「その態度は何なの」玲子は柚香を見るなり、きつい口調で叱りつけた。顔色も険しい。「橘川家ではそんな礼儀を教わったの?」柚香は言い返さず、ただ慎吾に目配せをした。慎吾が動くより先に、雅人が口を開く。「おばさんの言い方は少しきつかったな。気にするな。今日はちゃんとした話があって来たんだ」柚香は、自分たちの間に今さらまともな話などあるとは思えない。これまでの確執を忘れられないのはもちろん、昨日耳にした話や時也から聞かされたことを思えば、二人に穏やかな気持ちで接することなどできない。「お前と蒼海市の神崎家、それから黒崎家はどういう関係なんだ?」雅人は単刀直入に尋ねた。「何が聞きたいんですか?」柚香は真正面から視線を返した。その態度は以前にも増してよそよそしく、冷たかった。雅人は周囲を見回しながら提案する。「中に入って話さないか?」「結構です」柚香は即座に断った。「そこまで親しい関係じゃありませんから。家に招くつもりもありません。話があるならここでどうぞ」当時、彼女と遥真の結婚を二人は全力で反対し、露骨に嫌っていた。もし遥真が守ってくれなかったら、この五年間でどれだけ嫌がらせを受けていたかわからない。「その態度は少し失礼じゃないか?」雅人の表情が曇る。「どうであれ、俺たちはかつてお前の家族だったんだぞ」「陽翔の親権を取り上げようとしたときは、自分たちは私の家族じゃないって言ってましたよね?」柚香は根に持つ性格だ。あの頃のことは何一つ忘れていない。雅人は鋭い目で彼女を見つめた。玲子の顔にもあからさまな嫌悪が浮かんでいる。二人とも彼女が嫌いだ。それでも今の彼女の立場を考え、関係を築こうとしている。「当時は感情的になっていたんだ」雅人は珍しく怒りを抑えながら言った。「俺たちも陽翔がお前についていって苦労するんじゃないかと心配していた。まさかお前のおじいさんが和雄さんで、父親が昭彦社長だとは思わなかったからな。最初からそのことを知っていたら、お前が言わなくても親権はお前に渡していた」柚香は黙ったまま二人を見つめる。雅人がわざわざ関係修復を図ろうとする理由が、彼女には理解できなかった。たとえ自分が神崎家や黒崎家との関係を認めたとしても、過去の出来事が消えるわけではない。今さら親しくなれるはずもない。それなのに、なぜ
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