その瞬間がやってくるのだと、和彦はわずかに肩を震わせる。すると賢吾は、その肩先に軽く唇を押し当ててから体を離し、ベッドを下り部屋を出て行く気配がした。何をしているのかと、振り返って確認する勇気はなかった。「後ろ姿を見るだけで、緊張しているとわかる」 すぐに戻ってきた賢吾に、そう声をかけられる。少しだけ言い返したくなり、苦労して寝返りを打った和彦だったが、後悔するとともに、目のやり場に困ることになる。賢吾が悠々と見せつけてくる裸体は、圧倒されるような力強さをまだ漲らせていたからだ。 賢吾が浴室から持ってきたバスタオルを、腰の下に敷かれる。どういうことかと視線で問いかけると、ニヤリと笑い返された。「多分、漏らすぞ」 数瞬の間を置いてから和彦は、賢吾の言葉を理解した。 腰を引きずるようにしてベッドから下りようとして賢吾に易々と押さえつけられ、力の入らない両足を大きく広げられる。 綿棒を個包装したビニールを歯で破る賢吾を、半ば畏怖しながら和彦は見上げる。よほど強張った顔をしていたらしく、賢吾が苦笑いを浮かべた。「そう、悲壮な顔をするな。何も、取って食おうというわけじゃねーんだから」「……似たような、ものだ」「そうか?」 とぼけた調子で応じた賢吾がいきなり両足の間に顔を埋める。「あっ、またっ……」 燃えそうに熱い口腔に欲望を含まれ、きつく吸引される。執拗に嬲られ、内奥を擦られて勃ち上がることを強要され続けた和彦のものは、まさに賢吾の言葉通り、『精液が一滴も出ない』という状態だった。 愛撫による快感はすでに苦痛に近く、唇で欲望を扱かれながら和彦は、呻き声を洩らして身をくねらせる。 先端を硬くした舌先で弄られ、ピクンと腰を跳ねさせる。顔を上げた賢吾が、じっとこちらを見つめてくる。寸前までの軽口は、おそらく和彦を怯えさせないためのささやかな気遣いだったのだろうが、今はもう、射竦めてくるような眼差しを隠そうともしない。 さきほどの言葉とは裏腹に、まさに今から、和彦のすべてを食らおうとしているようだ。「――逃げたいなら、逃
Read more