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111話

Author: 籘裏美馬
last update publish date: 2026-03-20 18:38:41

「し、失礼……しました……」

まさに、放心状態──。

社長室から出てきた田島は、呆然としつつ、静かに社長室の扉を閉めた。

「田島さん。こちらへどうぞ。雇用契約の手続きと契約書のご説明をいたします」

「──へっ!?あ、わ、分かりました……!ありがとうございます!」

社長室から出てきた田島に、待っていたとばかりに髙野辺の秘書、蒔田が話しかける。

田島はびくりと肩を震わせて振り向いたが、振り向いた先にいたのが自分を案内してくれた蒔田だと分かると、すぐに安心して頷いた。

(こ、これから俺は本当にこの会社で働くのか──?し、しかもこんな敏腕秘書と思われる、この人と一緒に?社長の秘書として……?嘘だろう──)

田島は、何がどうなっているのか。

頭が混乱しきっていた。

だが、誠司の会社で謂れのない罪を被され、首になり。

職を失った田島にとって、髙野辺は救世主のように思えた。

しかも、デザイン会社で働く人間にとって、髙野辺が社長を務めているこのTK株式会社は、雲の上のような存在だ。

誰もが、こんな素晴らしいデザイン会社で働きたい、と思うような会社。

(まさか、俺が
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