斗は綺麗な切れ長の目を細めて、ふんわりと微笑んだ。 「ん」 短く頷いて、背中半分の長さがある、緩く波打つ私の髪に指を通した。 後頭部に回った大きな手に誘われ、軽く触れるだけのキスを交わす。 唇を離すと、 「……んーっ」 颯斗が、私をぎゅうっと抱きしめた。 「わっ。颯斗」 彼の引き締まった逞しい胸板に、顔をムギュッと押しつけてしまい、私の心臓はドクッと跳ねる。 頭上から、クスクスと愉快げな笑い声が降ってきた。 「感無量……」 「え?」 一瞬、心の内を見透かされたのかと思った。 「結婚して、一日目の朝。やっと葉月が、全部俺のものになった。これから先はずっと、俺の人
last updateLast Updated : 2025-03-11
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結婚、幸せの絶頂に暗雲 3
今回は挙式のための帰国で、滞在期間は四日間と短い。初日は夕刻に到着し、二日目の昨日は結婚式。明日はもうアメリカに発つ。でも、三日目の今日は一日オフ。颯斗とは、別行動の約束をしていた。結婚式の日取りと日本滞在の日程が決まった時、彼が、『大学時代の恩師に結婚と近況報告に行くついでに、仲間に会っておきたいんだ』と言うのに、もちろん異論はなかった。颯斗は三十四歳、私は四つ違いの三十歳。お互いに、今まで築いてきたバックグラウンドがある。久しぶりの日本だからこそ、行きたい場所があるし、会いたい人がいて当たり前。「行ってらっしゃい」ノーカラーのシャツにジャケットを羽織り、外出の支度を終えた颯斗に、そう声をかけた。「夕方には帰って来れる。葉月も戻れるなら、夕食は一緒にしよう」彼は私の頭をポンと叩いて、ホテルの部屋から出ていった。パタンと音を立ててドアが閉まるまで見送って、私は肩を動かして息を吐く。「さて。私も行こうかな」私は午後から人間ドッグを受けるつもりで、予約していた。どうして、せっかくの帰国時、しかも結婚式翌日に人間ドッグなんて……と言うと、私の英語力が一向に上達しないせいだ。この春から語学学校に通って英会話を勉強しているし、家で颯斗に教えてもらったりもするのに、脳が語学に向いていないのか、怖いくらい身に着かない。アメリカで病院に行って、現地人ドクターの診察を受けても、流暢に相談できる自信はまったくない。体調が悪い時なんかは、颯斗が勤務する大学医学部付属病院に行けば、彼が便宜を図ってくれる。でも、日本にいた頃以上に忙しいのを知っているから、病気じゃなく緊急性がない時に、手を煩わせたくない。となると、日本滞在中、颯斗と別行動の今日がベストだった。メイクをしようと、バスルームの大きな鏡の前に立つ。結婚式は昼間だったから、食事制限もちゃんとクリア。体調に問題はない。でも、昨夜は結婚初夜だったし、颯斗は朝から求めてくるし……。疲れた顔をしてるかと思いきや、意外や意外。妙に肌が潤っているのに、自分でも驚いた。二重目蓋の大きな目には、落ち着いたブラウン系のアイシャドウを入れる。高くはないけど形のいい鼻。下唇がちょっとぽってり厚く、口紅はヌードカラーでも映える。それぞれのパーツがしっかりしていて、わりとバランスがいいから、普段はノーメイクでもぼんやりした顔にならないのがありがたい。その上
last updateLast Updated : 2025-03-11
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結婚、幸せの絶頂に暗雲 4
すべての検査を終えて、診察室で女性ドクターと向き合った時、私はさすがに疲れていた。「各務葉月さんですね。あら、アメリカにお住まいですか」受診手続き時のカルテに目を通したドクターが、ふっと顔を上げた。「なんでわざわざ、日本で健診なんて」「私、英語がからきしで……アメリカで診察受けるの、ちょっと自信なかったので」苦笑交じりに説明すると、ドクターは「なるほど」と相槌を打った。「それで、一気にこんなに検査受ける羽目に……大変でしたね」私を労いながら、デスクの前のシャーカステンに目を向けた。そこには、レントゲンやCTの画像フィルムが貼ってある。「肺、胃、脳に、画像から判断できる所見はありません」ドクターは、ポインターで示しながら簡単に説明してくれた。ホッと安堵する私の前ですべてのフィルムを外し、新しい物を挿し込む。「これは、婦人科で撮った、腹部エコー。各務さん、新婚さんですね。ブライダルチェックは受けられましたか?」「え?」思わず聞き返したものの、すぐに結婚前の妊娠チェックのことだと合点する。「いえ。受けてません」「婦人科系で、今まで気になることもなかった、ということですか」「はい。多少周期が狂ったり、生理痛があるくらいで」そう答えると、ドクターは「そうですか」と肩を竦めた。その表情が、どこか険しくも見えたから、私は恐る恐る身を乗り出した。「あの。なにか、おかしなところでも……?」シャーカステンのフィルムを見ても、私にはなにがなんだかわからない。私の視線を追うように、ドクターもそこに目を向けた。「子宮や卵巣にも、これと言った所見はないんですが、一度詳しい検査をされることをお勧めします。……もしかしたら各務さん、妊娠しにくい可能性が」「……え?」心臓が、ドクッと嫌な音を立てて沸いた。大きく目を丸くして、その先を求めてドクターを見つめる。「新婚さんということですし。お子さん、お望みですよね?」「は、はい……」困惑しながら、頷いて返す。ドクターも、理解を示すように首を縦に振った。「今のところ、可能性としか言いようがありません。ですが、どちらにしても、精密検査は早いに越したことはありませんよ」滔々と説くように告げる声が、何故か遠くなっていく。『俺たちの最初の子は、男の子がいいな』渡米後初めて帰国した時、颯斗は私の両親に挨拶してくれた。帰りの飛行機で、彼が言った言葉が、胸に蘇ってく
last updateLast Updated : 2025-03-11
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結婚、幸せの絶頂に暗雲 5
病院を出た時、東京の空は夕焼けに染まっていた。左手首の腕時計に目を落とすと、午後五時半を指している。人間ドッグを受けるために、朝からなにも食べていない。胃は空っぽのはずなのに、全然空腹を感じない。それどころか、胸焼けすら覚えた。無意識に胃を摩りながら、川沿いの通りを駅に向かってとぼとぼ歩く。ふと顔を上げると、遠くに東都大学医学部附属病院のヘリポートが見えた。なんとなく眺めながら足を止め、橋の欄干にもたれかかる。少し身を乗り出して眼下の川の水面を見つめ、「はーっ」と大きな溜め息をついた。今日の診断結果は、二週間ほどでフィラデルフィアの自宅に送ってくれるそうだ。当たり前だけど、今日の今日で確定診断が出るわけがない。だけど――。『各務さんの生理痛の原因としては、子宮内膜症の可能性があります。こちらは生化学検査の結果ですが、三十歳で生理周期が不規則という点からも、プロラクチンがやや高いのが気になります」パソコン画面で、生化学検査の結果を見せてもらった。異常を示すアスタリスクがついていたけど、私はそれをどう読めばいいのかわからなかった。質問を挟んでみると、プロラクチンは、別名乳汁分泌ホルモン。ブライダルチェックでは、必須の検査項目。この数値が高いと、妊娠しづらいという診断に繋がるという。『幸い、各務さんまだお若いですし、治療も有効ですよ。今回の確定診断と一緒に、英文紹介状をお送りしますので、アメリカで検査されてはいかがでしょう』機械的に頷いたものの、私の思考回路はまともに働いてくれなかった。紹介状。アメリカで、検査。本当に私は、妊娠しにくい可能性があるの――?子供を望み、避妊せずにごく普通の夫婦生活をしていれば、一年で九割の夫婦が授かるそうだ。それでも妊娠の兆候がない時、初めて不妊症が疑われる。『ですが、結婚前提で一年同棲されていたなら、ある意味、普通の夫婦生活と同じ状況下にあったとも言えます。旦那様にもご確認された方がよろしいかと』つまり――。颯斗に、今まで毎回避妊していたかどうか確認しろ、ということだ。一年の同棲期間、『普通の夫婦生活』と同様の状態にあったなら、私はすでに不妊症と定義づけられるのかもしれない。言われた通り、一刻も早く産婦人科に駆け込むべきなんだろう。だけど……だからと言って。「今さらそんなこと、どうやって聞けって……」お腹の底から深い息を吐いて、欄干に額を
last updateLast Updated : 2025-03-12
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結婚、幸せの絶頂に暗雲 6
その夜――。「ええと……葉月?」私に引き締まった背中を向けた颯斗が、ぎこちなく振り返った。訝し気な瞳に、私もギクッと身体を強張らせる。「な、なに?」「いや、なに?じゃないだろ。なんでそんなに、俺がゴムつけるの、ガン見してんの?」「……っ!」彼の不審はごもっともだ。私は、なんでこんなまじまじと、颯斗が避妊具をつけるのを確認してるんだか……!!「ご、ごめんっ」慌てて彼の背中から離れ、勢いよくベッドに突っ伏した。「別に謝らなくてもいいんだけど。さすがに、そこまでジッと見られると、俺も恥ずかしいって言うか……」苦笑交じりの声に、居た堪れない思いに駆られる。「早く……って、急かしてた?」揶揄するような言葉と同時に、颯斗が私の肩をぐいと掴む。「そんなんじゃ……」「ふふ。ほら、お待たせ」「っ、あっ……!」強引に身体を上に向けられ、次の瞬間、彼が私の中に一気に入ってきた。「んっ……颯斗っ……!」容赦なく最奥を攻められ、身体がビクンと痙攣する。堪らず、彼の首に両腕を回して抱きついた。「ああ……君の中、いい」颯斗が私の耳元で、熱い吐息を漏らす。その、気怠げでしっとりした声に、私もゾクッと背筋を震わせた。「愛してる。葉月……」颯斗は、なにか絞り出すように、切なげに呟いた。中を掻き混ぜるみたいに、ゆっくり腰を動かし始める。「あっ、んっ……颯斗、颯斗っ……」縋るように呼びながら、私は心のどこかでホッとしていた。結婚したのに。私がなにも言わなくても、彼はごく普通に避妊した。だからきっと、聞くまでもない。今までも、それが当たり前だったはずだ。結婚前提で同棲していて、子供ができても困らなくても、まだ結婚前だから。こういうけじめは、ちゃんとつけてくれる。そうよ。颯斗はそういう人。それなら、私はまだ一般的に不妊症と定義づけできる状況ではない。焦ることじゃない。ただ、少しだけ、頭に留めておいた方がいいというだけ。自分にそう言い聞かせて、私は彼に愛される悦びに身を震わせた。
last updateLast Updated : 2025-03-12
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命を繋ぐ彼の手 1
フィラデルフィアに戻ってきて、最初の語学学校の授業が終わった。私は、週に二日、初級クラスを受講している。結婚式で日本に戻っていたのもあり、今週初めは欠席した。そのおかげで、今日の授業もついていけなかった。いや、ついていくどころか、確実に遅れを取っている……。ニットの上から、トレンチコートを羽織る。デニムをインしたブーツの踵を鳴らして、教室を出ると同時に、無意識に溜め息が漏れる。「はあ……」すごすごと廊下を歩き出すと、後ろから「葉月さ~ん!」と声をかけられた。同じクラスの日本人男性が、こちらに走ってくる。「お疲れ様、学(まなぶ)君」そう返すと、彼は私の目の前まで来て、ピタッと立ち止まった。学君……鈴木(すずき)学君は、私と同時期にこの語学学校に入学した、いわゆる『同期』だ。と言っても、三十歳の私と違って、彼は二十二歳の大学生。底抜けに明るく人懐っこい性格もあって、私よりずっと上達が早い。「やっと帰ってきたと思ったら。なんか、死んじゃいそうに暗~い顔してますよ」無邪気に揶揄されて、私は「はは」と乾いた笑い声で返す。「死んじゃいそう、か」彼の言葉を反芻して、再び先に歩き始めた。「先生に当てられて、とんちんかんな返事したことなんか、気にしなくても。俺たち、初級クラスなんだし。今のうちに目いっぱい掻いときましょうよ、赤っ恥」人の気も知らずに、随分と軽い調子で笑い飛ばしてくれる。いつもなら、羞恥のあまり憤慨するところだけど……。「そのくらいじゃ死なないよ」苦笑で返して、先を急ぐ。「えー」と、学君が後からついて来た。「じゃあ、日本でなにかあったんですか?」隣に並んだ彼にツッコまれ、私は返事に窮した。学君は、答えを待って瞬きをしている。「……なんにもない」私はふいっと顔を背け、意識して歩を速めた。「ちょっ……葉月さん」それでも、彼は私を追ってくる。「先週日本に帰国してたのって、結婚式挙げるためでしょ?」そう言いながら、いきなり私の左手首を掴んだ。「きゃっ……!」「旦那さん、医者でしたっけ。これ、マリッジリングでしょ。さっすが~。シンプルだけど、いかにも高級そうで、神々しいったら。授業中、光が反射してましたよ」「ちょっ……やめて」私は慌てて手を引っ込めた。学君は悪びれずに、「へへへ」と笑っている。「新婚ホヤホヤってヤツでしょ? 相当浮かれてんだろうな~と思ってたのに。逆に暗いから、心
last updateLast Updated : 2025-03-12
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命を繋ぐ彼の手 2
寄り道せずにまっすぐ帰ってきたおかげで、いつもの倍、四人分の夕食も余裕を持って支度できた。今日は、颯斗にオペの予定はない。帰宅時間が読みやすいのもあり、彼のアメリカでの同僚、ブラウン博士夫妻をホームパーティーに招いていた。午後七時。二人は颯斗の車で、病院から一緒にやって来た。「こんばんは、ハヅキ。お招きありがとう」シックなダークグリーンのイブニングドレスに身を包んだメグさんが、相変わらず流暢な日本語で挨拶してくれた。透き通ったエメラルドのような瞳。髪はブロンドで、サラサラのボブスタイル。才女といった印象の、すらりとした美人だ。去年の夏、ブラウン博士が東都大学の視察に訪れた際、彼女も個人秘書として同行していて、私もその時出会った。「これ。結婚、おめでとう」両手いっぱいに抱えていた艶やかな花束を、私に渡してくれる。「わあ、ありがとうございます!」私は花束を受け取り、声を弾ませた。軽く顔を埋めただけで、花の蜜の甘い香りが鼻腔をくすぐる。「やあ、ハヅキ。今夜も麗しいね」メグさんの隣の、光沢ある素材のブラックスーツ姿の男性が、やや片言の日本語で言って、私に手を差し出してくれた。彼はレイモンド・ブラウン博士。颯斗と同じ心臓外科医で、彼が東都大学に来る前からの同僚で親友。この夏、大学時代からの付き合いのメグさんと、めでたく結婚した。彼らも新婚さんだ。身長百八十センチ近い颯斗と、同じくらい背が高い。ふわっとしたプラチナブロンドの髪に、深く澄んだ青い瞳。超エリート外科医のわりに、結構やんちゃで気さくな性格で、颯斗の親友というのも納得だ。『麗しい』と言ってもらえた私は、ベビーピンクのロングドレスを身に纏っていた。新婚同士のホームパーティーだから、ちょっと優雅に、長い髪も結い上げている。「レイさんも、相変わらず素敵です」私は、花束を左腕に寄せて、彼に握手を返す。レイさんに負けないシックなスーツに着替えた颯斗が、ダイニングに入ってきた。「また、レイは……」彼は、ニコニコしているレイさんの耳を、ギュッと引っ張る。「いて。いてて、ハヤト!」「メグの前だっていうのに、どうしていつもそう軽々しく、女性を褒めるんだ」やや呆れ顔で眉根を寄せる彼に、メグさんがクスクス笑う。「あら、ハヤト。私を気遣ってくれるの? ありがとう」「メグは慣れてるだろうし、気遣うってのとも違うんだけど」「ふふ。本音は、大事な奥
last updateLast Updated : 2025-03-12
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命を繋ぐ彼の手 3
楽しいホームパーティーは、午後十時半まで続いた。レイさんとメグさんが送迎のハイヤーに乗るのを見送って、颯斗はシャワーを浴びにバスルームに向かった。私は、キッチンで片付けをした。食器洗浄機のボタンを押してから、手の甲で額を拭い、「ふうっ」と声に出して息を吐く。ワインでちょっとほろ酔い。脱力して、リビングのソファにドスッと腰を下ろす。クッションを抱きしめ、先ほどまでの楽しい時間を思い出しながら、ずっと気になっていたことをぼんやりと考えた。四人で食事をしたのは、日本にいた時が最初。その後、私たちが渡米してからも、何度か賑やかに食事を楽しむ機会はあった。記憶を手繰る限りでは、メグさんも結構お酒はいける口だったと思う。でも今日は、最初の乾杯のシャンパンも『今日はちょっと』と遠慮した。旦那様のレイさんも特に気にする様子はなかったから、なんとなく流してしまったけど。あれって、もしかしたら……。改めて深読みしかけた時、リビングのドアが開いて、寝巻き姿の颯斗が、髪をタオルで拭きながら入ってきた。「葉月、今日はお疲れ。夕食の準備、ありがとな」「っ! う、うん」弾かれたようにソファから背を起こすと、隣に腰かけた彼が、「ん?」と首を傾げる。「あの……颯斗」私はクッションを脇に置いて、お尻の位置をずらして彼に向き直った。「メグさん……」最後まで口にせず、言い淀む。だけど颯斗は、私がなにを匂わせたか合点した様子で、「ああ」と軽い相槌を打った。「メグ、昔からすごいザルなんだけど、今夜は一滴も飲まなかったな」「それって、やっぱり」「俺もなにも聞いてないけど……多分、そうだろうな」顎を撫で、思案顔で呟くのを聞いて、私は無意識にゴクッと唾を飲んだ。「だったら、こんな時にホームパーティーなんて、申し訳なかったかな」思わず独り言ちたのを、颯斗が聞き拾う。「酒は飲まなかったけど、食事は普通に取ってたし。つわりがほとんどない女性もいるし、葉月が気にすることじゃない。第一、酷かったら本人が断わるだろうから」淡々と医師の顔で言われて、私は口を噤んだ。黙って何度か頷き、そのまま俯く。隣で颯斗が、「ハネムーンベビーかな」とボソッと零した。「え?」反射的に聞き返すと、彼は唇に人差し指を当てて、目線を天井に上げていた。「勘繰るわけじゃないけど、なんとなく。レイって、そういうとこ外さない男だから」私にちょっと悪戯っぽい目を
last updateLast Updated : 2025-03-12
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命を繋ぐ彼の手 4
その翌週、週末。颯斗が車を出してくれて、私たちは買い物に出かけた。フィラデルフィア最大のショッピングセンターは、我が家から車で三十分ほどの距離にある。ここは日本の食材も豊富だけど、車じゃないと来れないので、普段は家の近くのスーパーを利用する。だから、いつも颯斗が休みの時に来て、日本食中心に大量買いしている。昨夜、患者さんの容体が悪く、明け方近くに帰宅した彼は、ほんの少し眠そうだった。カートを押しながら、「ふわああ」と生欠伸を噛み殺している。私は醤油のビッグボトルをカートに乗せながら、目尻に涙を滲ませる彼をチラ見した。「たまの休みなのに、ごめんね」ひょこっと肩を竦めて謝ると、颯斗が瞬きを返してくる。「買い物。いつも付き合わせちゃって」「ああ」口に当てていた手をカートに戻しながら、クスッと笑った。「全然? 買い物デート、楽しいからいいよ」「でも。私が運転できれば、休日はもっと別のところに行けるのに」「アメリカは日本と比べて運転荒いし、危ないから。葉月は俺の助手席でいいよ。どこにでも、俺が連れて行ってやるから」彼の大きな手が、私の頭にポンと乗せられる。私は思わず、その手を捕まえた。きゅんとときめく胸の反応に、自分で照れる。「……うん。ありがとう」ほんの少し頬を染めて、はにかんだ笑顔を向ける。彼も、柔らかく微笑み返してくれた。
last updateLast Updated : 2025-03-12
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