まだ格子戸を跨いでいなかったかすみは、玄関先で起こった先程の出来事は全て弥一の背中に阻まれて見えていなかったために、状況を把握できていなかった。 だが、目の前の弥一がキラキラしたテープを頭や肩から垂らしながら苦しそうに咽せている後ろ姿に、 「御子柴さん、大丈夫ですか?」そう、心配そうに声をかける。 弥一の激しく咽せる音にかき消されながらも、聞き覚えのあるその声に、咲希は動きを止めた。 「え、嘘。まさかと思うけど、お兄の言う彼女ってー」 弥一は涙が滲んだ目で咲希を睨みつけると、格子戸を目一杯開けてみせた。 するとそこに、先程まで戸に隠れていたかすみの姿が露わになる。 かすみの姿を目にした咲希は、手にしていたバズーカを放り投げると、 「うっそ⁉︎まさか、かすみさん⁉︎早苗さーん‼︎かすみさんだよー!料理なんて後にして、早く来てー‼︎」 それから、咲希は急いでサンダルに履き替えるとかすみの元へ走ってくるなり抱きついた。 「かすみさん、久しぶり〜。んー、やばい、嬉しすぎる〜(泣)!」 かすみも抱き返そうとするが、片方の手は未だ弥一に握られたままだったので、空いている手だけで抱き返した。 それに気づいた咲希が、自分を抱きしめていないほうのかすみの手を辿った先で、その指がが弥一の指と絡んでいるのを見ると、顔を顰めて、 「ちょっと。女子の感動の再会に水を差さないでくれます?しかもお兄の分際で恋人繋ぎとか生意気!離しなさいよ!」 弥一は咲希を見下ろすと、 「俺の分際でってどう言う意味だよ?てか、先にかすみさんと手を繋いでたのはこっちなんだ、むしろ邪魔なのはお前のほうなんですけど?てか、香水臭いんだよ。かすみさんに変な匂いをつけないでもらえます?離れろ!」 美男美女に挟まれたかすみは、喜んでいいのやら止めに入ったほうがいいのやらがわからず、二人の間でされるがままになっていた。 と、そんな三人を傍で見ていたジョンが、 「No,way...(ありえない...)」 と、呟くと、 「Tomoe!Hurry!Come here,now!!(巴!早く!今すぐこっちに来てくれ‼︎)」 と、家の奥に向かって大声で呼びかけた。 父であるジョンが英語で話す時は、ものすごく興奮した時か、あるいは緊急事態のときであった
Read more