門兵に肩を乱暴に掴まれた瞬間、梅鈴の身体は軽い布切れのように外へ放り出された。乾いた地面に叩きつけられ、転がるように倒れ込む。肺の奥に溜まった砂埃が咳となってこぼれ、視界が揺れた。それでも、彼女は必死に膝をつき、震える指で地を押して立ち上がろうとする。だが、その背後で――まるで彼女の存在など初めからなかったかのように、巨大な門は無情な音を響かせて閉ざされていった。「そんな……」かすれた声が漏れた。梅鈴は縋るように門へ駆け寄り、拳を何度も叩きつける。薄い皮膚が痛みで痺れ、骨に響く衝撃が涙を誘った。「お願いです……! どうか……門を開けてください……!」叫びは風にさらわれ、石壁に吸い込まれ、誰の耳にも届かない。返ってくるのは、冷えた鉄の沈黙だけだった。やがて拳を振り下ろす力さえ失われ、梅鈴は門に額を押し当てた。閉ざされた扉の向こうに残してきたものの重さが、胸の奥で静かに崩れ落ちていった。泥に汚れた頬を、一筋の涙がゆっくりと伝い落ちた。張りつめていた糸がぷつりと切れたように、梅鈴はその場にしゃがみ込む。夕暮れの光は容赦なく長い影を地面へ引き伸ばし、まるで彼女の孤独そのものを映し出しているかのようだった。どれほどの時が過ぎたのだろう。風が冷たさを帯び、空の色が紫に沈む頃になって、ようやく梅鈴はゆっくりと顔を上げた。重い身体を引きずるように立ち上がり、一歩、また一歩と歩き出す。足取りは頼りなく、影は揺れ、胸の奥では小さな声が震えていた。(これから……どうすればいいの……)追放されたその身には、守る家も、帰る場所も、小銭ひとつさえ残されていない。あるのは、冷えた風と、暮れゆく空と、そして――歩き続けるしかないという、残酷なほど静かな現実だけだった。西の空は、燃え残った焔のように朱を抱き、その縁からゆっくりと紫が滲みはじめていた。光は弱まりながらも、最後の力で世界を照らし、長く伸びた影たちを静かに揺らしていく。風がひとすじ、乾いた土の匂いを運び、遠くで鳥が巣へ帰る羽音だけが、沈みゆく時刻の静けさを破っていた。空気はどこか温かく、どこか冷たく、昼と夜の境目が曖昧に混ざり合う。その狭間に立つ梅鈴の姿は、まるで夕暮れそのものに溶け込んでしまいそうだった。光が薄れれば薄れるほど、彼女の影は細く、長く、頼りな
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