――翌日。わたしは貢と二人で、朝から篠沢商事本社に出社した。一階のエントランスでは、出勤してきた社員のみなさんが「会長はハネムーン休暇中のはずなのに、どうしていらっしゃってるんだ?」とザワザワしていたけれど。わたしも貢も特に気にせずにエレベーターに乗り込み、最上階の重役フロアーへと上がっていく。 「――おはよう、麻衣さん」 「おっ、おはようございます、会長! 桐島主任も……あ、もう篠沢主任ですよね。すみません」 会長室で出迎えてくれた第二秘書の麻衣さんもまた、休暇中のわたしたち夫婦が出社してきたことにビックリしている様子。 「あー、いいのよ麻衣さん。この人のことは今までどおり、『桐島主任』って呼んで。もう、篠沢が二人でややこしいし、だからって『貢主任』っていうのも呼びにくいでしょ?」 「そうそう。会社では今までどおり、僕は旧姓の桐島で行くことにしたから」 「そうなんですね。承知しました。……ところで、今日はどうされたんですか? お二人はまだ休暇中なんじゃ……」 「ちょっと、重役のみなさんに大事な報告があって。みなさん、今日は出社されてる?」 麻衣さんに訊ねてみると、彼女は「少々お待ち下さい」と言って秘書室の公式グループチャットで各重役秘書のみなさんに確認を取り始めた。 まだ入社して二ヶ月余りなのに、もう秘書室の新しいシステムを使いこなしているなんてスゴい。貢はまだそこまで使いこなせているとは言い難いので、これはやっぱり年齢の差だろうか。とはいっても、二人は四歳しか違わないのに。 「――会長、桐島主任、お待たせしました。みなさん、本日出社されているそうです。どうしましょうか? 小会議室にお集まり頂いた方がよろしいですか?」
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