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第 36 話

Author: 藍葉
綾香は目を伏せ、淡々とした口調で言った。「黒崎社長の恋愛遍歴なんて、興味ありません」

そう言い残して、踵を返した。

だが健司は彼女の手首を掴み、強引に胸の中へ引き寄せると、そのままきつく抱き込んだ。

「離して!」綾香は激しく抵抗した。たちまち目の縁が赤くなる。「また無理やりするつもり?」

「昨日は飲みすぎてた。悪かった」低く落ち着いた声が頭上から降ってくる。「もう二度とあんなことはしないと約束する」

そんな軽い一言の謝罪で済む話なのだろうか。

昨夜、彼は危うく一線を越えかけていた。

思奈が突然現れなかったら……その先を考えるだけで怖かった。

「そんなの必要ない。これからはちゃんと線を引こう」

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