それに妄想で孕むなんて事が三年も続くだろうか――? そのこと自体が不思議に思えた。 ただ黙って話を聞いていた向かいに座る王妃と目が合う。 その刺さる様な視線が同じ疑念を持っているように見えた。「昔からモリガン伯爵家の家督相続で候補に囁かれているのは、実弟と義弟のどちらかだ。ルアドは体躯の割に承認欲求と劣等感の塊。彼は正直モリガン伯爵の足元にも及ばない。姉を人知れず埋葬し、自分に家督を譲らない父親への反抗があり、そこをケルメスに付け込まれてた可能性がある」 公爵はケルメスは自分の駒になりそうな者を巧みに見分ける才に長けており、真綿で首を絞める様な男だと付け加えた。「ケルメス……悪魔みたいな男だ」「目下一番の敵は、そのケルメス・ドヴァンニ。あの男はこの国の毒だ。その解毒の為にも、ルアドの証言が必要だ。お前の力を貸して欲しい」 公爵はそう言って、しっかりとこちらを見た。「うん。って言うか、今の話を聞いてちょっと気になってる事がある」「何だ?」「僕、ずっと不思議だったんだよね。モリガン軍の上位軍人にまでなった人が、あんな稚拙なやり方で人を殺すかな……」 こちらに罪を着せるつもりであったとしても、ダリスの存在を知らなかったが故に簡単に捕まってしまった。 審議所で見た時は裏切られた事のショックが大きくて、よくよく考える事もしなかったけれど、やはりあの大佐は自分が知っている大佐ではない気がした。 甘いと言われても子供の頃からモリガン大佐を見て来て、裏切られたのは揺るぎない事実だけれど、あんなに短慮で間抜けでは無かったはず。 大佐が姉を助けたい一心で、父親に認められたい一心で、教会から種芥子を手に入れようとし、逆にケルメスに騙される事になったのかもしれない。 昔、祖母が言っていた。 純粋な人ほど、心が染まりやすいのだと。 もし長年の薬の服用が何らかの影響があるとすれ
Read more