その日は月も雲にかくれんぼしていて、雨がしとりしとりと降り続ける夜だった。夜斗は父親からの性的虐待から逃れるように家を飛び出してきた。行く当てなど何処にもない。裸足のままだった為、足の裏に痛みが走る。もう走るのも疲れた。身体も雨にあてられびしょびしょだ。さて、ここからどう生きていこうか。そう考えながら雨宿りが出来そうな軒下に身を隠した。誰から隠れるというわけでもないが。しいて言うなら、"この世界から"かな。そんな事を考えながら体育座りをしている膝に顔を埋める。すると身体にあたっていた雨を感じなくなった。それに疑問を持ち、顔を上げて上を見る。するとそこには、30代前半くらいの男が夜斗に傘を差しだしてきていた。「君、大丈夫かい?こんな時間に子供1人で...。もしかして家で?」「...アンタには関係ないだろ。」「関係なくはないよ!こうして出会ったのも何かの縁だ。そうだ、もし家に帰りたくないのならうちに来るかい?」男の言葉に夜斗は驚いた。こんな瘦せ細った怪しいガキにそんな優しい言葉をかけてくるとは。「...アンタってお人よし?普通こんなガキに関わったら面倒事に巻き込まれるかもとか考えるだろ?」「でも今の君を1人にしておけないよ。もし必要なら僕が生きていく術を教えてあげる。どうだい?悪い話じゃないと思うんだけどな。もし嫌になればいつでも出て行ってくれて構わない。」「アンタみたいなのを"成人君主"って言うんだろうな。...いいぜ。その話乗ってやるよ。」夜斗がそう言うと男は手を差し出してきた。その手を掴もうとした夜斗だが自分の手が汚れているのに気がつくと手を引っ込めようとした。しかし、男は遠慮なく夜斗の手を取ると夜斗を立ち上がらせた。「僕の事は"ヨウタ"とでも呼んでよ。君は?なんて呼べばいい?」「...じゃあ、"ヨル"でいいよ。」「"ヨウタ"に"ヨル"か。ふふっ、なんだか真逆だね。」「さぁ、濡れているしシャワーでも浴びよう。」そう言うとヨウタは夜斗の手を引きながら、自分のマンションへと向かった。その最中、とくに話しをしたりする事もなく黙って歩いた。ヨウタは、なんで家出をしたのか、なんでこんな雨の中裸足で出歩いていたのかなど、気になるはずなのに聞く事をしなかった。やがてヨウタのマンションへ着くと、ヨウタはバスタオルと着替えを手渡して、「さぁ、シャワー浴びて
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