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拷問官

Auteur: エチカ
last update Date de publication: 2026-07-05 07:45:56

「誰に……?」

「あれはナタリスの双子の弟。つまり、エルダーも俺の義弟だ」

「あぁっ! そっか、眸の色が一緒だ……」

「エルダーは特警の専属拷問官だ」

「拷問官……サリバン家のご子息って……」

「義父の血が一番濃いのは、エルダーの様な気がするな。もう一人アエラスと言う弟がいるが、それが一番真面だな」

 そう言って公爵は困った様に笑った。

 今回の件も含めて、オルタナはナタリスの思い描いた通りに動かされた気がして、少し腑に落ちない気もした。

 言い方は酷い物だったけれど、あそこでナタリスに豚と罵られ、自白剤を匂わせられなければ、今この結果に辿り着けなかったかもしれない。

 あの衝撃的な罵詈雑言が、事ある毎に脳裏に浮かんでいたのは確かだ。

 ナタリスは十年前の魔女ドーラの逮捕劇の後、公爵が魔女ドーラの傍に潜り込ませた特警所属の軍医だ。

 彼なら祖母の“魔女の薬”や“遣り口”を知

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  • 魔女ドーラの孫(仮)   甘い毒

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  • 魔女ドーラの孫(仮)   拷問官

    「誰に……?」「あれはナタリスの双子の弟。つまり、エルダーも俺の義弟だ」「あぁっ! そっか、眸の色が一緒だ……」「エルダーは特警の専属拷問官だ」「拷問官……サリバン家のご子息って……」「義父の血が一番濃いのは、エルダーの様な気がするな。もう一人アエラスと言う弟がいるが、それが一番真面だな」 そう言って公爵は困った様に笑った。 今回の件も含めて、オルタナはナタリスの思い描いた通りに動かされた気がして、少し腑に落ちない気もした。 言い方は酷い物だったけれど、あそこでナタリスに豚と罵られ、自白剤を匂わせられなければ、今この結果に辿り着けなかったかもしれない。 あの衝撃的な罵詈雑言が、事ある毎に脳裏に浮かんでいたのは確かだ。 ナタリスは十年前の魔女ドーラの逮捕劇の後、公爵が魔女ドーラの傍に潜り込ませた特警所属の軍医だ。 彼なら祖母の“魔女の薬”や“遣り口”を知っていても不思議じゃない。 大佐の状況がエルダーからナタリスへと漏れていたとしたら、あのサリバン家の別荘の地下でこうなる様に仕向けたのかもしれない、と――。「ナタリス様は今、どうしてるの?」 最後にナタリスを見たのは王都に戻る前、サリバン家の別荘で公爵にガン無視されて落ち込んでいた時だ。「モリガンへ戻した。モリガンの医療班が伯爵の容態を診ているから、そっちに行かせた」「モリガン伯爵の容態、悪いの……?」「良くはないな。もう殆ど意識がないから、今回の手が使え無いのが残念だ」「そっか……」 父親と言う存在を知らないオルタナからしてみたら、大佐の父親への執着は理解し難い。 でももしモリガン大佐が娘を想う気持ちの半分でも大佐に向けてくれたら、こんな事にはならなかったかも知れない。「じゃあ、もう大佐は

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    「名を名乗れ」「……る、あど」 拙くそう答えた大佐を見てその男は、目を見開いて驚いたような顔でこちらを振り返る。「感謝致します、王妃陛下と……オルタナ様。初めまして、特警のエルダーと申します。会話が出来るなんて、驚きです」「後は俺達に任せろ」「じゃあ頼んだわよ、ノエル。お二人共、行きましょう」 ミレーに促され、ノエルとエルダーを残して鉄扉の外へと出る。 二人の姿が鉄扉に阻まれ見えなくなった後、ガゴンと大きな音を立ててミレーが外から鍵をかけた。 オルタナは何も言わず王妃と顔を見合わせ、無言のまま手を握り合う。 足早に石造りの地下の廊下を出口まで急ぐ。 ミレーが「ちょっ……」と慌てて付いて来て、何か言いたげだったが構わずに早歩きで外へと逃げる。「ちょっと⁉ お二人共、どうしたんですっ?」 外へと通じる階段を息を切らして駆け上がり、晴れた空の下へと飛び出した。「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」「やったわねっ……オル、ティ……」「大、せいこ……だね、ラッ……ティ……」 正直、怖過ぎた。 心臓が早鐘を打っている。 それは王妃も同じだったらしく、二人で手を繋いだまま見合って息を整えた。 訳が分からないまま着いて来たミレーが、首を傾げてこちらを伺う。「大丈夫ですか? お二人共……」「うん、平気。ありがとね、ミレー。付き合ってく

  • 魔女ドーラの孫(仮)   アウルム地方 Ⅱ

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  • 魔女ドーラの孫(仮)   アウルム地方 Ⅰ

     アウルム地方にあるサリバン公爵家の別荘へ来て一週間が過ぎようとしていた。 気候の良いアウルムではもう、雪の残る所はなく、芽吹いた若い緑が眩しい程だ。 オルタナの為に用意された特別な部屋とは、薬草に関する書籍や古文書が所狭しと並ぶ一室だった。 拘束も解かれその部屋を私室として与えられ、普通に暮らしていた。 そう、普通だ。「いや、おかしいだろ……」 目が覚めていつも思う。 ここで何をしているのだろうか?

  • 魔女ドーラの孫(仮)   モリガン区 Ⅴ

    「モリガン大佐に頼まれていたのは、ただの香辛料で……」「それが、悪用されたようだ」「あ、くよ……う?」「適量を守ればただの香辛料も、摂取量を間違えれば毒になる。彼らが死ぬ前に飲んだ酒には大量の香辛料が混入されていた」「ま、さか……大佐が……? 嘘だ……」「まだ、真相は分からん。だが、こんな分かりやすい方法で六人も害したとなれば、お前は犯人に仕立てられたんだろうよ」

  • 魔女ドーラの孫(仮)   モリガン区 Ⅳ

     祖母は顔の上半分が薬草に被れて、まるで火傷の痕の様に爛れている。 その見た目から祖母は魔女ドーラと揶揄されていた。「あぁ、いや違う。気を悪くするな。彼女は栗毛で肌も小麦の様だった。お前は銀髪に白い肌をしているから、こんなに違うものかと……」「そ、祖母に会ったことがあるんですかっ?」「あぁ、一度だけ。モリガン伯が薬物兵器を研究していた者を監禁していると聞いて、見に行った」「そう、ですか……」

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