これでいい。これで、紬と二人の子供たちの未練も断ち切れる。これからは、成哉と紬が顔を合わせる機会も大幅に減るはずだ。そうなれば、彼女も成哉との関係を深めていけるだろう。悠真は落ち着いた口調で言った。「おばあちゃん、何と言われても、ママは僕たちのママなんだ。そんなことをしたって、僕たちとママの絆は断ち切れないよ」「だったら、少しずつ断ち切っていけばいいのよ」絵美は孫に向き直ると、表情を少し和らげた。「悠真くん、あなたは聞き分けのいい子でしょう?おばあちゃんに心配をかけないでちょうだい。ね?」そう言って、絵美は手を伸ばし、悠真の小さな頭を優しく撫でた。しかし悠真は、心のどこかで絵美に触れられることへ抵抗を感じていた。それでも、幼い頃から身についた礼儀のおかげで、その感情を表に出すことはなかった。悠真はすがるような眼差しで成哉を見つめた。だが成哉は黙々と食事を済ませると、「会社に行く」とだけ言って席を立ってしまう。何も言わないということは、絵美の言葉を黙って認めているのと同じだった。悠真の瞳に宿っていた光が、その瞬間、すっと消えた。やはり、この人に期待などするべきではなかった。この男は、結局何一つ変わっていない。変わろうとさえしていないのだ。――スタジオ・Nirvana。紬はオフィスで忙しく立ち働いていた。パソコンを立ち上げ、海原の市場についてリサーチを進める。やはり富裕層向けの市場をしっかり押さえなければならない――そう、彼女は改めて決意を固めていた。この層の顧客を、これ以上取りこぼすわけにはいかない。ほどなくして、紬はスタッフを集め、短いミーティングを開いた。全員が席に着くと、自ら作成したプレゼン資料をスクリーンに映し出し、単刀直入に本題へ入る。「詳しく市場を調べてみたの。うちはこれまでずっと中間層を重視して、大衆向けの路線でやってきたわ。でも、その一方で富裕層のお客様をかなり取り逃がしているの。だから今日は、この件についてみんなで話し合いたいと思って集まってもらったのよ」カナが頷いた。「確かに、最近の私たちのデザインは少しマンネリ化していましたね」紬も頷く。「ええ。それで市場調査をした結果、モダン・コルセットのデザインを取り入れてみようと思ったの。
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