All Chapters of その番犬、狂暴につきまして。: Chapter 31 - Chapter 40

55 Chapters

episode31

「京!デート行こうぜ」「......デート......?」あれから二人して二度寝をし、休日である今日、土曜日はゴロゴロして過ごそうかと思っていた。だが叶弥としては違ったようだ。朝になり二度寝から起きて朝食を取り、オレはベッドにうっつぶしながらスマホを弄っていた所に叶弥が入ってきての先程のセリフである。「デートだなんて、どこ行くつもりだよ」「......買い物とか?」「買うものが無い」「映画とか!」「観たい映画が無い」「......げ、ゲーセンとか!」「うるさくてヤダ」叶弥の提案全てに"No"を唱えると、叶弥はワナワナと震えだし、「ガー!!」と叫んだかと思うと、オレの胸ぐらを掴み目線を合わせてきた。「い・い・か・ら!折角天気良い休日なんだし、どっか出かけようぜ。ほら、スマホばっかり弄ってないで!」「あっ!おい!」叶弥にスマホを取られ、オレは抗議の声を漏らす。オレは仕方ないとばかりにベッドから降り、着替えに取りかかった。その様子を見て叶弥はうんうん。と頷き、部屋着のTシャツを脱いだオレの腰を抱いてきた。「おい。着替えられねぇだろ。邪魔だ。」「オレの前で着替えるからだろー。んー、やっぱエロい身体してんなぁ」「あぁ?」オレの身体を不埒な目で見てきた叶弥にオレはイラ立ち、腰を抱いている手を思いっきり抓った。すると「痛ぇ!わかった、悪かったから!」と叶弥は叫んだ。「お前がデート......出かけたいって言うから着替えてるんだろ。変な目で見んな。キメェ」「お前...恋人にキモいはねぇだろ......」「いや、キモいね」「うっ......」オレは外出用のTシャツに袖を通し、その上からシャツを羽織る。そしてスウェットを脱ぎデニムを履いた。姿見で格好を確認し、髪をサッと撫でると叶弥へと向き合った。「おい、叶弥。これで満足か?」「おぅ。いいな、その格好。つか、細身のデニムって......身体のラインが出てお前の色気がダダ漏れって痛てぇ!」「何言ってんだお前は」着替え終えたら着替え終えたで、変な事をぬかすので思いっきり頭を叩いてやった。「行き先はお前に任せるから。しっかりエスコートしろよ?"彼氏様"?」「!おぅ。任せろ!」"彼氏"と言うと喜んでオレの手を取った。「よし!それじゃあ行くぞ!」付き合い始めて初めての外出にオレも少な
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episode32

二人して外出するために玄関へと向かうと、奥の方からバタバタと足音が聞こえてきた。「若!京司さん!お出かけッスか?」「良ければ車出しますよ!」そう若衆達が賑やかにしていると、凛太朗さんまで出てきた。「おうおう。二人揃ってって事はデートでも行くんかい?」「「デートぉ?!」」凛太朗さんが"デート"と言う単語を出すと、若衆達は大声を出して驚き始めた。「若と京司さんが......デート......」「なんて羨ましい......」などと言う声が聞こえたが、叶弥がオレの手を取り、その手を上げながら「おう、親父」と言い言葉を続けた。「付き合って初めての記念デートなんだ。お前ら絶対邪魔すんなよ?」そう言うと握って上げた手に口付けて見せた。すると玄関は阿鼻叫喚。「若ァ......」だの「女神がァ......」だのと騒ぎになったので、オレは唖然としていると、叶弥は「ほっといて行こうぜ」と手を引いて外へと出た。行きざまに凛太朗さんが「気ぃつけてな」と言っていたので、オレは「行ってきます!」と声を上げた。そうして、オレ達は屋敷を離れ学校へ行く時とは逆方向に歩みを進める。それでオレは行き先を察した。きっと目的地は駅だ。ここの駅周辺には色んな店が揃っている。アパレルショップに喫茶店、映画館にゲームセンターなどなど。オレが却下した物ばかりではあるが、ここらでデートするとなるとこの駅周辺が定番となっている。「まずは服でも見ようぜ?お前に似合う服をコーディネートしたい」「お前のチョイスかぁ......。あんま派手にすんなよ?」「京がシンプルすぎるってか、無頓着なんだよ」叶弥にそう言われれば、オレはぐうの音も出ない。たしかに叶弥の服は若干派手目なのが多いが、センスは悪くない。むしろ男のオレから見ても、叶弥の魅力を醸し出すくらいオシャレだと思う。それに比べてオレは機能性重視で動きやすく、シンプルな物が多い。「京の服装も悪くないってか、似合ってるから別にいいんだけど、オレ好みの服を着てるとこも見てみたいんだよな」「オレの服がシンプルで動きやすさ重視になったのは、お前といる時チンピラに絡まれてケンカに発展する事が多いせいだからなんだけど?」「あー......。悪い」叶弥は悪いと言っているが、全く気持ちが込められていない。オレ達二人が揃っていると、何かと変なヤツに目をつけられる
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episode33

最初に入ったショップは、モノトーン調の物が多い店だった。柄物も無くはないが、派手ではない。オレが好きな系統である。オレがキョロキョロと店内を見渡していると、叶弥が「やっぱりな」と言ってきた。「あ?"やっぱり"ってなんだよ?」「いや、ココならお前好みなんじゃないかなぁって思ってさ」「......そんなわかりやすいか?オレって」「ばっか。わかりやすい方が好み知れていいんだよ」「そーゆーもん?」「そーゆーもんです」オレは少し恥ずかしく感じたが、叶弥がその方がいいと言うなら別にいいのかと思うことにした。オレ達はこのショップの店内を歩きながら商品を見ていく。そしたら叶弥が、黒地に左胸の所にシルバー色のハートが溶けたようなワンポイントが入ったTシャツをあてがっきた。これはオレも目をつけていたので素直に受け入れる。「これ良くね?ハートだけど、デザイン性あるし、お前に似合う。ダボッとしたサイズ感ってのもいいな」「......オレもこれ良いなって思った。」「これにこっちの黒のダメージーンズとか合いそうじゃね?」叶弥はそう言うと、そのジーンズを渡してきた。どうやら試着しろとの事らしい。叶弥は「スンマセン。試着いいッスか?」と店員に了承を得ていた。店員がオレ達に「どうぞ。こちらをご利用ください」と言い試着室へと案内してくれた。オレはTシャツとジーンズを持って試着室へと入り、それらに着替えていく。「京、どうだ?」「ちょい待ち。もう着替え終わる」そう言うと、オレは試着室のカーテンを開けた。叶弥は「やっぱりな」と言い、案内してくれた店員からも「お似合いです!」と言われた。「それにシルバーアクセとか合いそうだけど......」「それでしたら、シルバーのチェーンネックレスがお似合いになるかと」店員はそう言うと少しその場から離れ、アクセを取りに行った。そして戻ってくるとオレに差し出してきたので、オレはそれを受け取り身につける。すると、叶弥も店員も"うんうん"と頷き「お客様大変お似合いです。」と店員が言う。叶弥も「いいんじゃね?」と言い、叶弥は「コレ一式ください。着ていくんで。」と言い財布を取り出す。「おい......自分で買うよ」「いいからいいから。初デートのプレゼントってことで。ま、本音を言うと、オレのコーディネートを着たお前を連れて歩きたいから、俺が払いた
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episode34

それからショップを2、3店舗ハシゴすると、それぞれの店でトータルコーディネートをしてはそれを購入するという流れを繰り返した。オレは着せ替え人形にでもなった気分であった。叶弥はどの店でも楽しそうにコーディネートをしていたため、オレは止めるのを躊躇してしまう。「たまには叶弥の好きにさせてもいいか。」と思ったが、いつも好きにさせてるな...と思い返すのであった。「そろっと休憩すっか」「そうだな。丁度近くにスタボあるしそこ入るか。......ココはオレが払うからな?」「ん。......あんがと」オレ達はそんなやり取りをするとスタボへと入り、叶弥はいつも通りフラペチーノ、オレはアイスコーヒーを注文して席に着いた。「ふぅ......。買った買ったァ。前からお前の服をコーディネートしてやりたかったんだよ。普段のシンプルなコーディネートも悪くはないけど。やっぱり少しは遊びたい所だったしな」「......とは言っても、流石に買いすぎじゃね?」「そんな事ねぇよ。オレ、組の手伝いちょいちょいやってて、親父から十分すぎる程小遣い貰ってるからな」「...そんな話初めて聞いたぞ」「あー、まぁ、お前に言うと自分もーって言うと思ったからな。お前はメシ作ったり、家事率先としてやってくれてっから、それで十分組のためになってるよ」「......にしても、高校生が組の仕事に首突っ込んでいいのか?」オレは気になったことを口にした。そしたら叶弥は口を一文字に結びそっぽ向いた。凛太朗さんも、いくら跡取りとは言え高校生に何をさせているんだ......。「まぁ、将来はオレが組を継ぐんだし問題ねぇよ。あ、京はまだまだ組のことは気にしなくていいからな」「......そうさせてもらう」オレはそう言うと、ため息をつきながらアイスコーヒーを口に運んだ。最近は少し暑くなってきたから、アイスコーヒーの冷たさが心地良い。「さてと。まぁ、この話は置いといて。次どこ行く?服とかは十分買ったしゲーセンでも行かね?」「ゲーセンか......。あんま得意じゃねぇんだよな......」「まぁまぁ。オレの華麗なクレーンゲーム捌きを見せてやるよ」「お前、中学の時は若衆の連中とゲーセン入り浸ってたもんな」オレは中学の時から組の家事をほとんど担っていたため、あまり遊び歩かなかったが、叶弥は学校終わりに迎えに来た
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episode35

ゲーセンにたどり着くと、物凄い騒音に出迎えられる。オレはこの騒音が若干...いや、普通に苦手なので耳を塞ぐ。すると叶弥はその手を取ると「直に慣れるから」と言い、そのままその手を握ってクレーンゲームコーナーをグルグルと見て回る。すると、一つのショーケースの前で立ち止まった。「叶弥?どーした?」「いや......なんかこのウサギ......京に似てんなって思って」「ハァ?!どこが!オレはこんなにファンシーじゃねーよー!」「......可愛いとことか?」「そんなん言ったら、そこら中の景品が当てはまることになるぞ」「いや、そーなんだけどさ。よし。これ取るか」「......マジ?」「マジマジ」叶弥はそう言うと、ショーケースを真剣に見て回ると、100円を入れ操作を始めた。興味がある訳では無いのに見ているこっちまでドキドキしてくる。1回目の100円である程度出口に寄せるともう一度100円を入れ、クレーンを動かし、ウサギを一匹持ち上げると、ウサギは出口に吸い込まれるかのように落ちてきて見事叶弥にゲットされた。叶弥はそのウサギをオレに「ほら」と言い渡してきた。「え、オレ?」「当たり前だろ。お前のために取ったんだからさ」「あ、ありがと」「お前、実は可愛い物とか好きだろ?」「ハァ?!何言ってんだ!」「スマホの待ち受けとか、猫のイラストじゃん」「ぐっ......」たしかに嫌いではない。どちらかと言うと好きな方かもしれない。両親が生きていた頃、オレの部屋には可愛らしいぬいぐるみが溢れかえる程あった。「別にいいじゃん?マジメな話しをすると、オレはそのウサギを抱きしめた京を写メって待ち受けにしたい。......と言うことで京、そのままこっち見て......」「撮らせる訳ねぇだろバーカ!」叶弥の悪ふざけにはついていけない。そんなやり取りをしながらもいくつかのクレーンゲームをしていく。ほとんどの景品がぬいぐるみで、その全てを叶弥はオレに渡してくる。「叶弥。叶弥もういい。オレの部屋がぬいぐるみに侵略される」「何それウケる(笑)」「もういいんじゃね?腹も減ってきたし」「あー、もうそんな時間か。昼メシにすっか。京、何食いたい?」「ワック」「なんてジャンキーな物をチョイスするのよ」「普段栄養に気をつけたメニュー作ってるから、偶に無性に食いたくなるんだよ
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episode36

「ふぅー、食った食ったー」「LLセットとか......。見てるこっちが腹いっぱいになるわ」「お前だって普段、弁当作ってやってるのに「足らねー」って言って、購買でパン買ってんじゃねぇか」「そりゃお前......。頭使ってるから腹減るんだよ」「......の割にはテストの点数は如何なものですか?」「あー、あー。聞こえねぇなー!」「フフッ」「さてと、まだ14時か。他行きてぇとこあるか?」特に行き先も決めずにワックを後にしたオレ達は目的も無くぶらついていた。すると叶弥が一つの店の前で足を止めた。メンズ物のアクセサリーショップである。「へぇ......。こんな店あったんだ。っておい叶弥!待てって!」感心しているオレを他所に、叶弥はつかつかと店へ入っていく。後からオレも早足て追いかけるように叶弥に続いた「何見たいんだよ?」「んー?折角丁度いい店見つけたからさ」「......丁度いい?」「そう。ホラ、京。左手出せ」「?おう」オレが言われた通り左手を差し出すと、叶弥は薬指に指輪をはめてきた。「......おい。これって......」「ジュエリーとかだとお前また無駄遣いー!って言うだろ?これくらいのだったら別に良くねぇか?」叶弥が選んだのは、黒みがかったシルバーのシンプルな指輪だった。その指輪をはめたオレの左手を見ると、叶弥は満足そうに頷いた。「うん。コレ良いな。京に似合ってるし、サイズもオレと京のサイズ両方ある。......お、刻印もしてもらえるみたいだぜ?入れてもらうか?」「待て待て。買うとは言ってない!」「お前にはオレのだって印着けておいてもらわねぇと困るんだよ、オレが。首輪じゃないだけいいと思え。あ、もしかして......首輪の方がよかったか?"番犬"だもんな?」「んなわけあるか!......ハァ。良いよ指輪で」「OK。イニシャルでも入れてもらうか。もちろん、互いのヤツな」叶弥はそう言うと店員を呼び話しをつける。刻印はすぐに出来上がるそうなので、店内を見ながら待つことにした。「京ってあんまアクセ着けねぇよな」「お前がピアスバチバチに着けすぎなんだよ。教師らお前に直接注意するのが怖いからって、オレに言ってくるんだよ」「あー......ご面倒をおかけしまして?」「反省してねぇだろ......。まぁ、オレはもう諦めてるけど
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episode37

それから、まだ見ていない駅近辺を見てまわった。そうしていると、あっという間に時刻は16時を回っていた。帰り道、屋敷への道の途中にある公園に立ち寄ってベンチに座った。すると叶弥が「京司」と呼んできたので叶弥の方へ向き合うと、左手を掴まれ、先程購入した指輪を薬指にはめてきた。そしてそのままオレの手を口元まで持っていくと、指輪に口付けを贈ってきた。「京司。お前もはめてくれねぇか?」叶弥はそう言うと、自身の分の指輪をオレに渡してきた。なのでオレはそれを受け取り、叶弥の左手薬指にはめ、叶弥にならってそっと口付けた。「サンキュ。京司、好きだ。愛してる」「......お前、よく恥ずかしげもなくそんなことを......」「事実だからな。別に恥ずかしくもない」......叶弥のこういう時、漢らしくてズルい。オレにはとうてい真似出来ない。「京司は言ってくれねぇの?」「!オレは......その......」「けい......?!」「叶弥?」オレが言葉をつむごうとしたその時、叶弥が中途半端にオレを呼び、オレに撓垂れ掛かっててきた。オレはそれに疑問のの声を上げた。そしてそのまま顔を上げると......そこにいたのは"湊 友樹"であった。「ダメじゃないか、京司君......。僕というものがありながら......」「湊......先輩......」湊先輩の手にはスタンガンが握られていた。......おそらく、叶弥の気を失わせたのはそのスタンガンであろう。「京司君......こんなヤツを庇うことはいらないよ?僕と一緒に行こう......?」「......誰が行くか......」「素直に聞かないと......」湊先輩はそう言うとナイフを取り出し、叶弥に刃を向ける。「ちゃんと僕の言うことを聞かないと、この男には死んでもらうしかないよ......?」「テメェ......」「ダメじゃないか。そんな汚い言葉遣いをしちゃ。さぁ、選んで?僕と一緒に来るか、......こいつに死んでもらうか」......そんな選択肢を出されては、迷うことなく一択しかない。「......わかりました。湊先輩と行きます。......だから、叶弥にナイフをあてがうのはやめてください。......お願いします」「いい子だね、京司君。さぁ、一緒に行こうか」湊先輩言葉が終わると同時に後頭部
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episode38

「......か!......若!!」「!!」叶弥が目を覚ました時、そこは自室のベッドの上だった。...京司と公園にいたはずなのに何故自分はここにいるのか。そして、何故京司の姿が見えないのか。「......おい。京司はどこだ......?」叶弥が酷く恐ろしい程の低い声で傍にいた若衆に尋ねた。「......オレ達が若を見つけた時には......もうどこにもいませんでした......」「今、手分けして探している所です」「GPSは?京司のスマホにも仕込んであんだろ?」「......それが、京司さんのカバンの中に入ったまま放置されていて......」手がかりが全くない。詰んでしまった。そう思っていた時だった。叶弥のスマホにメールが届いた。文章は無い。ただ写真が添付されているだけ。その添付されている写真を見ると...そこには気を失っている京司の姿があった。「!京司!!」「なんですって?!」気を失っている時点で無事とはいえないが、写真を見る限り、目立った怪我はしていないようであった。その様子に全員が少し安堵していると、知らない番号から着信が入ってきた。タイミング的にこの写真を送ってきたヤツからであろう。叶弥は意を決して電話に出た。「......もしもし。お前は誰だ?」「久しぶりの先輩に対して"お前"だなんて礼儀がなってないね、五十嵐 叶弥」「テメェ......もしかして、湊 友樹か?!」「君に名前を呼ばれるなんて気分が悪くなるよ」「京司を攫ったのはお前か?」「攫ったなんて人聞きの悪い。......京司君は僕のジュリエットだからね。返してもらったにすぎないよ」湊は恍惚とした声で京司の事を"ジュリエット"と呼んでいた。「ハッ!京司がジュリエットなら、お前は自分がロミオだって言いたいのか?」「もちろん。まぁ、シェイクスピアと違って、僕たちは引き裂かれる事なく、祝福されながら結ばれる運命だけどね」「......ロミオとジュリエットら決して結ばれることはない。京司は絶対に返してもらう」「......居場所もわからない癖に大口叩くんじゃないよ。苛立たしいな」そんなやり取りをしていると、電話の向こうからかすかに唸り声が聞こえてきた。それは京司のものであった。無事ではあるが、口に枷がされているため、京司はただただ唸ることしか出来ないようであった
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episode39

オレは目を覚ますとベッドの上に寝かされ、手を縛り頭上で固定され、口には枷がされていた。辺りを見渡すと部屋は暗く、ロウソクの火で照らされているだけであった。すると、近くで湊先輩が誰かに電話しているのが聞こえた。耳をすませると、湊先輩の口から"五十嵐 叶弥"と聞こえたので、オレは塞がれた口で必死に声を上げようとする。だが、ただただ唸り声しか出せないでいた。するとそんなオレの様子に気がついたのか、湊が近づいてきて、口の枷を外した。外された瞬間、オレはとっさに「叶弥!」と声を上げた。湊先輩の口ぶりからオレの声は叶弥に届いたらしく、オレは少し安堵した。「ムダだよ。君の声は京司君に聞かせない。これか二人で再会のお祝いをするんだ」その言葉にオレは身の毛がよだつのを感じた。湊先輩は叶弥との通話を終わらせると、ベッドへと腰かけオレの頬を撫でてきた。「あぁ、京司君。やっと僕の所に来てくれたね。嬉しいよ。シェイクスピアは悲劇で終わったけど、僕達は幸せになろうね?僕のジュリエット......」「......誰がお前のジュリエットだ。......虫唾が走る」「......ダメだよ京司君。自分の運命の人に対してそんな事言うなんて。君は僕のジュリエットで、僕は君のロミオなんだ。結ばれなかった二人がようやく結ばれる喜劇になるんだ。君は僕だけを見ていれば良いんだよ」「......オレが想うのは昔も今も"五十嵐 叶弥"。そいつだけだ。絶対にお前の思い通りにはならない」「......しくじったなぁ......。やっぱりあの時殺しておくんだった」湊先輩はそう言って立ち上がったかと思うと、オレの上に馬乗りになり覆いかぶさってきた。そしてオレの顔に自身の顔を近づけてきたので、オレは思わず顔を背けた。するとそれを面白く思わなかったのか、オレの頬にビンタをおくってきた。「ダメじゃないか、京司君。折角口づけをしてあげようとしたのに......。思わず叩いてしまったじゃないか」「お前にキスなんかされるくらいならビンタのがマシだ。オレの口も身体も心も...全部お前にはやらない。オレの全ては叶弥だけのものだ......!!」オレがそう言うと、湊先輩はベッドから降り、部屋をグルグルと回りながら、ブツブツと「面白くない面白くない面白くない」と壊れたラジをの様に繰り返していた。「京司君!君はもう僕の物
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episode40

ーどれくらいの時間が過ぎただろうか。気がついたらオレは眠っていたらしい。目が覚めた頃には自由の利いていた両足にまで枷がつけられていた。もうオレに自由はない。一刻も早く叶弥に会いたい。抱きしめてオレを安心させて欲しい。......そう思っていた時だった。カツカツという足音が近づいてくる。「お目覚めかな?ジュリエット。全く。お転婆にも程がある。お陰で足にも枷をつけなければいけなくなってしまった」そう言いながら、声の持ち主である湊先輩がオレの横たわっているベッドの上に身を乗り出して、オレの顔を覗き込んできた。「何を考えているか当ててあげようか?......五十嵐 叶弥の事だろう?心配はいらないよ。僕達の邪魔をするアイツには消えてもらうつもりでいるからね。闇サイトで知り合った人間に始末するよう言ってある。最近の人間はあんな端金で人殺しを請け負うんだね。お手頃で助かっちゃったよ」「......叶弥に手を出したら許さない。それにアイツが素人相手に負けるなんて思わない。......今のうちに自分の身を安んじておくんだな」「フフッ......。君もバカだなぁ。君が僕の元にいるんだから、あの五十嵐君が自分が抵抗したら君がどうなるか......ね?」湊先輩は自由に動かせないオレの身体をゆっくりゆっくりと全身を舐めるように視線を送り撫でてきた。あまりの気持ち悪さに吐き気がする。まずは顔を。そして胸に腹に腰へと続き、下半身まで触ってきた。オレは無意識に涙を流していた。「あぁ......涙する君もキレイだ......。そうだ。このまま僕と心身ともに結ばれよう?」湊先輩はどこからかナイフを取り出すとオレの服を切り裂こうとした。が、その時だった。監禁されていた部屋のドアが物凄い音を立てて吹っ飛んでいった。オレと湊先輩はその方向へ目を向けると全身黒づくめの男が投げ入れられてきていた。よく見るとその男は気を失っているようだ。その男に次いで部屋の中へ入ってきたのは......待ちに焦がれていた叶弥と五十嵐組の連中であった。「な、なんだお前達は......!!どうやって此処を突き止めた?!」「ソッチか発信元のわかるような写真送ってきたんだろ?解析すれば一発だったわ」「...く、クソ!!あと少しだったのに!僕に近づくな!!近づいたら京司君を殺すぞ?!いいのか?!」威勢のいいことを
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