昭弘は一気にまくし立てると、期待を込めた目で静河を見つめた。静河が頷きさえすれば、今すぐ純子も子どもも消してみせると言わんばかりだった。静河はその瞳を見つめ、深い失望が胸に広がるのを感じた。これだけ話しておきながら、全部こっちのせいにしている。自分に苦労をかけたくないから純子に産ませたなどと。この男は今でもまだ、彼女が出ていったのは純子のせいだと思い込んでいるのだ。返事がないのを、昭弘は都合よく肯定と受け取ったようだった。純子と子どもさえ片づければ静河が戻ってくると思い込み、気持ちが高ぶるあまり、思わず口づけしようと顔を近づけてきた。すると、乾いた破裂音が廊下に響き渡った。唇が触れるより早く、静河の平手が昭弘の頬を鋭く張り飛ばしていた。「榎木昭弘、狂ってるの!?」静河は今になってはっきりと悟った。昭弘はこの結婚の失敗について、ただの一度たりとも己の非を認めたことがないのだ。純子と子どもを消せば静河が戻ってくると、本気で信じている。すべての元凶は、ほかならぬ昭弘自身にあるというのに。二つの命を平然と消そうとする元夫を前に、静河の声に底知れぬ失望が滲んだ。「どうしてこんな人になったの?どうして、自分に原因があるとは考えられないの!」昭弘は打たれた頬を押さえ、しばらく呆然としてから、ひどく苦く笑った。「そうだ、俺は狂ってるさ!君が出ていってから、毎晩悪夢を見てるんだ。夢の中で君は、夜ごと違う姿で、俺を捨て去っていく!俺はもう限界だ!君を取り戻せるなら、手段なんか選ばない!」叫び終えると、昭弘はもう静河を見ず、土砂降りの雨の中へ飛び出していった。「昭弘!」静河が背中に声をかけても、彼は一度も振り返らなかった。狂っている。しかし昭弘が手を下すより早く、純子が再び早産を起こした。生まれた子どもはすぐに保育器へと入れられたが、三日ともたなかった。純子を病院へ連れてきた喜久美は、息絶えたその子を見下ろし、ほんのわずかに惜しむような色を目に浮かべた。「やっぱり、生まれつき福の薄い子だったわね!」純子がもう役に立たないとわかると、喜久美はつけていた世話人を全員引き上げさせた。最後に言い残したのは、ただひと言だけだった。「このお金を持って、できるだけ遠くへ行きなさい」ほどなく病
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