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第615話

作者: 風羽
真琴が彼を求めたのは、結局のところ自らを押し上げ、ひとかどの存在になりたかっただけだ。

だが翔雅は慈善家ではなかった。

水晶のシャンデリアが煌めき、その光は真琴の瞳に涙を映す。押し殺した声が洩れた。

「私が汚いから?あの過去があるから?あなたは澄佳が受け入れないと恐れているのね。確かに、私はあの獣に蹂躙された。けれど、それは私の罪なの?」

翔雅は淡々と答える。

「だが、それは澄佳に関係ない。俺にも関係ない。当時、俺はお前に選択肢を与えたはずだ」

今なら、彼はそう口にできる。

だが若かった頃の翔雅は、自責の念に苛まれていた。自分が手を離したせいで、真琴の悲劇を招いた——そう思い込んで長く心に刺を残していた。別れた時、まだ彼女を好きであったからこそ。けれど「合わない」と悟ったからこその選択だった。

真琴は立ち上がり、ゆっくりと彼に歩み寄る。視線は喉仏から下へと滑り落ち、囁きは指先のように男の全身を撫でた。

「翔雅、前よりずっと魅力的になった。今のあなたを味わいたい。成熟したあなたの匂い、きっと抗えないほど誘惑的ね」

白い指が彼の首筋へ伸びる。

次の瞬間、その手は乱暴に
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