『希望ハ……無意味ダ。』絶望の化身が放った声は、大地だけではなく、人々の心までも震わせた。王都中から剣が落ちる。魔法の光が消える。誰もが顔を伏せ、立ち上がる力さえ失っていく。「終わりだ……。」「もう戦えない。」「どうせ何も変わらない。」絶望は伝染する。まるで病のように、人から人へ広がっていった。ルピナスも膝をつく。胸が苦しい。息ができない。頭の中では、前世の記憶が何度も繰り返される。処刑台。燃え上がる炎。誰にも信じてもらえなかった孤独。「あの時に……死んでいれば。」思わずそんな言葉が浮かぶ。その瞬間。温かい手が、ルピナスの肩へ触れた。「ルピナス。」フジだった。彼も苦しそうに息をしている。それでも、真っ直ぐルピナスを見ていた。「前を見ろ。」短い一言。けれど、その声だけは震えていなかった。ルピナスはゆっくり顔を上げる。「でも……。」「怖い。」素直な言葉だった。フジは静かに頷く。「ああ。」「俺も怖い。」その返事にルピナスは目を見開く。フジが弱音を吐く姿など、一度も見たことがなかった。「怖くない人間なんていない。」「それでも前へ進む。」「それが勇気だ。」その言葉が胸へ染み込んでいく。ローゼンも立ち上がった。「俺は王子だ。」「民が諦めても、俺だけは諦めない。」剣を握る手は震えていた。それでも離さない。「王とは、一番最後まで立っている者だ。」アスターも苦しそうに笑う。「私も……何百年も諦め続けてきた。」「だから最後くらいは。」「未来を信じてみたい。」三人が立っている。傷だらけでも。恐怖に震えていても。誰一人、逃げてはいなかった。ルピナスの胸に、小さな灯がともる。希望だった。最初は本当に小さな光。けれど。その光は三人の想いに触れ、少しずつ大きくなっていく。世界樹の紋章が紫色に輝いた。王都中へ、その光が降り注ぐ。倒れていた少女が顔を上げる。泣いていた母親が子どもの手を握り返す。剣を落とした兵士が、もう一度立ち上がる。「……そうだ。」「まだ終わってない。」「家族が待ってる。」「守らなきゃ。」希望は、少しずつ人から人へ伝わっていく。絶望とは逆に。黒い巨人が初めて揺らいだ。『ナゼダ……。』低い声が響く。『ナゼ、立チ上ガル。』ルピナスは一歩
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