Semua Bab 君に触れたい〜逃した未来は大きかった〜: Bab 111 - Bab 116

116 Bab

111話

それから、水族館を好きに見て回る加島とかすみの後ろを、弥一と愛蘭は宣言通りに、付かず離れずの距離でついて行った。 だが、サングラスをしているとはいえ、さすが有名人。弥一に気づいた人々は、最初は遠巻きに見てこっそり撮影しているくらいだったが、ある人が「ファンです。」と言って弥一に話しかけたことを皮切りに、続々と彼の周りに人が集まり出した。 「あの、この間ミコ様が女性を探して街中を走り回っている記事をネットで見たんですけど、もしかしてこの方がその時の女性ですか?」 弥一の隣に立つ、モデル並みのスタイルと美貌の愛蘭を目に、期待を込めた目で皆が弥一を見る。 だが、その問いに対し愛蘭がばっさりと、「違います。」と答え、その声の冷たさに、皆はピタリとはしゃぐのを止めた。 さらに愛蘭は腕を組むと、 「明らかに彼がプライベートだってことわかりますよね?それなのに話しかけてくるってことは、皆さんは記者の回し者か何かなんですか?」 サングラス越しとはいえ、背の高い愛蘭に見下ろされがらの説教を喰らった野次馬たちは、途端に罰が悪くなったような顔をした。 と、その時。 人だかりを掻き分けるように、加島が、「すみません、ごめんなさい。」と言いながら、輪の中心となっている二人の元まで来ると、 「僕の連れがすみません。この子、今日朝ごはん食べてくるの忘れちゃったらしくて、だからお腹が減ってて攻撃的になっているだけなんです。ごめんなさい。」 そう皆に説明すると、自身の言ったことに反発する愛蘭の手首を掴んで、その背中へと彼女を隠した。 「すみません、僕が責任持って彼女に餌やりをしますので。」 そう言うと、加島はその場から愛蘭と弥一を連れ出した。 加島に言われて、離れた所からこの様子を見守っていたかすみにも加島は、「行こう。」と声をかけると、彼に連れられ、四人はその場から一目散に離れる。 加島は幻想的な空間が作り出されたクラゲの展示場まで皆を引き連れてくると、そこで急に振り返って、 「なんでちょっと目を離しただけで、こうも騒ぎを起こすわけ?」 まだ加島に手首を握られていた愛蘭は、なぜか少し顔を赤くして、 「痛い!離してよ!」 だが、加島は手首を離す代わりに、その手首をグイッと引っ張って愛蘭を自身に引き寄せると、 「嘘吐くな
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112話

巴に手を握られながらかすみは、 「巴さん、どうしてここに?」 巴はイタズラっ子のように笑うと、 「あの日、かすみちゃんが水族館に行くって聞いてから、私も久々行ってみたくなっちゃって。ジョンに頼んで連れて来てもらったの!あ、彼は今トイレで席を外してるんだけどね。」 そう答える巴に、かすみは微笑むが、その顔はどこか浮かない。 巴はそんなかすみの顔を覗き込むと、 「かすみちゃんこそ、みんなから離れてどうしたの?もしかして、ジョンみたくかすみちゃんもお手洗いに行く所だった?」 かすみはその巴の目を見つめ返すことができず、俯くと、 「あ、いえ。違うんです、私はー」 「あ、いたいた!おーい、どうしたのかすみ!」 その愛蘭の声に、かすみは瞬間ビクついた。 言い合いに夢中になっていたところ、いつの間にかかすみが居なくなっていることに気づいた弥一が、急に青い顔になって走りだしたので、愛蘭と加島は顔を見合わせると、二人もかすみを探しに後へと続いた。 ただ、幸いにもかすみは近くにいて、彼女のそばには見知らぬ綺麗な女性が立っていたが、彼女がとにかく無事であることに、愛蘭は安堵の息を吐く。 それから、愛蘭は自分と反対方向に走って行った二人に、メッセージで、かすみが見つかったことを報告した。 二人への報告を素早く済ませると、愛蘭はツカツカとかすみたちに向かって歩いて行く。 だが、かすみが自分の方を見ようとせず、顔を下に向けたままであることに愛蘭は違和感を覚えた。 だが、歩みを止めることなくかすみの元へと近づくと、 「こんにちは。」と先ずは巴に向かって挨拶をすると、 「どうしたの、かすみ?急にいなくなってたからびっくりしちゃったよ!」 そう言って、愛蘭もかすみの顔を覗き込んだ。 かすみは眉を下げで笑うと、 「ごめんね、何だろ。急に明るい所に行きたくなっちゃって、気づいたら何も言わずに展示場から出ちゃってたみたい。ごめんね?」 そう口では笑っているものの、その目は相変わらず自分とは合わないことに、愛蘭はたまらずグイッとかすみの顔を掴んで無理矢理自分へと向けさせた。 「私に何か怒ってる?」 真っ直ぐな目でそう聞いてきた愛蘭に、かすみは思わず眉根を下げる。 「全然、怒ってなんてないよ。」 「じゃあ何
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113話

「え?」 かすみを探すのに必死だった加島は、荒くなった自分の呼吸音で、愛蘭の言ったことが聞こえていなかった。 加島は手の甲で汗を拭いながら皆に歩み寄ると、 「今なんて言った?というか、こちらの方は?」 「こちらは巴さん。御子柴君のお母さん。」 「ええっ!?」 そう驚く加島に愛蘭は、 「で、あんたのことは、間男の加島ですって紹介しといてあげたの。」 「誰が間男だよっ!どちらかっつーとあいつの方がー」 そう言いかけて、弥一の母親が目の前にいることを思い出した加島は、弥一に向けた指を素早く引っ込めると、 「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。先程彼女が言ったことはすっぱり忘れてください。改めまして、僕は加島真琴と言います。普段はエートル・カプティヴェというスイーツ専門店でオーナー兼パティシエをしています。」 少しでも自分の素性をわかってもらおうと、加島はそう巴に自己紹介をした。 「え?あのすごく美味しいって有名なスイーツ店の?あなたのような若い方がオーナー兼パティシエだなんて。それに、すごくイケメンさんじゃない⁉︎天は二物も三物も与えてくださったのね〜!」 加島をまじまじと見つめる巴だったが、ふいにそんな彼女の携帯が鳴った。 巴が「失礼。」と携帯電話を取り出し確認すると、ジョンからのメッセージで〈怪しい男を確保した。今は薬で眠っている。この間に場所を移したい。〉 巴は短く〈了解。〉と返すと、 「ご丁寧に自己紹介くださりありがとうございます。夫からのメッセージで、どうやら彼、お腹を下してしまったみたいで。私はここでお暇しないとなんですけど、加島さんに、円城寺さん。かすみちゃんと仲良くするついでに、ウチの愚息のことも、どうぞよろしくお願いしますね?」 加島と愛蘭は二人とも「はい!」と元気よく返した。 そんな加島に弥一はスススッと近づくと、小声で、 「仲良くしてくださいね、加島さん?」 加島は口だけで笑ってみせると、 「もちろんだよ、愚息の御子柴君。」 そんな男二人に巴は笑って、 「じゃあ、私は行くわね。弥一、あまり遅くならないようにね?」 弥一は呆れ顔で「小学生じゃないっつーの。」と呟きながらも、じゃあね、というように手を上げた。 それから、巴は最後にかすみのそばによると、
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114話

その後、四人は加島のおすすめのお蕎麦屋さんで美味しいお蕎麦を食べ、海沿いをドライブしながら所々でサービスエリアに寄っては買い物などを楽しんだ。 時間はあっという間に過ぎ、時刻は間もなく、加島がディナーにと予約したレストランの予約時間へと近づいていっていた。 加島はハンドルを握りながら、バックミラーにちらりと視線を向け、後部座席に座るかすみに目をやる。 そんな彼女は、目の前の助手席に座る弥一を見つめていた。 赤信号で車を止まると、加島が唐突に、 「あーっと、いけない。俺としたことが忘れてた。」 助手席の弥一は加島を見ると、 「何をです?」 「店のことだよ。今日休みなの忘れてて、納品頼んじゃったんだった。」 「そんなことあります?」 「あるんだよ、ごくごくたまーにな。年に一回あるかないかくらいでさ。てことで、次のコンビニでお前とかすみのこと降ろしていい?」 「良ければ手伝いますけど?」 加島はしっしっと手を振って、 「いらない、いらない。素人がほいほい触っていいもんじゃないの!悪いけど、コンビニで降ろすから、自力でタクシーでも捕まえてくれる?」 「俺は構いませんけど。って、あれ?今日ってディナー予約してるんじゃなかったんですか?」何で知ってるんだよ、と加島は思いながら、 「あー、するの忘れてたわ。ダメだな、今日はなんかうまくいかねーわ。疫病神が付いてるからかな?」 そう弥一を揶揄うと、加島は宣言通りにさっさとコンビニに車を停め、 「はい、じゃあ降りて。」 と、弥一に言ってから、かすみに振り返ると、 「てことで、ごめんね、かすみ?彼と一緒にここで降りるてくれる?」 かすみはハッとすると、 「え、あ、うん!こちらこそ、ごめんね、約束守れなくってー」 加島はフッと笑って、 「大丈夫だよ、なんとなくそんな気はしてたからー」 「え?」 「なんでもないよ!ほら、降りた降りた!業者さん待たせちゃってるかもだからさ!」 そう加島に言われ、かすみは急いで後部座席から降り、弥一も「楽しかったです。」と言って車から降りた。 そして、かすみに続いて愛蘭も降りようとすると、 「お前は俺と一緒に来るんですー。」 「嫌よ。」 「それぐらい付き合えっての。共同経営だろ?」 その言葉に、愛蘭は唇を軽く噛むと、 「誰と組むかはちゃんと考え
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115話

コンビニに降ろされた二人はというと、一定の距離を保ったままその場に立ち尽くしていた。 そんな中、弥一はおもむろに携帯電話を取り出すと、 「今タクシー呼ぶね。」 そう言って、いつものアプリを開こうとしたのだったがー かすみが「あっ。」と言ったことに、その手を止めた。 「どうかした?」 「あ、いえ。そのー」 時刻はまもなく午後の七時を迎えようとしていた。 弥一は明日仕事なわけで、早く帰るに越したことはない。 だが、まだ帰りたくない、とかすみは思ってしまったのだった。 とはいえ、一向に弥一の方を見れないくせにまだ帰りたくないだなんて、一体自分は何がしたいというのだろうか。 かすみは「ごめんなさい。」と言って謝ると、 「帰りましょう。」そう、口にした。弥一はそんなかすみの横顔をじっと見ていたが、何も返すこともなく、顔を携帯電話に戻すと、アプリを起動して操作を再開した。しばらくしてタクシーが到着すると、弥一はかすみを後部座席に乗せ、自身は助手席にと乗り込んだ。かすみはそんな弥一を後ろから見つめていたが、自身の態度のせいだと理解すると、その視線を下へと移す。二人を乗せたタクシーは、ゆっくりと事前に伝えられていた目的地へと向かって走り出した。「着きましたよ。」そう言われ、かすみが顔を上げ窓の外を見ると、「え?」 驚くかすみに、運転手にお礼を言って先に降りていた弥一は、後部座席のドアを開けると、何も言わずかすみに向かって手を差し出した。かすみはその手にそっと自身の手を添えると、弥一は乗せられたかすみの手を、優しくそっと包む。弥一にリードされ、かすみも運転手に向かってお礼を言ってタクシーを降りた。そして、降りた先に佇むお店を前に、かすみは弥一に目をやる。「この間食べられなかったでしょ?あれからずっと気になってたんだ。」そのお店は、この間定休日のために入ることができなった、かすみが弥一を連れて行こうとしていたあの喫茶店であった。「中入ろ?」そう言って、弥一は喫茶店のドアを開けて中へと入ったので、かすみも後へと続いた。店は昭和レトロな趣きのある雰囲気で、弥一は物珍しいその店内に、楽しそうに目を輝かせた。この店のマスターである、白髪の紳士的な男性がカウンターから、「いらっしゃい。」と言うと、弥一もかすみも微笑を浮かべて会
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116話

部屋の扉がノックされたので、櫂斗は「入れ。」と指示を出した。 「失礼します。」と入ってきたのは、櫂斗の部下の一人で、男はスイートルームのソファに深く腰かける櫂斗の前まで来ると、緊張した面持ちで手を身体の前で組んだ。 「何だ?」 櫂斗は書類から目を離さず尋ねる。 部下はゴクリと一つ唾を飲み込むと、 「かすみ様を見張らせていた男との連絡が、一時間ほど前から途絶えました。」 櫂斗はピタリと動きを止めると、ゆっくりと視線を上げ、部下の男に目をやった。 男は思わずサッと目を伏せると、 「どういたしましょうか?」 櫂斗はクッと笑うと、人差し指をくいくいっと動かして、男に傍へ来るよう指示を出す。 男は慌てて櫂斗の元へと走り寄ったのだったがー 「がっー」 櫂斗に顔面を殴られた男は、痛みに呻いた。 櫂斗はいつも両手の中指にゴツゴツとした指輪を嵌めているのだが、それが見事に前歯に直撃したことで、男の前歯は2本とも折れ、そこからダラダラと血が流れ出す。 男は涙目になりながらも、すぐさま櫂斗に向かって、「申ひはけありまへんでひた。」と、その足元にひれ伏すようにして謝罪した。 櫂斗はそんな男を、まるで汚いものを見るかのような目で見下ろすと、 「何のために金を払ってお前らを雇ってると思ってるんだ?それとも何か?俺は自分の仕事の傍ら、お前らの取るべき行動までも一語一句教えてやらないといけないのか?あ?」 男はブンブンと顔を振る。 そんな男に、腹の虫が治らない櫂斗は瞳孔を開いて、 「お前、俺を舐めているのか?俺にはジェスチャーだけで十分だとでも?」 再び拳を強く握り締めた櫂斗の姿に、男は口を抑え、そ両目から涙を流して必死に詫びた。 その時だった。 軽いノックの後、櫂斗の返事を待たずして、部屋のドアがそっと開けられた。 扉を開けた人物は、櫂斗よりもずっとずっと身体の大きな男が、その足元で怯える様を目にし、眉根を寄せた。 その男は血を流す男に近づくと、胸ポケットからハンカチを取り出し、男の口に充てるようにした。 それから、「歯はあるのか?」と、血を流す男に聞き、男がコ首を横に振ると、 「ならば、さっさと病院に行くことだ。急ぎなさい。」 男の言葉に、血を流す男はちらりと櫂斗を見たので、 「人
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