Accueil / ファンタジー / 舞いし炎。飛ぶは空。 / ゆらめく炎 舞い降りてⅡ

Partager

ゆらめく炎 舞い降りてⅡ

Auteur: ふわり
last update Date de publication: 2026-06-30 19:04:16

カタリナは二度三度被りを振った。

「余震はこないわ。だから大丈夫。」

「それはわかんねぇだろ?さぁ避難所に行こう。」

 そう言って男の一人がカタリナの腕を掴もうとした。しかし捉えることは出来なかった。一瞬の出来事だったが、カタリナは素早い身のこなしで体を反転させ男の手を交わしていた。

「おいおい。ねぇちゃん何者なんだよ。」

 あまりにも軽快かつ戦い慣れした身のこなしに男は少し恐怖感を滲ませながらそう問いかけた。

「ねぇちゃんよ。俺たちは助けようとしてるんだぜ。その態度はどうなのよ。」

 もう一人の男が少し怒りを滲ませながら言った。

「何度も言ってるじゃない。放っておいてって。」

「その態度が良くないって言ってんだよ。」

 男がそう言いながらカタリナに向かって拳を振り上げる。それをもう一人の男が止めた。

「やめとけ。このねぇちゃん只者じゃねぇ。やべぇよ。」

 その姿を見てカタリナは小さな声で呟いた。

「殴りたければ殴ればいいじゃない。」

 これを聞いた怒り心頭の男は静止する男を振り払って、カタリナに向かっていった。

「結局は救ってる自分に酔いしれてる偽善者ね。」

「黙れ。」

 男の太い腕から放たれた拳が、カタリナめがけて一直線に振り下ろされた。しかしそれは空を切り、それどころか気づけばカタリナは背後にいた。男の額に一粒の汗が流れ落ちているのがわかる。

「なんなんだ。ねぇちゃんは。」

 もう一人の男が怯えた表情でカタリナに向けて言葉を投げた。

「大きいだけでは私には勝てないわ。」

「わかった。もう放っておくから。何もしないでくれ。」

 さっきまで怒っていた男も慌てた様子で媚び始めていた。

「何もしないわ。あなたたちは悪くない。人助けは立派よ。私の態度も良くなかったし。ここはお互い様ってことで。」

 カタリナがそう言うと、男たちはようやく落ち着きを取り戻して、その場から立ち去っていった。カタリナはそっと空に目を向ける。そして静かに目を閉じた。少しだけ過去のことを思い出している。そんな感じの表情に見えた。

 カタリナ。それが彼女の名前である。カタリナの記憶の中には、両親の存在はない。たとえ片隅に存在していたとしても思い出したくもないような過去を歩まされた。金のためだったのだろうか、それとも他に理由があったのだろうか。詳しいことは今となっては解りようもないが、事実としてカタリナが幼い頃に遠い異国の地から人売りへと売り払われた。そこからカタリナの凄惨な生涯が幕を開いたと言えるだろう。人売りから与えられる食事は三日に一度だけ。商談のある時だけ、湯を浴びて体を清めさせられる。契約に至らなければ八つ当たりとして拳をぶつけられることもしばしば。そんな死と隣り合わせの日常が来る日も来る日も続いていくうちに、カタリナは生まれてきた理由すらも見失っていった。人売りは自国での買い手を諦めて、カタリナを白人が主流のスカーデッド王国へと連れていった。黄色人種であるカタリナは、この国では希少な存在で、どんどんと値が釣り上がっていく。人売りはますます欲を張り、カタリナの価値が最大限に引き上がるように手厚く扱い始めた。結局世の中はお金になるかならないかの二択でしかないのだと絶望に拉がれ、心は荒んでいく一方だったが、一体の人型機械との出会いが、カタリナを救った。ある時、人売りの目も眩むような大金と、幼女に見合うように仕立てられた高価に見えるワンピースを持って、その機械は現れた。もっともカタリナが目の前のそれを機械だと認識するのはもっと後の話である。今は、人に買われたと思っている。

 本来人身売買にかけられた人の末路など、闇の世界の住人になるか、はたまた物好きの嗜好品になるかのどちらかである。その点カタリナは運が良かったのかもしれない。目の前のそれから感じられるオーラは優しさに包まれており、子を欲している親の愛のようなものさえ受け取れた。

「私のところに来なさい。旦那もこれだけの額があれば十分だろ?」

「も、もちろんでっせ。こんな大金滅多にお目にかかれやしねぇ。ほれカタリナ、こちらのお方の言う事をちゃんと聞くんだぜ。」

 買い主の手がカタリナの小さな手をそっと包み込んだ。

「家へ帰ろう。」

 それがカタリナの感じた初めての優しさだった。親に捨てられ、人売りによって惨めな扱いを受けたカタリナにとって。

「私はへカーソンという名だ。父さんと呼んでくれて構わないよ。」

 カタリナは小さく頷いた。

 へカーソンはカタリナを大事に育てた。十分に食事を与え、部屋も用意し、勉強を教えた。哀れな扱いを受けてきたカタリナにとってへカーソンとの日々はとても充実していたと言える。そんな日が数年も続けば、痩せ細っていたカタリナの体に肉が戻り、もともとの才能なのか、へカーソンから学んだ学問も自分のものにしてしまうほど賢くなっていった。

 しかし賢くなったが故に、カタリナには不思議に思うことがいくつかあった。一つはへカーソンが人間ではないという事実。この頃には、彼が人ではなく機械であることを言われなくても理解していた。そしてこれほどの精巧な機械がどのようにして作られたのかという疑問を抱く。もう一つはへカーソンと暮らすこの家の地下室についてだった。地下への入り口にだけ幾重にもセキュリティが張られてあり、近づかないように口酸っぱく言われてきた。カタリナは賢いから、へカーソンが何をして富を得て、何をするためにカタリナを買ったのかの仮説が出来上がっていた。その証明のためには、この閉ざされた地下室に入る必要がある。リスクは大きい。しかし確かめなければいけないと幼いながらも賢いカタリナは歩を進めた。

 セキュリティはかなり複雑な構造で、八桁のパスコードと指紋認証、フェイスレコグニションまで付いていた。情報を集めなければこれ以上は進めないと判断して、カタリナは一度自室へと戻った。

 それから数日間、地下室への入り口をこっそりと見張り、へカーソンが入っていくのを観察した。そしてチャンスは突然やってくる。

 ある日の朝、へカーソンは地下室から出てくるなり、カタリナの部屋へとやってきた。

「カタリナ。私はこれからアクアストールへと行かなければならないんだ。」

「どうして?」

「大切な用事なのだよ。」

 へカーソンの手に持っているのは、義手のようなものだった。というよりはもっと武器に近い。

「わかった。気をつけてね。」

「ありがとう。良い子にしてるんだよ。」

 へカーソンはいつもと変わらない優しい笑みでそう言うと、大きな荷物を抱えて家を出ていった。カタリナはすぐに地下室の入り口へと向かう。するとへカーソンが閉め忘れたのか、扉が開いていた。

(行くしかない。)

 カタリナは心の中でそう呟いて、地下への階段を下った。その先で見たものはカタリナの仮説通りのものだった。

 大きなカプセルの中には、カタリナと同じくらいの歳の子供が入れられていた。ある者は右手を、ある者は左足を機械へと変えられており、中にはほぼ全てが機械と化してる者もいた。そう。へカーソンはここで人体の機械化を進めていたのだ。カタリナを育てたのも、時がくれば機械化の材料にするためだったのだろう。勉強を教えたのも、人間の能力の高さが機械化後の能力に直結するからなのかもしれないが、そこまでは理解が及ばなかった。とにかくこの悍ましい光景を目にしたことで、カタリナは自分の末路を選択する権利を手にしたと言える。知らなければ、ここにいる子供たち同様、機械として組み上げられていただろう。知れたからこそ、ここから逃げ出す選択肢を手に入れられた。そしてその権利を使わない理由も見当たらなかった。迷いなく家を出た。幼いながらも聡く大人びているカタリナは、動揺することなく落ち着いた様子で、ただひたすらに街を歩く。へカーソンがやっていることは、この国では合法なのかもしれない、しかし道徳的観点から許されることではない。すれ違う人たちの中、人でないものが混じっていることにカタリナはすでに気づいてしまっている。

(もう誰も頼れない。)

Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application

Dernier chapitre

  • 舞いし炎。飛ぶは空。   紡がれる

    戦争から2年。まだまだ途上ではあるが、幸せな雰囲気が街には溢れていた。壊れたものを立て直すことは非常にツラい作業と言える。しかし苦しい期間が長かったこの国では、その復興作業すら、幸福の風のように感じてしまう。カタリナは時折、海辺に腰掛けて、空と会話していた。(ねぇロシェ。今のこの国は笑ってる。笑ってるんだよ。私たちがずっと手に入れたかったモノ。この国が本当の意味で笑顔になれるってこと。それは叶ったんだよ。)「ママ?」小さな女の子が、カタリナの右手を握る。「どうしてママは1人でお話してるの?」カタリナは、女の子の頭に手を置いて答えた。「パパとお話してるんだよ。」「パパはお空にいるの?」「うん!いつも見守ってくれてるんだよ。」「いつかパパにも会いたいなぁ。」子供の悪気ない一言が、カタリナの心をエグる。「いつか……。きっと会えるよ!」カタリナは滲む涙をこっそりと拭った。民の祈りが草木を肥やすかのように、国は緑溢れる平穏な地へと変貌を遂げていく。小鳥の声も以前より溌剌としているようにも感じられる。カタリナは、ロシェとの間に生まれた奇跡の子に、ルーナと名前をつけていた。ルーナ・カエルム。それが次の時代を紡ぐ者。空と炎を紡ぐ者の名前だ。

  • 舞いし炎。飛ぶは空。   心に宿すものⅢ

    「私に隠していることがあるよね?」「気づいていたのか?」「気づかないわけがない。」 カタリナは賢い。ゆえに人よりも小さな情報から結論を見出すことができてしまう。「ちゃんと話す。聞いてくれ。」 ロシェがそう言うと、カタリナは頷いた。「僕たちは時代を変えることができた。復興作業をする人たちの顔。辛いだろうに笑顔に溢れている。」 ロシェの言う通り、人々の表情に笑顔は戻りつつある。「そうね。」 カタリナは静かにそう答える。ロシェの服は先ほどよりも染み付いた血の量が増えてきている。「カタリナ。すまない。僕は。」 ロシェはそこまで言ったところで口から血を吐き出した。体には古の機械との戦いで負った傷が戻り始めている。「ロシェ。」 カタリナはロシェの肩を支えた。溢れてくる涙を必死に我慢しながら。目の前で起ころうとしている現象から目を背けてはならない。そんな風に思っているのだろう。ロシェは一度深呼吸をして話を続ける。「僕はやっぱりあの戦いで死んだんだ。カタリナがアクアリングに祈ってくれたから、最後に少しだけ新時代を歩く時間がもらえた。でももう時間切れみたいなんだ。」 ロシェはそう言いながら涙を拭う。「私はけっきょく、あなたに何もしてあげられなかった。全部一人で背負わせてしまった。」 カタリナは溢れ出る後悔を口にする。あの時一緒に戦っていればこんなことにはならなかったかもしれない。しかしそれを今更言っても時間は戻らない。「それは僕が望んだことだ。それにカタリナと過ごした時間は僕にとって大切なものになった。君がいてくれたからどんなことも乗り越えられたんだ。」 ロシェの言葉が、悲しみに暮れたカタリナを優しく包み込んでいく。「結婚の約束。守れなくてごめん。」 それにカタリナは被りを振る。「今日まで一緒にいてくれたじゃない。それで十分よ。」 カタリナは溢れ出る涙を拭い、ロシェの手を握った。「僕は空から見守り続ける。勝手なことを言うようだけど、これからも僕を愛していてほしいんだ。」「そんなの。あたりまえよ。」「ありがとう。カタリナはもう三つの鍵を手に入れている。あとはその想いを胸に舞えばいい。」 ロシェは最終奥義のことを言っているのだろう。しかし今のカタリナはロシェとの別れに頭を持っていかれていて、整理がつかない。「立派な国にしてくれ。」

  • 舞いし炎。飛ぶは空。   心に宿すものⅡ

    数日後。王が死んだことを知った国は一時混乱に陥った。喜びを噛みしめる者もいれば、路頭に迷う者もいた。二人はその全ての人たちに手を差し伸べて、決して見捨てることはしなかった。その小さな努力が積み重なって、三ヶ月が経つころには、皆の顔は同じ方向へと向かっていた。何者にも支配されない幸せな国を築いていこうと。  ロシェとカタリナはアクアストールにいた。民たちの活躍もあり、ゆっくりだが確実に復興は進んでいるように見える。「カタリナ。一つ思い出したことがあるんだ。」 ロシェが唐突にそんなことを言い出した。「なに?」「炎の巫女の最終奥義についてだ。」 カタリナは目を丸くした。「もう戦いは終わったのよ?最終奥義は必要かしら?」「地形操作の舞を知っているか?」「知ってるもなにも。私はそれがされた場所で修行を積んだの。」「そうか。なら話は早い。フィナは邪竜を追い払うために何者と生存できない地形へと変化させた。これに逆があるとすれば?」 ロシェの話を聞いて、カタリナは驚いた。「つまり命が芽吹く地形に変形させられるってこと?」「そうだ。」「でもどうやって。やり方がわからないわ。」「僕の勘が正しければ、ここの地下に巨大な神殿があるはずなんだ。そこに手掛かりがあるかもしれない。」「それなら探してみましょう。」 二人はサウンズロッドの内部へと入った。月日が経っても中は何も変わっていない。迷路のような一階フロアはカタリナが、吹っ飛ばしていたので捜索は案外スムーズに進んだ。「カタリナ。ここだ。」 二人は地下への扉の前に立つ。そしてロシェがゆっくりとその扉を開いた。「随分長い階段ね。」「古の機械の封印にはそれなりの巨大な空間が必要だったと思う。この先はかなり広く続いているだろう。」 ロシェがそう言うと、カタリナは小さな炎で辺りを照らした。「行こう。」 二人は地下へと足を進める。階段を下り終えると、そこにはカルトゥナやガリュウの時とは比べ物にならないほど広大な敷地が広がっていた。「たしかに広いわね。」「あぁ。でもここがかつての空の城の地下だとすれば僕にはどこに何があるか理解できる。ついてきてくれ。」 ロシェはそう言うと奥へと歩き出した。カタリナもそれについて行く。しばらく歩くと、古い扉が視界に入った。「あそこだ。」 二人はそこに向かった。

  • 舞いし炎。飛ぶは空。   心に宿すもの

    ロシェとカタリナはグレートニールに向かって歩いていた。ロシェが古の機械と戦った時、カムはアクアストールを封鎖していたようで、目撃者などはおらず、民は王が死んだことなどもちろん知らないままであった。唯一変わった状況といえば、人型機械が活動を停止したことだろうか。人工気候装置が破壊されたことにより、太陽が常に出ているわけではなくなった今、あれだけの高性能な機械を維持する体内エネルギーが枯渇してしまったのだろう。道中には動かなくなった人型機械がたくさん転がっていた。この光景を見て、民たちは国の異変に気づくのだろう。「ねぇ。ロシェ。」 カタリナが突然口を開いた。「どうした?」 ロシェは優しく聞き返した。「本当にもう平気なの?体。」 カタリナが心配になるのも、仕方のない話である。なぜならあの時、ロシェの心臓は完全に止まっていた。たしかに死んでいたのだ。「あぁ。大丈夫だ。心配してくれてありがとう。」 ロシェは優しい笑顔でそう答えた。「それよりカタリナ。これからこの国をどう立て直していくんだ?」「そうね。もう王はいらないわ。みんなの力を合わせることが大事ね。」「そうか。国は壊すことよりも築くことの方が難しい。」 ロシェのその言葉に、カタリナはカムの言葉を思い出した。「そうよね。」「あぁ。みんなが同じ方向に向かうのが一番難しいことだと思う。ましてや率いる者を立てないのであれば。」「そうね。」 カタリナは少し俯きながらそう答えた。「カタリナ。何も焦る必要はない。ゆっくりと一歩ずつ進んで行けばいいと思う。」 ロシェは笑顔でそう言った。カタリナはその笑顔を見て、再び心に誓ったことがあった。この国を素敵な笑顔に包まれた国にしようと。  思い返せばアクアストールで全てが始まって、戦場から戦場へと移動を重ねた。あの時もロシェとカタリナはこの道を歩いていた。その時は気づきもしなかったのだが、ここにも美しい花は咲いている。きっとカタリナが目指している理想の国には、こういう小さな気づきが溢れているのだろう。安泰な平和とはまだまだ言い難いほど国は疲弊しきっているのが現状だけれども、二人は確実にその一歩を踏み出している。国民全てがその姿を描ければ、それが同じ方向を向くということに繋がる気がする。いつかは花が満開に咲くと信じて、二人は歩いている。「カタリナ。見て

  • 舞いし炎。飛ぶは空。   革命Ⅲ

    カタリナは最上階の扉を開こうとしていた。ふと外が静かなことに気がつく。頭の中には色々な憶測が飛び交ったのだが、その雑念全てをかき消して、自分が成すべきことに注力すると決意した。そしてゆっくりと扉を開く。「ミレアを倒したか。」カムはソファに腰掛けたままそう聞いた。「えぇ。」カタリナはそうとだけ答える。「モニター見てみろ。空の王ロシェ=カエルムは死んだ。古の機械も滅んだ。全ては俺の想定の範囲で進んでいた。誤算だったのはおまえだけだ。」モニターには見るも無惨に穴だらけとなり横たわっているロシェの姿が映っていた。カタリナは込み上がってくる感情を懸命に押し殺した。「私は選択を間違えてしまったようね。」「そうだな。俺の想像を遥かに凌駕するおまえの力があれば、ロシェ=カエルムが死ぬことはなかったかもしれない。でもおまえは自分の目的を優先してここへ来た。」「あなただけは何が何でもここで葬る。」カタリナはフレアリングに祈りを込めた。「フレア。煉獄の監獄。」カムの周り半径十メートルほどに炎のサークルが形成された。「そこから出ようとすると、全身を焼かれ死ぬことになるわ。そのソファから一歩たりとも動かないことね。」カタリナのその言葉を聞いて、カムは背もたれに腰を預けた。「なぜそこまでして俺を恨む?」「恨んでないわ。ここにくる時、あなたの兄の墓を見たわ。あなたも根っこから腐ってるわけではないようね。無理に悪を演じている。そんな風に私には見えるわ。」「おまえは知らないのだろう?俺の父がどのような人物だったのか。心優しく民からも愛される王だった。しかし突然命を奪われたのだ。それなら俺は逆に悪のカリスマとして国を支配すると決めたのだ。」「そう。あなたには同情するわ。でもしてはいけないことに手を染めて、奪った命が多すぎる。」「そうだろうな。」カムは頭がいい。こう話してるうちに何か打開策を練っているのかもしれない。しかしカムの額に滴る汗からは現状に覚悟を決めているかのようにも見える。カタリナにはこの男がよく読めなかった。「たかだか炎を操るだけのちっぽけな存在だと考えていたが、まさかおまえがこれほどの力を有していたとはな。どうだ?おまえの信じる王はもう死んだのだ。俺のこれからを信じてみないか?」「ふざけないで。あなたにこれからはない。ここで確実に死ぬべき人間

  • 舞いし炎。飛ぶは空。   革命Ⅱ

    「あちゃ。やっぱり強いな。」「もう十分でしょ?行かせてもらうわね。」カタリナはそう言うと、背中を向けて歩き出した。「待って。」「まだ何か?」「私まだやれるよ。もっと遊んでよ。」ミレアは立ち上がっていた。そしてダークリングに祈りを込めている。「カムという男は、あなたがそこまでして守りたい人なの?」カタリナの問いかけにミレアは被りを振った。「私は今、カム様を守るために戦ってるじゃない。楽しくて戦ってるのよ。」「そう。確かにあなたは巫女としての素質は高いわ。でもね。経験が浅い。あの頃の私を見ているかのようなの。」「経験値かぁ。そればっかりはどうしようもないね。」「これから積めばいい。その後にまた相手してあげるわよ。」「だめよ。私はもう決めてるの。自分の死場所はここだって。」「そう。ならもう何も言わないわ。」カタリナはフレアリングに祈りを込めた。「炎剣の舞。」「そうこなくっちゃ。闇剣の舞。」ミレアは闇の剣を持って、カタリナに向かって走る。「フレア。疾風の炎舞。」カタリナは炎の剣を持ったままそう呟いた。次の瞬間、カタリナはミレアの後ろに立っていた。ミレアの右腕を斬り落として。「見えなかった。」「でしょうね。」ミレアは斬り落とされた右腕を見ながら、小さく笑った。「これじゃあ。もうダークリングも使えない。」「それが狙いだからね。じゃあ私は行くわ。殺人の趣味はないの。」「待ってよ。ちゃんと殺してから行って。」「全て終わったら回復させてあげるから、そこまで待ってなさい。」カタリナがそう言うと、ミレアは株を降った。「そんなこと望んでない。ちゃんと殺してって言ってるの。でなければここから先に行かせるわけにはいかない。」「なぜ命を粗末に扱うの?」カタリナが聞くと、ミレアは少し考えてから答えた。「大事に扱っているからこそ、炎の巫女の手で終わりにしてほしいのよ。生きていてもいいことなんてないって分かっているから。」ミレアにも辛い過去があるのかもしれない。カタリナはかつての自分と重ね合わせた。「そう。分かったわ。でも私も急いでいるの。一瞬で終わらせてもらうわ。」「ありがとう。」カタリナは炎の剣でミレアの首を斬り落とした。「私も出会う人が違えばこうなっていたのかもしれないわね。」カタリナはそう呟くと、ミレアの骸に背を向け

Plus de chapitres
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status